対キューバ制裁政策:他国に対する米国の強制的なアプローチの一例
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国連人権問題特別報告者が、米国の制裁によりキューバの人道状況が悪化したとして、これらの制裁の即時解除を求めました。
(last modified 2025-11-22T11:05:44+00:00 )
11月 22, 2025 19:39 Asia/Tokyo
  • 対キューバ制裁は同国の人道状況をかく乱
    対キューバ制裁は同国の人道状況をかく乱

国連人権問題特別報告者が、米国の制裁によりキューバの人道状況が悪化したとして、これらの制裁の即時解除を求めました。

ベラルーシ人で、国連人権理事会の下で実態調査や報告に当たる特別報告者、アリーナ・ドゥハン氏は「米国の対キューバ制裁は国際法規範の重要な部分に準拠していない」と指摘し、米国の金融・貿易制裁がキューバの医療、食糧安全保障、教育システムに悪影響を及ぼしていることを強調し、こうした制限の撤廃を求めています。

経済制裁や政治制裁の実施は、数十年にもわたり米国の外交政策の重要な手段とされてきましたが、近年では特にアメリカの政策に追従しようとしない国々に対して、より広範に利用されるようになっています。

過去数十年にわたり、アメリカ当局はこうした経済・財政的圧力を行使して、独立した政治・経済的道を歩む国々に圧力をかけてきましたが、この政策は実際に数百万人もの人々の日常生活を危機に陥れてきました。制裁が課されることで、各国の銀行システムは深刻な制約を受け、対外貿易は混乱し、国際金融資源にアクセスできなくなります。医薬品の輸入は困難になり、医療機器が不足し、食料安全保障が脅かされます。このような状況下でそうした政策の被害を真っ先に受けるのは医療患者、子供、そして社会的に弱い立場にある人々です。

今日において、この現実を最も如実に物語っている例が、1962年以来ずっと米国の制裁を受けているキューバです。ドゥハン国連特別報告者はキューバ首都ハバナへの訪問中に、これらの制裁が「人道状況の深刻な悪化をまねき」、人々が食料や医薬品にアクセスできないように遮断していると述べました。この発言がなされたのは、国連総会が最近、165票の賛成を得て、米国のキューバ制裁の終結を改めて求めた時期に当たります。これは、こうした政策が国際法の観点からだけでなく、倫理的・人道的観点からも深刻な疑問を引き起こしていることを示す、世界的な見解の一致とも言えます。

しかし、こうしたアプローチの被害国はキューバだけではありません。イランでも、国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチが2019年に、アメリカの制裁は人道面での例外を主張していながら、「イラン国民の健康権を侵害」し、がん患者や希少疾患患者向けの医薬品を含む重要な医薬品へのアクセスを著しく制限していると警告しています。

実際、米国の制裁政策は支配と圧力に基づくものです。アメリカは経済分野での圧力によって各国に政治的方針の変更を迫り、自らの意向に従わせようとしていますが、このアプローチの結果は人々の苦しみを増大させるだけです。制裁は外交や紛争解決の手段ではなく、人々の生活と健康を脅かす手段と化しています。

では、米国がこの政策を続行する理由はどこにあるのでしょうか?米国が制裁を課す際の最も根本的な第1の目的は、各国に国際舞台におけるアメリカの政策、規範、そして戦略的利益を遵守させることです。制裁は、米国が思惑とする政治、経済、あるいは安全保障モデルに従わない政府を「封じ込める」ための手段として用いられます。この政策は、経済的圧力、金融的孤立、そして世界市場へのアクセス制限によって、各国政府は最終的に自らの立場を再考し、支配的な大国が設定した道へと回帰せざるを得なくなる、という前提に基づくものです。

米国のもう一つの目的は、世界的な覇権と影響力を維持し、国際体制への影響力ある勢力としての地位を強化することです。第2次世界大戦終結以来、米国は自国の利益に沿った世界の政治・経済体制の形成に努めてきました。この文脈において、制裁は軍事力に直接訴えることなく政治的意思を表明するための手段だといえます。米国が望む政策やアプローチに沿わない国に制裁を課すことは、他国に対し、不遵守が深刻な代償を伴うという明確なメッセージを送ることになります。

もう1つの重要な要素は、戦略的な資源と地域、特にエネルギー分野と重要な国際貿易ルートを支配しようとする試みです。米国の制裁対象国の多くは、石油やガスといった貴重な天然資源を保有しているか、地政学的に重要な立場・地理的位置にあります。制裁によってこれらの国が経済的に弱体化すれば、国際舞台で独立した役割を果たす能力が低下し、米国とその同盟国による政治的・経済的影響力の拡大につながります。さらに、制裁はしばしば国内における政治的搾取の手段となっています。アメリカの政治家は、反米的な政府に対して強硬な姿勢を取ることで、国家安全保障と自らが主張する価値観の擁護者という印象を与え、世論や有力者からの支持を得ているのです。

結論として、数十年にわたる制裁という経験は、この政策が当初の目的を達成できなかったのみならず、多くの場合逆効果となったことを示しています。アメリカの予想に反して、制裁対象国は必ずしも米国の要求に屈したわけではなく、多くの場合、自国内能力の強化、新たなパートナー国との協力拡大、そしてより自立した戦略の採用へと動いています。様々な国の経験は、経済的圧力によって国民の意志を挫くことはできず、銀行や国境の閉鎖による人間の尊厳の破壊が不可能であることを示しています。したがって、アメリカがこのアプローチを続行しているのは、対話、協力、そして相互尊重を通じた他国との対立解決を拒否していることの反映だといえるのです。

 

 


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