米2大政党が「大統領選へのイランの干渉」という嘘を必要とする理由
(last modified Sun, 25 Aug 2024 07:55:24 GMT )
8月 25, 2024 16:55 Asia/Tokyo
  • 米2大政党が「大統領選へのイランの干渉」という嘘を必要とする理由
    米2大政党が「大統領選へのイランの干渉」という嘘を必要とする理由

アメリカ大統領選挙へのイランの干渉について、米当局者は一連の主張を提起していますが、イラン側は、アメリカの選挙という問題があくまでも同国の国内問題であるため、この選挙に干渉する目的も動機もないと、再三否定しています。

米共和党トランプ陣営の報道官は、反イラン的な声明の中で、「イランとつながりのあるハッカーらが去る6月、わが国の大統領選に関わる高官のアカウントへの侵入を試みた」と主張しました。パールストゥデイによりますと、イランの新聞ゴッツは「スティーブン・チョン氏は証拠を提示せずにこの主張を提起したが、FBI米国連邦捜査局は報告書において、イランにより自らのある重要書類がハッキングされたとするドナルド・トランプ陣営の主張について捜査中だと主張している」と報じました。

これに関連して、イラン国連代表部はトランプ前米大統領の選挙活動のハッキングにイランが関与したとする主張を否定し、イラン政府には米大統領選に干渉するような目的や動機がないことを強調しました。

トランプ陣営の内部通信の一部のハッキング・窃盗という主張が提起される前、アメリカ情報当局はトランプ氏暗殺未遂だけでなく、同氏の選挙運動への妨害や選挙そのものに対する悪影響というかどで、イランを非難していました。

 

当選を狙ったトランプ氏の常套手段

アメリカ問題の専門家アミール・アリー・アボルファトフ氏はゴッツ紙とのインタビューで、イランがトランプ氏の文書をハッキングしたとする同氏陣営の主張に言及し、「米大統領選の実施時期が近付いていることや同国での現在のメディア環境に注目すると、トランプ氏は選挙手法を利用することで、世界レベルでの自分のイメージづくりに加えて、特にFBIを初めとするバ​​イデン現政権の安全保障機構および、国内の行政・監視機関における民主党の行政運営に疑問を提示しようとしている」と述べています。

同氏はまた、「これは、トランプ氏がロシアの選挙過程への干渉に関して2016年の米大統領選で勝利したのと同じ手法であり、実際に彼はこのやり方を、イランや中国、ロシアなど国際的に名の通った国々からの得票に使っている。文書・資料のハッキングに関するトランプ陣営のこの主張は小手先の戦術であり、真に受け止めるべきではない」としました。

そして、「トランプ大統領選挙キャンペーンのチョン報道官がこの主張を提起したと同時に、イラン代表部は『この問題は単なる疑惑提示に過ぎないが、イランには米大統領選挙で特定の候補者への賛否をめぐり干渉する動機はない』と発表した。その一方で、イラン代表部はFBIに対し、適切な対応ができるようこの申し立てに関する文書をイランに引き渡すよう要請した。このような中、現時点までにイランがトランプ陣営に干渉したことを裏付ける証拠は提出されていない」と述べています。

この米国問題専門家は、「イランは世界のサイバー空間において否定できない力を持っており、米安全保障機関の発表によれば、国際舞台におけるサイバー大国の一つとみなされている」と強調しました。しかしその一方で、イランのようなサイバー分野の攻撃と防御の分野で高い能力を持っている国は、この分野での自らの能力を理由に米国の選挙の舞台に干渉・ハッキングする必要性がないのが現実です。

さらに、「アメリカはクーデター、政権転覆、ビロード革命などの分野で、世界の80以上の独立諸国に直接・間接的に介入してきた。今や、アメリカ自体が世界のさまざまな選挙の舞台における最大の違反者・被疑者であり、イランのような他の独立諸国に対する不服申し立てや疑惑提起は事実無根で拒否されている」と語りました。

 

地域におけるイランの勢力拡大を恐れるトランプ氏

国際問題・メディアの専門家モハンマド・レサーニー氏はゴッツ紙とのインタビューで、「西アジア地域において、イランが特にガザ地区住民、パレスチナの大義、抵抗運動への支援において役割を果たしていることから、民主・共和党のいずれの候補者も選挙での勝利の為にこの問題を利用しており、ドナルド・トランプ氏もアメリカ社会でより多くの得票のためのイランという名の勝利の切り札を追求している」との考えを示しました。

加えて、「過去46年間、イランはその卓越した自らの役割と地域を超えた勢力によって、常に米国とその欧州同盟国にアメリカ式新体制の構築と新たな西アジアの形成を許してこなかった。世界の情勢におけるイランの役割をクローズアップし、またアメリカがイランを国際的破壊勢力として吹聴することは、アメリカ政府やトランプ氏、カマラ・ハリス民主党候補を含む米国民に名の通った人物の大衆評価に役立つ可能性がある」と語っています。

レサーニー氏は最後に「イランがサイバー攻撃に関与しているとする米当局者の主張についてはまだ証拠資料は提示されていない。だが、トランプ氏はこの疑惑提示により自身を米国民や自らの支持者らの中のレジェンドや英雄に仕立て上げようとしている」と結びました。

 


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