西側メディアがリビアの惨事へのNATOの関与を隠す理由
(last modified Tue, 24 Sep 2024 07:44:13 GMT )
9月 24, 2024 16:44 Asia/Tokyo
  • 西側メディアがリビアの惨事へのNATOの関与を隠す理由
    西側メディアがリビアの惨事へのNATOの関与を隠す理由

イギリス、アメリカ、フランスが中心となって率いるNATO北大西洋条約機構は、リビアにおいて9700回以上の爆撃作戦で7700発以上の爆弾を投下し、同国政府を壊滅させました。この爆撃の結果についてカナダの大学で教鞭を取るメディア研究家は、NATOが救おうとしたと主張する一般人のうち数千人が殺害されたと指摘しています。

自然災害と人的災害は通常、切り離せないものですが、外部からの軍事介入がある場合は、特にそうだと言えるでしょう。 2023年9月にリビアを襲ったハリケーン・ダニエルによる数千人の死亡は、単なる自然災害の結果ではなく、NATOが行った2011年の同国へ軍事介入に起因する、大きな災害の結果の一部だと言えます。しかし西側メディアは、この事件を報道する際、この危機の自然災害の面に焦点を当て、その素地形成にNATOが絡んでいることには触れませんでした。

パールストゥデイのこの記事では、西側メディアがNATOがリビアの情勢不安とインフラ破壊に関与したという事実の報道を拒んだ理由を見ていきたいと思います。

NATOによる2011年のリビア攻撃では、同国の人道危機およびインフラ危機の状況が大幅に悪化しました。米シンクタンク・クインシー研究所の発行するオンライン誌「レスポンシブル・ステートクラフト」の掲載記事によれば、2023年9月のハリケーン・ダニエルによりリビアで洪水が発生し、1万人もの人々が死亡したことは、自然災害だけでなく、NATOの軍事介入の結果でもありました。

カナダの大学で教鞭を取るメディア研究家のグレゴリー・シューパーク(Gregory Shupak)氏はこの記事で、「各メディアは、リビアがこの災害に備えられなかった理由として主に戦争を挙げ、リビアでNATOが行った侵攻の役割には触れなかった」と指摘しました。

地中海東部で発生し、2023年9月初旬にリビアに到達したハリケーン・ダニエルは、地中海およびアフリカ地域の歴史において最も大きな被害と死者数を出しました。

シューパーク氏は続けて、「2011年にNATOがカダフィ大佐への攻撃を行っていた最中、アメリカの各メディアはリビア空軍が抗議者らを爆撃したと主張したが、これに関する証拠は一切提示されておらず、同国の国防総省もそのような爆撃が確認されたとはしていない」と説明しました。

また、「米国、イギリス、フランスが中心となって率いるNATOは、リビアにおいて9700回以上の爆撃作戦で7700発以上の爆弾を投下し、同国政府を壊滅させた。これにより、NATOが救おうとしたと主張する一般人のうち数千人が殺害されたほか、数万点の武器が、リビア国内、サヘル(北アフリカ・サハラ砂漠南縁部)地域、さらにはシリアに流布することになった」としました。

その上で、「リビアでは、2011年にNATOによる攻撃を受けt以降、分裂してできた2つの政府が敵対し、権力を巡って争いを続けている。NATOの爆撃は同国デルナのダム決壊の直接の原因ではないが、それによってリビアの政府が崩壊し社会構造が破壊された結果、重要なインフラが維持できなくなっていたことが指摘される」と強調しました。

そして、「主要メディアは、一部のリビアの戦争に触れたものですら、このような理解をほとんど取り上げなかった。ニューヨーク・タイムズ紙、米金融情報サイトのウォール・ストリート・ジャーナル、ワシントン・ポスト紙などの有名メディアが(リビアの災害発生後の)6日間に掲載した67本の関連記事のうち、40本に「戦争」という言葉が出てきたが、そのうちNATOの関与について論じていたのはわずか3本のみだった」としました。

また最後には、「NATOは、ウクライナ戦争にも大きく関与している。同機構は最終的に、ロシアが軍事行動を取らざるを得なくなるまで事態を悪化させた」とも指摘しました。

 

 


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