NATOのためのゲームから火遊びまで:シリアでのトルコの行動を分析する
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NATOのためのゲームから火遊びまで:シリアでのトルコの行動を分析する
米外交誌フォーリン・ポリシーは、トルコ政府はシリアの武装勢力を全面的に支援することで自国の能力を超えた状況に立っているものの、この状況は地域の緊張やトルコ・アメリカ間の紛争の激化を招く可能性があると記しました。
【ParsToday西アジア】多くの評論家の間では、トルコはシリアの情勢変化においてアメリカとNATO・北大西洋条約機構の明らかな支柱だと考えられています。こうした中、一部にはこの意見を受け入れつつも、トルコにはこれ以外にも利己的な行動があるとする意見もあります。これに関して、フォーリン・ポリシーは、米シンクタンク「民主主義防衛財団(FDD)」のトルコ問題上級研究員スィナン・ジッディ氏が執筆した報告の中で、シリアの新支配勢力「タハリール・アルシャーム(HTS)」をトルコ政府が支援していることに触れ、「トルコの行動はその自信過剰ぶりを示しており、地域の情勢不安を倍増させる危険を伴う」「エルドアン大統領はシリアの政治的将来を支配しようとしているようだ」としました。
ジッディ研究員はまた、米軍事ニュースサイト「1945」に最近掲載された記事の中で、「シリアにおけるエルドアン大統領の行動を説明するには『火遊び』という用語でさえ不十分であり、これらの行動はトランプ次期米新政権に強い懸念を抱かせるはずだ。それは、エルドアン大統領がシリア問題の解決策の一環としてトルコとして介入する可能性が高く、地域のさらなる情勢不安という危険性につながるかもしれないからである」と記しています。
HTSを支援するトルコ
ジッディ研究員は、トルコがシリアでHTSが権力を掌握するための準備を進めているとみています。トルコはHTSを「官僚的な政府を樹立し、法と秩序を確立し、人口構成の多様性が高いシリア国民に奉仕できる組織」だとしています。まさにこのために、トルコ政府はNATOの一員としてHTSへの武器支援を買って出たのです。
ジッディ氏の見方では、エルドアン大統領はシリア北部のクルド人自治区の破壊という最終目標を達成するために、HTSの最高幹部アブ・ムハンマド・アル・ジャウラニ氏をコントロールすることで、この集団組織のメカニズムを自らの思惑に沿う形で操ろうとしています。
シリア領内でもクルド人居住地域はシリア民主軍(SDF)の支配下にあります。この軍事組織は米国の支援を受けており、トルコ政府はそれが自らに対する深刻な脅威であると考えています。
トルコの国内事情
ジッディ研究員は、「エルドアン大統領がクルド人への圧力を強化する目的は、自らの経済政策の失敗からトルコ国民の関心を逸らすことにある」と述べています。複数の報道によれば、トルコは現在シリアに1万6000人から1万8000人の兵力を展開しており、SDFの支配を解除するためにシリア北部アレッポ県の町コバニ(トルコ国境の要地アインアルアラブ)近くの国境沿いに多数を配備しています。
結論として、ジッディ研究員はエルドアン大統領の自信過剰ぶりを指摘し、「彼の攻撃戦略は大きなリスクを伴い、シリアだけでなく地域全体にとっても危険である。これらのリスクを無視すると、取り返しのつかない長期的な結果を招きかねない」と結んでいます。