トランプ大統領は自由落下中か?
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欧州議会・国際貿易委員会のランゲ委員長が「トランプ米大統領は現在、自由落下中である」と語りました。
(last modified 2026-02-23T06:23:09+00:00 )
2月 23, 2026 15:20 Asia/Tokyo
  • 欧州議会・国際貿易委員会のベルント・ランゲ委員長
    欧州議会・国際貿易委員会のベルント・ランゲ委員長

欧州議会・国際貿易委員会のランゲ委員長が「トランプ米大統領は現在、自由落下中である」と語りました。

ベルント・ランゲ(Bernd LANGE)委員長は、ドナルド・トランプ米大統領に対する米最高裁の判決を歓迎し、同大統領が目下自由落下中であると述べています。

また、トランプ氏の関税計画に反対する最高裁の判決について「自分は、米最高裁がこのような判決を下すと確信していた」としました。アメリカ合衆国憲法第1条第8項は、「貿易と関税政策は議会の責任である」と明確に規定しています。2025年12月に行われた最高裁判所の審理でも、判事間の合意が決定的であることが明らかになりました。

ランゲ委員長はさらに「欧米間の争点は今なお続いており、それは貿易協定の範囲を超えたものである。幸いなことに、発表された事柄の全てが実際に実施されるわけではない。しかし、これは当然ながら大きな不確実性を生み出し、それは安全保障政策にも波及している」とコメントしています。

そして「こうした対立や論争は今後3年間、そしてトランプ大統領の任期中も続くだろう」との予測を示し、「一方で、何が起こるかを見守る必要がある。現在、私が思うにトランプ大統領は自由落下状態にある。その兆候の1つとして、米与党・共和党議員6名が野党民主党と共に、カナダに対する関税政策に反対票を投じたことが挙げられる。共和党が多数派を占める2つの州も、最高裁判所における関税訴訟に加わっている。これはつまり、トランプ大統領への圧力が高まっていることを意味する。もしトランプ大統領が今年の中間選挙で敗北すれば、大統領としての彼の任期がさらに早く終わるかもしれない」と述べました。

トランプ大統領の状況を自由落下に例えたこの欧州議会高官の率直な姿勢は、否定しがたい現実、すなわち、米国最高裁による貿易関税への判決後を含め、トランプ大統領にとっての困難が増していること、そして米国民の間での彼の人気・支持率が低下していることを如実に物語っています。

トランプ大統領の失墜に関するランゲ委員長の発言は、単にトランプ氏の法的挫折を反映しているのみならず、今年の米国中間選挙を控えたトランプ政権のさらなる頭痛の種となる一連の危機の兆候とも言えます。この失墜の原因は国民の支持率の低下、法的な行き詰まりと経済政策への不信、そして国際舞台におけるさらなる孤立化という3つの主要なポイントに集約されます。

トランプ大統領の失墜を示す最も重要な第1の指標は、米国内での支持率の劇的な低下です。実にアメリカ国民の10人中6人がトランプ大統領の政策運営に不満を抱いています。今月12日から17日にかけて実施された米紙ワシントン・ポストと仏世論調査会社イプソスによる最新の世論調査によれば、全アメリカ国民の60%および登録有権者の58%が、トランプ大統領の国政運営は醜悪だと考えており、さらに50%がトランプ大統領の政策運営に「強い」不満を抱いています。

トランプ大統領は「インフレ圧力は存在しない、あるいは急速に低下している」として国民を説得しようと涙ぐましい努力をしているものの、それはこれまでのところ失敗に終わっています。世論調査によれば、全米国市民の65%が「トランプ氏は物価引き下げのための十分な取り組みを行っていない」と回答しています。また、多くの米国民がトランプ大統領の世界的な関税政策に反対しており、世論調査ではその割合は64%にも及びます。さらに、カナダとの貿易摩擦、グリーンランドをめぐるNATO北大西洋条約機構との対立、そして対イラン攻撃の示唆・脅迫といった外交政策の評価も低く、この分野におけるトランプ大統領の実績に対する不満度は62%にも上っています。

トランプ氏の自由落下の第2の要因は、先般の最高裁での圧倒的敗北と、それに続く貿易政策の混乱です。最高裁は6対3の判決で、「大統領は緊急権限を行使して広範な関税を課すことはできない」との判決を下し、これによりトランプ大統領は法的な空白状態に陥りました。この判決に対するトランプ大統領の反応は、彼の行き詰まりを反映しています。トランプ氏は当初は議会の承認を必要とする暫定的な条項を用いて10%の新たな関税を約束しましたが、後にそれを15%に引き上げました。この「関税の混乱」は市場を刺激した上に、アメリカ人家庭の生活費を押し上げた格好となりました。さらに、関税を撤廃すれば今後10年間で予測される米国政府の歳入が2兆5000億ドル減少することになり、1500億ドルの税収の還付は連邦予算を深刻な圧迫に陥れています。

トランプ氏の自由落下・転落の3つ目の側面は、国際的な孤立および、最も緊密なアメリカの同盟国との同盟関係の崩壊です。まさにこの文脈において、前出のランゲ委員長の発言は意味を持ってくることになります。ランゲ氏は米最高裁の決定を「法の支配にとって前向きなシグナル」と評し、「米国大統領といえど法の真空地帯で行動するわけではない」と強調しました。また。米国政府の「関税の混乱」に言及し、2025年7月に署名されたEU・米国貿易協定(通称;ターンベリー合意、英スコットランド西部にあるトランプ氏所有のゴルフリゾートにちなむ)の批准プロセスを、米国が「明確な約束順守」を示すまで一時凍結することを提案しています。米国最高裁の決定は、トランプ氏の最も重要な貿易上の成果の一つを事実上棚上げにしたと言えるでしょう。欧州に加えて、トランプ氏がデンマーク自治領グリーンランドを(軍事的選択肢も含めて)占領すると脅迫し、カナダへの圧力行使を示唆したことで、アメリカとその旧来の同盟国との関係は深刻に損なわれることとなりました。特にカナダのマーク・カーニー首相は、これらの行動を「法規範に基づく国際秩序の終焉」の一例と捉えています。

これらのことを総括すると、トランプ氏の「自由落下」は、逆風3点セットが重なり合った結果だと言えます。即ち、その3大危機とは、支持率の低下と経済的な不満に起因する米国内における自らの合法性の危機、最高裁判決による行政権の制限に起因する法的・制度的な危機、そして旧来からの同盟国を米国から乖離させた国際的な信頼性の危機です。これらの課題により、2026年の中間選挙を前に、トランプ氏と与党共和党にとっては非常に困難な政治情勢がクローズアップされているのです。

 

 


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