9月 21, 2024 17:04 Asia/Tokyo
  • 米大統領選を前にイラン核問題を政治化するニューヨーク・ポスト紙
    米大統領選を前にイラン核問題を政治化するニューヨーク・ポスト紙

米紙ニューヨーク・ポストの主張とは裏腹に、トランプ氏の反国際協調的政策はイランの核開発能力を事実上拡大させました。

【ParsToday国際】ニューヨーク・ポスト紙は最近、「Iran is set to go nuclear, thanks to Biden — and the mullahs want Harris to win」(訳:イランはバイデン氏のおかげで核保有国に モッラーたちはハリス大統領の誕生を望む)と題する記事を掲載し、イランの核計画やそれに対してバイデン政権がもたらした影響について誤った観測を示しました。この記事は誤った主張やデータにあふれているだけでなく、米国民の間に恐怖感や不信感をもたらすように意図されたものです。

記事は冒頭で、「イランはバイデン政権が終わるまでに12発の核兵器を製造することができる」と主張しています。こうした主張には何の科学的根拠もなく、状況を深刻なものに見せかけることだけを目的にしています。イランが核兵器の製造に必要な能力は有しておらず、IAEA・国際原子力機関の監督下に置かれていることは、各種国際機関の報告が証明しています。イラン自身も、自らの核計画は平和目的のものであり、核兵器を開発する意図は一切有していないと繰り返し表明しています。

ニューヨーク・ポストは記事の続きで、

 

「イランは6200キログラムのウランを5%、20%、60%と濃縮してきた」としています。イランがこのようにウランを濃縮してきたことは事実です。しかし、記事が無視しているのは、60%までウランを濃縮することは核兵器の製造意図を意味するものではないということです。核兵器の製造には90%以上の濃縮ウランが必要であり、イランはその段階には至っていません。国際的な監視下においてそのレベルまで濃縮しようものなら、厳しい対応に直面することになります。

 

この記事のもうひとつの誤った記述は、「イランがウラン濃縮を加速する遠心分離器を7400基保有している」というものです。この7400基という数字には根拠がありません。実際には、イランが保有する遠心分離器は2015年の核合意などにより稼働が停止され、かつ国際的な監視下に置かれています。

また、これらの遠心分離器の大半は、2018年に当時のトランプ米大統領が一方的に核合意から離脱したことをうけた対抗措置として増設されたものです。核合意では、一方の当事者が合意内容を履行しない場合、もう一方も履行内容を削減することが認められています。つまり、トランプ氏の反国際協調的政策がイランの核開発能力を事実上拡大させたと言えるのです。

記事ではさらに、「イランが中部ナタンズ近郊に新たな核施設を建設中であり、その施設は上空からの攻撃にも耐えらえる地下深くに建設されている」としていますが、これも事実に反するものです。イランが様々なプロジェクトを開始していることは間違いありませんが、それらはすべてIAEAなどをはじめとする国際的な監視下にあります。

記事はまた、

 

「トランプ政権時にイランは2400キログラム以下の低濃縮ウランを製造しただけだった」

とし、バイデン政権になってイランの核開発が加速したかのような印象操作を行っています。しかし、上述のとおり、イランの核開発が加速したのは、トランプ政権による核合意離脱が原因です。

 

記事はさらに、イランがハリス政権の誕生を望んでいるかのような内容をほのめかしていますが、イラン指導部はむしろ米民主党の方がイランに対して陰湿な敵対工作を行っているとみています。ニューヨーク・ポストは「ハリス大統領が誕生すれば、アメリカはテロや流血を目撃することになるだろう」と煽っています。しかし、これは何の裏付けもないデマに過ぎません。こうしたデマを書く目的は、米民主党とイランがつながっているかのような印象を読者に与え、選挙戦に影響を与えようという政治的動機以外にありません。

このように、ニューヨーク・ポスト紙は事実にもとづいた記事を書くのではなく、アメリカ社会に恐怖心を植え付けることを目的にしていると言えます。この記事は根拠のないデータや主張を並べ立てているだけでなく、イランの核問題を政治化しようとする意図によって書かれたものなのです。

 


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