米国での経済データ政治化に対する警鐘
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米国のBLS労働統計局長が、トランプ大統領の好まないと思われる統計を発表したために解任され、同大統領に忠実な人物が任命されたことで、米国の統計データに対する世界的な信頼の低下に警鐘が鳴らされています。
(last modified 2025-08-13T10:09:43+00:00 )
8月 13, 2025 19:07 Asia/Tokyo
  • ドナルド・トランプ米大統領
    ドナルド・トランプ米大統領

米国のBLS労働統計局長が、トランプ大統領の好まないと思われる統計を発表したために解任され、同大統領に忠実な人物が任命されたことで、米国の統計データに対する世界的な信頼の低下に警鐘が鳴らされています。

ドナルド・トランプ米大統領が今月初め、米国の雇用情勢について暗い見通しを示した報告書を出したとしてマッケンターファーBLS局長の解任を決定したことにより、投資家らは世界が注視している経済データが政治利用されることを懸念しています。

英紙フィナンシャル・タイムズによりますと、トランプ大統領は関税と経済戦略の強力な支持者であるE・J・アントニー氏をBLS新局長に任命しており、このことは、同国の経済データへの不信感に対する懸念を高める格好となっています。

保守系シンクタンク・ヘリテージ財団のチーフエコノミストであるアントニー氏は、現在の第2次トランプ政権においてBLSと商務省・経済分析局(BEA)、国勢調査局の統合を提言した「プロジェクト2025」に関与していました。「プロジェクト2025」は、連邦政府の改革と行政権の統合を目指す保守派の提案をまとめたものです。

トランプ大統領はつい2週間前、エリカ・マッケンターファーBLS局長を解任し、証拠を示すことなく、去る7月の雇用統計で彼女が「不正行為」をしたと主張しました。また「マッケンターファー氏の解任について上院の承認は不要であり、発表される統計は忠実かつ正確であると確信している」と述べています。

もっとも、経済学者や保守派の政治家の間では、彼らから見て操り人形であり経験不足だと思われる人物がこの任務を遂行できるかについて疑念が持たれています。

トランプ大統領が新たにBLS局長に任命したアントニー氏はイリノイ大学卒で、大統領の政策を熱烈に支持しており、トランプ大統領を批判する人々を「ネガティブ思考」で「左翼の弁護者」だとみなしています。またトランプ大統領と同様に、FRB米連邦準備制度理事会のパウエル議長を批判しており、同議長が40年以上ぶりの最悪のインフレを引き起こしたと考えています。

約2000人の職員を擁する米国国勢調査局は、雇用とCPI消費者物価指数のインフレ率に関する月次報告書を作成しています。これら2つの報告書は、世界最大の経済大国の健全性を見極めようとする世界の投資家にとって重要なデータ源であり、米国の年金給付額の決定からFRBの政策決定に至るまで、あらゆる場面で活用されています。

なお、BLS労働統計局長には、統計の専門知識を持ち、アメリカの民主・共和二大政党の支持を得ている候補者が任命されることが多くなっています。

トランプ大統領は第1次政権任期中、ヘリテージ研究所の元経済学者ウィリアム・ビーチ氏をBLS局長に選任しており、もちろんこの人物がもたらした懸念材料はより少ないものでした。

 

 


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