経済・政治の大嵐に見舞われる米国;第2次トランプ政権の遺産
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ドナルド・トランプ大統領の2期目を迎えた米国は、37.9兆ドルの国家債務、信用格付けの引き下げ、そして統治と社会の分野での数多くの課題に直面しています。
(last modified 2025-11-02T08:43:28+00:00 )
11月 01, 2025 18:32 Asia/Tokyo
  • ドナルド・トランプ米大統領
    ドナルド・トランプ米大統領

ドナルド・トランプ大統領の2期目を迎えた米国は、37.9兆ドルの国家債務、信用格付けの引き下げ、そして統治と社会の分野での数多くの課題に直面しています。

2025年1月に始まった第2次トランプ政権は、経済、政治、地政学、移民、環境といった分野で数々の課題に直面しています。

【Pars Today国際】タスニーム通信によりますと、相互に関連するこれらの課題は、トランプ政権による通商、税制、そして孤立主義政策の結果であると見られています。

米外交専門誌『フォーリン・アフェアーズ』、インドのビジネス英字紙『エコノミック・タイムズ』、『エコノミスト』といった権威ある出版物は最近、「米国の債務は約37.9兆ドルに達し、対GDP(国内総生産)債務比率が100%を超えた」と報じています。また、ムーディーズなどの格付け機関は米国の信用格付けをAa1に引き下げており、これは米国の信用リスクが以前よりも高まっていることを意味します。

トランプ氏が2025年1月にホワイトハウスに復帰して以来、アメリカは構造的な嵐や混乱に陥っているように思われます。「アメリカ・ファースト」のスローガンと魅力的な経済公約で始まったトランプ氏の政策は、瞬く間に恣意的で突発的な決定の嵐へと変貌しました。しかもこれらの政策は多くの場合、議会やその他の機関との事前の協議や調整を伴わずに行われ、米国経済に打撃を与えたのみならず、同国の社会、政治、そして構造の各層に甚大な負担を強いています。

こうしたアプローチの最も顕著な例の一つは、トランプ大統領の関税政策です。この政策はトランプ氏の就任早々、米国経済を急落させました。トランプ大統領は中国(最大160%)、EU(最大50%)、そして伝統的なパートナーであるカナダとメキシコからの輸入品に対する関税を大幅に引き上げました。この結果、S&P500指数は10%以上下落し、投資家は金などの安全な資産に殺到していったのです。また消費財や食料品の価格は上昇し、世界の供給網は大混乱に陥りました。

同時に、債務は37.9兆ドルに達し、2025年度の財政赤字は約1.4兆ドルと推定されています。減税の延長と国防費の増額に加え、年間1.2兆ドルを超える利払いにより、アメリカ連邦予算は益々逼迫しています。

エコノミスト誌は去る10月、「アメリカの債務対GDP比は99.9%に達し、2035年までに134%に達する可能性がある」と報じました。またムーディーズは去る5月、債務増加により米国の信用格付けを引き下げています。そしてアナリストらは「債務増加により借入コストが上昇し、米ドルへの信頼が損なわれた」と指摘しています。

制度上の変革:連邦政府における変化

トランプ政権は、独立監察官の解任や、政策に反対した検察官を含む元職員の訴追といった措置を講じてきました。専門家は、トランプ氏によるこれらの措置を、保守系シンクタンク・ヘリテージ財団が提唱した物議を醸す計画「プロジェクト2025」の一環だと考えています。この計画には、連邦官僚機構の抜本的な構造改革、機関の独立性の低下、そして大統領への権力集中が含まれていました。トランプ氏が2025年1月にホワイトハウス入りして以来実施してきた措置はさらに、司法省を含む米国の全ての独立機関を大統領の直接管理下に置くことも目的としています。

2025年10月現在、独立監察官の解任、NOAA海洋大気庁やNIH国立衛生研究所などの機関への資金削減、FBI米連邦捜査局と司法省の組織変更など、210件以上の大統領令が発令されています。これらの動きは、米国内の安定を阻害しているのみならず、国際舞台におけるアメリカの効力発揮能力を低下させているのです。

緊迫化する外交政策

米国の外交政策は、同国と同盟国間の緊張を高め、地政学的な情勢不安を生み出しています。トランプ大統領がEU欧州連合の同盟国およびNATO北大西洋条約機構加盟国との間に生み出した緊張は、米国にとって多くの問題を引き起こしていますが、これらの政策の真の影響は今後数年間で明らかになると予想されています。米国にとっての不利益の一つとして、欧州同盟国の信頼低下により、防衛の自給自足化が進み、米国企業との武器契約が減少していることが挙げられます。ちなみに、この市場は、米国の防衛産業に数十億ドル規模の収益をもたらしてきました。

加えて経済面では、カナダやヨーロッパとの相互関税により供給網が混乱し、米国ではインフレが加速しています。その例として、カナダのアルミニウム不足により、自動車や航空機の生産コストが上昇しています。

移民と社会問題

トランプ氏の移民政策は、大量送還、亡命の制限、外国人の米国への渡航禁止などを含みます。この問題は、米国の経済と社会に広範囲にわたる悪影響を及ぼしてきました。

 

 


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