9.11後の世界
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9月 12, 2023 18:25 Asia/Tokyo
  • 2001年9月11日の同時多発テロ事件
    2001年9月11日の同時多発テロ事件

米国のみならず全世界に影響を与えた2001年9月11日の同時多発テロ事件から22年の月日が経ちました。

この事件は、これまでの米国史上で最大のテロ事件であり、3000人近くの人が死亡しました。

米政府の公式説明では、ニューヨークとワシントンを襲ったこの事件の首謀者は、テロ組織・アルカイダとその指導者のオサマ・ビンラディン氏とされています。

注目すべき点は、アルカイダという組織は、ソ連がアフガニスタンを占領していた時期に、ソ連軍と戦うためにアメリカが創設・支援した集団であり、ビンラディン氏もCIAが極秘に作った基地で訓練を受けていたことです。しかしソ連軍撤退後、アルカイダとその生みの親である米国は互いに対立し始め、アルカイダは米国に凄惨なテロを仕掛けるにいたりました。

 

2001年9月11日の同時多発テロ事件

 

もっとも、9.11は両者の関係の終焉とはなりませんでした。アメリカは9.11後、事件の犠牲者の報復をするために、「テロとの戦い」を掲げた一連の行動を取り、同時多発テロの何倍もの犠牲者を出すことになりました。今年出された報告書によれば、アメリカが9.11後に主導した戦争において、直接・間接あわせて少なくとも450万人が死亡し、数百万人が難民になったということです。

アメリカは、歴史上最も不平等といえる戦争において、NATOやその他の国とともにアフガニスタンを攻撃し、タリバン政権を崩壊させた後は20年にわたり、この戦火に晒され続けてきた国を占領しました。

その次にアメリカは、イラクを標的としました。当時のイラク指導部は9.11とは何ら関わりがなかったものの、血に飢えたアメリカは「先制攻撃」を唱えてイラクに侵攻し、サッダーム政権を倒した後、同国を占領しました。

アメリカの侵攻では、その混乱の中でイラクやシリアにおいて、アルカイダよりも残忍なテロ組織・ISISが生まれることとなりました。

 

2001年9月11日の同時多発テロ事件

 

ISISは、西アジア一帯で凄惨なテロ行為を行いました。また、アルカイダの下部組織も依然として、アフリカで活動しています。そこからも、アメリカがテロの撲滅を唱えて世界レベルで始めた「テロとの戦い」で逆にテロが拡大したことは、9.11から22年が経過した現在、すでにはっきりとしています。

アメリカの無計画な対テロ戦争は、多くの民間人を犠牲にし、人々に怒りを植え付け、テロ組織がそのような怒りにつけ込むことになりました。言い換えれば、アメリカの暴力がテロ組織の活動を助長し、活発になったそのテロ組織の活動がさらに、アメリカによる暴力を激化させたのです。その悪循環の犠牲となった子どもや女性を含む一般市民は、自らの命や財産、尊厳を失い、あるいは生き延びるために難民とならざるを得なくなりました。

一方、アメリカ市民もこの「テロとの戦い」の代償を払わされています。9.11後、同様のテロ事件はアメリカ国内で起きていませんが、情報・治安機関が国外勢力によるテロの脅威に注意を向けている裏で、アメリカ国内のテロ勢力が勢力を伸ばしました。現在のアメリカ市民は、アルカイダよりも人種差別団体のような国内勢力の脅威に晒されていると言われています。

9.11後、世界はより危険な場所になましたが、この現状にはアメリカが大きく関与してきたのです。

 


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