IMFが警告:「欧州の財政見通しにさらに暗雲」
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IMFが警告:「欧州の財政見通しにさらに暗雲」
IMF国際通貨基金が、「ユーロ圏の財政面の見通しは今後数年間で徐々に弱まる」との予測を示しました。
財政面での欧州の見通しは暗転しており、債務の増加、国防費の圧力、そして金利上昇により、財政政策が経済議論の中心となっています。ユーロ圏経済は数年間の比較的穏やかな状況を経て、財政政策が再び注目を集めています。EU加盟国が2026年度予算を発表する中、新たな焦点となっているのは財政赤字、債務動向、そして政府財政の持続可能性です。
【ParsToday国際】ヨーロッパに拠点を置く、多言語放送の国際的なニュース専門チャンネル・ユーロニュースによりますと、IMFは最新の報告書「経済サーベイランス」において、ユーロ圏の財政見通しは今後数年間で徐々に悪化していくとの予測を示しました。この報告書によれば、ユーロ圏全体の財政赤字は2025年のGDP国内総生産比3.2%から2030年には3.7%に増加する見込みです。また、債務対GDP比も2025年の87.8%から2030年には92.2%に上昇すると予想されています。
もっとも、この傾向は加盟国間でばらつきが見られます。債務増加率が最も大きいのはフランスとベルギーで、フランスの債務は116.5%から129.4%に、ベルギーは107.5%から122.6%にそれぞれ増加すると見られています。財政規律の模範と常にみなされているドイツでも債務比率は9ポイント上昇し、約73.6%に達する見込みです。一方、スペイン、ポルトガル、ギリシャといった国は経済成長率が高く、予算管理が優れているため債務削減が軌道に乗っています。そしてアイルランドとオランダは今後とも、EU圏で最も大きな経済回復力を維持すると見られています。
一方、米国の債券格付機関KBRAクロール・ボンド・レーティングのアナリストらは「欧州諸国の財政がたどる道筋は異なっており、ポルトガル、アイルランド、ギリシャなどの国は、財政の持続可能性という点でフランス、イタリア、ドイツよりもはるかに優れている」と警告しています。
KBRAのアナリストらの話では、EU圏の国防費は2035年までにGDPの3.5%に達する可能性があり、ユーロ圏諸国の予算をさらにひっ迫することになるとされています。

