仏大統領、日本でのNATO連絡事務所開設に反対表明
フランスが、NATO北大西洋条約機構の連絡事務所を日本に開設する計画および、同機構のアジアへの拡大について反対を示したことで、NATO内部で今週の首脳会議を前に意見が割れていることが露呈しました。
NATO当局者らは数か月前より、日本に連絡事務所を開設する計画について協議を行っていました。実現すればアジア初となるNATO事務所の開設計画は、西側と中国の間の緊張を高めうるものです。
米ニュースメディアのポリティコによりますと、ロシアとウクライナの戦争が続いていることを受けて今週リトアニアで開催される予定の NATO首脳会議では、この連絡事務所開設計画について話が進められると見られています。
しかし、フランスのマクロン大統領はこの流れに対し、NATOの地理的拡大が北大西洋というその基本活動範囲への意識を必要以上に削ぐと主張しています。
フランス大統領府当局者は7日金曜、記者団に対し、「我々は基本的に、(日本へのNATO連絡事務所開設計画を)支持していない。日本の当局者自身も我々に対し、連絡事務所の設置には特段の必要性はないと語っている」と表明しました。
続けて、「NATOは北大西洋地域を対象にしたものであり、条約の条文にもその範囲が規定されている」と強調しました。
一方、このNATOの計画には中国も反対しています。
中国外務省の汪文斌報道官は先月、「NATOはアジア太平洋国家との連携を絶えず強化しながら、東への拡張に取り組み、アジア太平洋地域に関与し、陣営の対立を煽り立てている」と指摘しながら、「NATOはアジア太平洋地域への進出に執着しているが、その行為は国際社会、とりわけアジア太平洋諸国に強く警戒されている」としました。
ポリティコによれば、他の一部のNATO加盟諸国もこの計画について懸念を表明していますが、協議に関わっている複数の欧州外交官らも、最も強く反対しているのはフランスであるとしています。
マクロン大統領はこれ以前にも、NATOが中国への警戒を強めていることに反対しています。
同大統領は2021年、NATO首脳会議後の記者会見において、中国の動きを「体制上の挑戦」とした首脳宣言をめぐり、「ある程度正当だが、NATOの取り組みの核心から注意をそらしてはならない」と、軍事同盟であるNATOの中心課題ではないとの認識を示した上で、「中国は、侵略してこなければ北大西洋とはほとんど関係がない」と述べていました。