イタリア首相が欧州諸国にトランプ氏とは慎重に関わるよう求めた理由とは?
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イタリアのジョルジャ・メローニ首相が、ドナルド・トランプ米国大統領について欧州の指導者らに警告し、同大統領と衝突しないよう求めました。
(last modified 2026-01-28T06:10:52+00:00 )
1月 25, 2026 13:10 Asia/Tokyo
  • ホワイトハウスで会談するトランプ米大統領とメローニ・イタリア首相
    ホワイトハウスで会談するトランプ米大統領とメローニ・イタリア首相

イタリアのジョルジャ・メローニ首相が、ドナルド・トランプ米国大統領について欧州の指導者らに警告し、同大統領と衝突しないよう求めました。

【ParsToday国際】メローニ首相はヨーロッパの首脳陣に対し、トランプ大統領を「気違いじみている」「予測不可能」などと表現せず、彼と衝突しないよう求めるとともに、その理由として、そうしないとヨーロッパはすべてを失うことになると警告しています。

メローニ首相は欧州各国首脳に対し、「トランプ大統領と真向から対立するのは得策ではない。それは、米国と争うなら欧州はすべてを失うことになるからだ」と表明しました。実際、メローニ首相は今月22日にベルギー首都ブリュッセルで開かれた欧州首脳会議で欧州各国首脳に対し、冷静さを保ち、トランプ大統領を「狂人」や「予測不能」などと非難しないよう求めています。

しかし、欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長はブリュッセルでの首脳会談後、欧州の首脳らが今週、トランプ大統領に対し「断固として」かつ「非攻撃的な」態度で対抗することが、今後も追求し続けるべき効果的な戦略であると認識したと明かしました。

この時の欧州首脳会議の議題は、トランプ大統領が欧州8カ国に関税を課すと脅迫したことへの対応策でした。トランプ大統領は「もし欧州諸国が米国のグリーンランド占領に反対し続けるならば、10%の関税を課し、数ヶ月後に増額する」と警告していました。もっとも、トランプ大統領はその前日の21日にNATO北大西洋条約機構のマルク・ルッテ事務総長と会談した後、グリーンランド問題に関する合意の「枠組み」が得られ、欧州諸国に関税を課す必要はないとしていました。

メローニ首相がトランプ大統領との交渉において欧州は慎重すべきと訴えた背景には、欧州の政治・安全保障構造に対するより深い懸念があります。この警告はイデオロギー的な対立に基づくものではなく、戦略的な計算と長年にわたる大西洋を隔てた欧米関係の経験に基づいています。欧州右派に属するメローニ氏は、一部の有識者の予想に反して、トランプ大統領に対して慎重な姿勢をとっており、欧州の指導者に対し、直接対決や厳しい姿勢を避けるよう促しています。こうした姿勢には、以下のような複数の重要な理由が考えられます;

まず、メローニ氏は、ヨーロッパが現在、経済、エネルギー、安全保障上の様々な課題に直面しており、米国との不必要な緊張は状況を複雑化させかねないと考えていることが挙げられます。トランプ氏が大統領として、そして影響力のある政治家として米国の外交政策を突然変更する力を持っていることから、安全保障と経済協力への打撃を防ぐため、ヨーロッパはトランプ大統領を刺激しないよう図るべきだ、というのがメローニ首相の考えです。NATOへの圧力、安全保障上の約束履行縮小の示唆、そして貿易関税の導入を伴った前トランプ政権時代の経験は、多くのヨーロッパの指導者の意識に強烈に刻まれています。これらの経験を踏まえ、メローニ氏は、ヨーロッパが再びアメリカによる突然かつ一方的な決定に翻弄されるべきではないと警告しているのです。

第2の理由は、メローニ氏がEU内部の結束を維持しようとしている点です。トランプ大統領に対する強硬な姿勢は、一部の政府が米国との緊密な協力を求める一方で、他の政府がより大きな戦略的独立を求めて欧州諸国、特に西欧と東欧の間の分断を深めることを、メローニ氏は懸念しています。メローニ氏の見解では、穏健かつ慎重なアプローチをとることで、EU内部の新たな見解対立を阻止できるとされています。

しかしこの見解とは対照的に、欧州の指導者やアナリストの一部は、欧州としてトランプ大統領に対して断固たる、さらには抑止力となる姿勢を取るべきだと考えています。彼らは、トランプ大統領の過去の政策から、彼が多国間主義、国際協力、そして共通の安全保障体制の原則を遵守していないことが見て取れると主張しています。また彼らの見解では、欧州がトランプ大統領からの潜在的な圧力に直面して後退すれば、EU​​は独立した意志を欠き、政策面で容易に米国の言いなりになるというメッセージを送るに等しい、とされています。この懸念は、欧州の戦略的独立性を重視するフランスなどの国々において特に顕著に見られます。

また別のグループは、トランプ大統領の方が貿易、移民、エネルギー政策といった問題において、欧州の利益を直接損なう政策を採用する可能性があると考えています。彼らの見解では、欧州は今こそレッドラインを明確にし、必要であれば潜在的な圧力に抵抗すべきだとされています。このアプローチは、明確な境界線を定めない慎重な関与はトランプ大統領の駆け引き能力を高めるだけだという仮定に基づくものです。

総括すると、メローニ氏の警告は、緊張のエスカレーションを防ぎ、欧米間の関係安定を維持するための試みと捉えることができます。一方、このアプローチへの反対派は、ヨーロッパの独立性の固守および、過去の経験の二の舞を防ぐ必要性を強調しています。この2つの異なる視点は、対米関係における新時代を目前に控えたヨーロッパが、依然として協力と独立性のバランスを模索していることを物語っているのです。

 


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