エプスタイン事件をめぐる欧米間の政治的対応の矛盾
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大西洋を隔てた欧州と米国の間で、エプスタイン事件をめぐる対応に矛盾
アメリカ大富豪で性犯罪者のジェフリー・エプスタイン元被告が引き起こした一連の事件に関係する人物の名前や関係当局の扱われ方は、大西洋を隔てた欧州とアメリカで大きく異なっています。
【ParsToday国際】ヨーロッパにおいてエプスタイン事件の新たな側面が明らかになったことにより、政治家や著名人に大きな影響が及んだ一方で、アメリカでの反応は限定的なものに留まり、この事件で名前が挙がった多くの政財界の著名人・関係者はまだ深刻な影響を受けていません。
欧州とアメリカでは、エプスタイン事件に関係する人物や関係者の扱いが大きく異なっています。実際、この事件はヨーロッパでは政治危機に発展し、一部の関係者の職務停止、辞任、あるいは司法捜査の開始につながった一方で、アメリカでは広範な政治的反応には及んでいないのです。アメリカの政治専門メディア・ポリティコは「ノルウェーでは、上級外交官が既に停職処分を受けている、元首相に対する警察の捜査も開始されている。英国では、元駐米大使が解任され、上院議員の辞任にまで至った。警察は、同大使がエプスタイン元被告に機密情報を提供したとの報告を捜査している」と報じました。
英アンドリュー元王子は王室の称号と公邸を剥奪され、元妻サラ・ファーガソン氏が運営する慈善団体は、エプスタイン氏を称賛するメールが公開されたことを受けて無期限閉鎖に追い込まれました。欧州におけるこうした動きは、主に世論の圧力に応え、政治的環境の浄化を目的としたものとなっています。こうした欧州とは対照的に、アメリカではこの事件をめぐり著名な政治家が本格的に政界から身を引いた事例は報告されていません。ポリティコによれば、ドナルド・トランプ米大統領に近い共和党員は、エプスタイン氏との関係に関する文書が公開され新たな疑惑が浮上しているにもかかわらず、依然としてトランプ氏を概ね支持しています。これに対しトランプ氏は不正行為を否定し、既に数年前にエプスタイン氏との関係を断ったと主張しています。
ハワード・ラトニック米国商務長官も、エプスタイン氏とのかなり親密な関係を示すメールが公開されたにもかかわらず、職務にとどまっています。ラトニック米国商務長官の報道官は「ラトニック氏とエプスタイン氏との接触は限定的であり、正式に起訴されていない」と表明しました。また、世界最大級の米金融機関ゴールドマン・サックスとそのCEOも、この事件での高額な収賄を理由にメディアからの圧力を受けている法律顧問を擁護しています。
この報道によれば、エプスタイン関連文書には複数の米国政府高官や在外大使の名前が記載されていたものの、彼らに対する明確な処分はなされていません。トランプ大統領の元顧問兼戦略家であるスティーブ・バノン氏や、アメリカの億万長者イーロン・マスク氏など、エプスタイン氏との関連が指摘されている多くの著名人にとって、唯一の損害は公的な評判の失墜だったということです。
イーロン・マスク氏は「X」への投稿において「重要なのはエプスタイン氏とともに犯罪を引き起こした者への訴追であり、少なくとも1人を逮捕しない限り、文書の開示は単なる見せかけ、世論の歪曲に過ぎない」と強調しました。
元駐デンマーク米国大使のルーファス・ギフォード(Rufus Gifford)氏によれば、アメリカ社会はこの問題を真剣に再考し、なぜヨーロッパと同様の対応を取らないのかを問う必要があるということです。ポリティコの分析では、アメリカではこの問題により辞任した人物はごくわずかで、多くの著名人にとっては、このスキャンダルはまだ深刻な実質的な影響を及ぼしていない、とされています。

