フランス警官労組、「デモ参加者は社会の害虫」
フランスの警察官労働組合が、デモ参加者を「社会の害虫」だとし、国内は現在戦争状態にあるとしました。
ファールス通信によりますと、警察官労働組合は1日土曜夜、抗議者らと交戦状態にあるとしながら、これらの人々を「社会の害虫」の集まりだとしました。
フランス通信は、警察官労働組合が声明で「きょう警察官が最前線にいるのは、戦争状態にあるからだ」としたと伝えています。
このような抗議の発端となったのは、フランスのパリ近郊で先月27日に起きた、警察官による17歳の少年の射殺事件です。警察官は事件について、この少年が逃走を図ったと考え発砲したと説明しています。
警察官労働組合は声明の続きでさらに、抗議者らが野蛮人であり、冷静になるよう促すだけでは十分でないとしました。フランス警察の公式発表では、過去24時間の逮捕者は1300人にのぼっているということです。
エマニュエル・マクロン仏大統領は30日、十代の子供を持つ保護者らに対し、若者たちを家に留めるよう呼び掛けるとともに、フランス全土に広がった抗議の鎮静化に向けSNSの使用制限を提案しました。しかしこうした訴えにもかかわらず、街頭では若者のデモ参加者と警察との衝突が続いており、治安当局者によれば、約2500件の放火事件が発生したほか、店舗も略奪も起きています。
一方、国連人権事務局はこの件に関し、「フランスは、法執行の際の人種主義と差別の問題に、真剣に取り組む必要がある」と表明しています。
マクロン大統領は、全国規模での抗議や衝突の継続を受けて、以前より計画していたドイツ訪問を延期しました。ドイツ大統領報道官は、マクロン氏がシュタインマイヤー・ドイツ大統領と話し合ったことを明らかにし、「マクロン氏は予定されていたドイツ公式訪問の延期を求めた」としました。