米国とイスラエルの矛盾した政策および大量破壊兵器:西アジアにおける安全保障危機の元凶
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OPCW化学兵器禁止機関の第30回締約国会議で演説するアラーグチー・イラン外相
アラーグチー・イラン外相が、OPCW化学兵器禁止機関の第30回締約国会合において「地域で発生している絶え間ない戦争、侵略、大量虐殺、そしてシオニスト政権イスラエルの植民地主義や拡張主義は、アメリカの後押しと一部の欧州諸国による妥協策の直接的な結果である」と語りました。
イランのセイェド・アッバース・アラーグチー外相は25日火曜、オランダ・ハーグで開かれたOPCW第30回締約国会合において、「イラン・イスラム共和国はこれらの兵器の被害国の1つである」という見解を表明しています。
また、CWC化学兵器禁止条約が大量破壊兵器の恐怖の再発防止という、明確かつ具体的な目標を掲げて採択されたことを指摘し、「CWCはいかなる影響、政治化、圧力を受けることなく、その責務履行を続行すべきである。イスラエル政権は、大量破壊兵器のない西アジアの実現にとって、今なお唯一の障害として残存している」と述べました。
さらに「イランは、米国による条約に基づく義務の不遵守、あるいは履行遅延について、幾度となく公式ルートを通じて懸念を表明してきた」としています。
そして「米国は相変わらず非致死性化学兵器の開発を続けており、公式筋によれば、向精神薬や合成麻薬を兵器化するプロジェクトを実施している」と語りました。
続けて「国連および、その基本的な目的及び原則が攻撃されている。『戦争の惨禍から未来の世代を救う』ための主要な保証とされている国連憲章第2条第4項は日常的に侵害されており、さらに悪いことに、こうした侵害は常態化しつつある」と述べています。
米国とイスラエル政権は国際条約を無視し、大量破壊兵器の開発・維持に努めることで、西アジアにおける不信感に満ちたムードと軍拡競争に追い打ちをかけてきました。こうした行動は情勢不安を招くとともに、安全保障上の緊張を高め、大量破壊兵器のない地域実現への努力を阻害しています。
アメリカとイスラエルは、CWCおよび核兵器禁止条約に基づく義務を完全に履行していないとして非難されています。特に、イスラエル政権はNPT核兵器不拡散条約にも加盟しておらず、自らの核兵器保有を隠蔽しています。
一方で米国は、向精神薬や非致死性化学兵器の兵器化計画を進めてきました。また、核兵器を保有し透明性を欠くイスラエルは、大量破壊兵器のない西アジアの実現を阻む最大の障害と考えられています。
イスラエル政権による地域諸国への攻撃、特に先だってのカタール攻撃は、人道的・安全保障上の危機を引き起こしただけでなく、同盟国の安全保障の保証国としてのアメリカの立場を揺るがしています。これらの行動により、西アジアに情勢不安の波が発生しています。地域諸国もまた、脅威に対抗するため、軍事力と抑止力の強化に向けて動いています。
米国とイスラエルがこの種の条約に注意を払わないことから、CWCやOPCW、そしてNPTといった国際条約・機関の正当性に疑問が提起されています。大量破壊兵器の使用、あるいは使用の示唆は、民間人の安全に対する重大な脅威となります。特に、地域における唯一の核兵器保有政権であるイスラエルは、この目標達成における最大の障害となっています。
CWCを含む大量破壊兵器禁止条約がアメリカとイスラエルに無視されていることから、地域の安全保障が弱体化しているとともに、西アジアにおける政治、軍事、人道危機が悪化しています。その根本的な解決策は、独立諸国の立場と国際社会からの圧力によって、すべての国や主体が国際条約を遵守し、大量破壊兵器のない西アジア地域を目指すことなのです。

