ガザ占有を目論むトランプ米大統領
(last modified Wed, 05 Feb 2025 11:01:06 GMT )
2月 05, 2025 20:01 Asia/Tokyo
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    ガザ占有を目論むトランプ米大統領

トランプ米大統領は4日、訪米したイスラエルのネタニヤフ首相との共同記者会見で、ガザを「米国が占有する」との構想を明かしました。

【ParsToday国際】トランプ氏はこの会見で、ガザを破壊した張本人がイスラエルであることには触れず、「ガザ地区はパレスチナ人にとって適切な場所ではなく、彼らには新たにより良い土地が提供されなければならない」と語りました。トランプ氏のこの発言は、同氏がネタニヤフ首相と協力して、残ったパレスチナ領を自分たちの間で分割したいと考えていることを示しています。

トランプ氏は以前も、「ガザ住民はヨルダンおよびエジプトに移住し、破壊されたガザ再建の可能性が整えられるべきだ」と発言していました。今回の発言はさらに歩を進め、ガザに対する主権および、この小さいながらも人口密度の高い地域の領有権について踏み込みました。

若い頃に建設業界で働き、現在は米国大統領であるこの人物は、人道目的と銘打って戦争で荒廃したガザ地区から住民を退去させ、破壊された建物を再建しようとしていますが、戦争で被災した人々の意見を聞くつもりは全くありません。彼はガザ地区に住む250万人をあえて難民化させる必要があると語っているのです。また、ヨルダン川西岸に住む300万人以上のパレスチナ人については、イスラエル占領地への併合の可能性も提起しています。

トランプ氏の構想が現実のものとなれば、「2国家共存」という歴代政権が(建前ながらも)掲げてきた方針は無用の代物となり、アメリカはイスラエルとともに残りのパレスチナ領土を占領することになります。

アラブ諸国はこうしたトランプ氏の構想に一斉に反発しています。しかし、トランプ大統領はアラブ諸国、特にエジプトとヨルダンに対する軍事的圧力だけでなく、政治・経済的な影響力も計算に入れていると見られます。言い換えれば、もし米軍が国家主権行使目的でガザに派遣され、エジプトの国境を強制的にこじ開け、それによって数十万人ものパレスチナ人がエジプト領内に大量流入・居住ということになれば、エジプト側にはこれに抵抗する勇気はないと思われます。

もっとも、占領、戦争、虐殺に直面しながらも過去80年間にわたり、自らの領土の解放という理想を捨て去らなかったパレスチナ人が沈黙を守り、アメリカの占領に屈することはなさそうです。したがって、トランプ氏は西アジア地域に平和を確立し、数百万人ものパレスチナ人に平穏な生活を提供するという謳い文句とは裏腹に、実際には西アジア地域で新たな戦争の火種をまいていると言え、その炎は地域諸国を焼き尽くすだけでなく、パレスチナ領を占領する勢力の一員である米国をも巻き込むものと見られます。

パレスチナの地に平和と平穏が確立するのは、数百万のパレスチナ人に対する不公正が解消され、彼らが自らの理想とする国家の樹立を実現した時です。それ以外の場合、アメリカによるガザ占領あるいは、ヨルダン川西岸地区に対するイスラエルの主権を正式に承認することは、慢性的な問題に最終的な解決策を与えることなく、問題の表面を消し去るだけの工作に過ぎないと言えるでしょう。

 


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