限界点にある米軍;十分な資源と若手人材の不足
米外交専門誌フォーリン・ポリシーは、米軍が現在限界点に達しており、再構築のためのリソースを追加することなく同軍の負担がさらに増えれば失敗の繰り返しにつながっていくと分析しました。
パールストゥデイによりますと、米誌ニューズウィークは、「軍隊に対する米国民の信頼の低下と、若い国民の軍隊勤務志望者の減少は、米国にとり深刻な危機と言える」と伝えました。米軍は積極的な新兵募集を行っているにもかかわらず、2024年会計年度の2か月目の時点で設定された目標人数に30〜40%も不足している状況にあるということで、同期間のアメリカの陸海空軍および州兵の予備役も募集目標を20%下回りました。
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ニューズウィークは、これらの応募人数は米軍にとって苦しい傾向が続いていることを示しているとしながら、軍への信頼も史上最低水準であるとしました。
同誌は、アメリカが戦争における成果が芳しくないにも関わらず、国民に戦争が安易で低コストであるというイメージを植え付けてきたとしながら、「軍事基地の設置の増加は偽りの口実の下に行われることが多いが、莫大な借金をしての資金調達は、軍に対する国民の信頼を低下させることになった」と指摘しました。
また、「米政府は、2001年以降に2兆ドルを直接的な防衛費に充てたが、それに加えて、9250億ドルを利息返済に費やしており、米国民は依然としてこれらを払い続けている」としました。
さらに、アメリカ政府が戦争を継続するためにこれを正当化し現実を歪曲しようと目論んでいることに言及し、「戦争へ行く者は常に、社会的・経済的に下位の者を中心とした米社会の弱い層に限られている。この層は、戦死、自殺、負傷、精神疾患、薬物乱用と闘っている」と続けました。
ニューズウィークが米軍の深刻な危機に言及する一方、フォーリン・ポリシーは、米国家防衛戦略委員会の報告書を引き合いに、「米国の戦略は、欧州と西アジアで増大する脅威およびロシアと中国の成長に対しては不十分である」としました。
同誌は、「米国の戦争資源が特に複数の戦争が世界中で同時に行われている場合には限度があることを同委員会が認めており、NATO北大西洋条約機構の防衛計画立案者も、過度の対米依存を減らすために欧州の米同盟諸国の軍事能力目標を設定すべきだとしている」と伝えています。
同誌はさらに、米軍が現在限界点に達しており、再構築のためのリソースを追加することなく同軍の負担がさらに増えれば失敗の繰り返しにつながっていくと分析しています。
米国家防衛戦略委員会の調査によれば、米軍は確実に戦争に勝利し抑止力となれるだけの能力を備えていないということです。