北朝鮮をめぐる安保理会議とロシアの立場
ガッファーリー解説員 北朝鮮の衛星打ち上げを受け、国連安保理は北朝鮮に対する強力な決議を採択することを決定しました。また北朝鮮のミサイル実験を強く非難する声明が発表されました。
明らかに、安保理は声明にとどまらず、北朝鮮に対する更なる圧力に向けた決議を採択することを決定しました。安保理理事国やその他の関係者によれば、北朝鮮の衛星ロケットは、核兵器を搭載することができるように開発されており、これ自体安保理の4つの決議の違反だということです。安保理理事国、アメリカとアジアのそのすべての同盟国は、北朝鮮の行動を平和に対する明らかな脅威と見ています。
北朝鮮に対する決議の採択という安保理の措置は、北朝鮮の決定に影響を及ぼさないかもしれません。こうした中、北朝鮮の衛星打ち上げに対するロシアの意見表明により、ロシアが取っている立場に注目が集まっています。ロシアはアジアの北や東での自らの利益を考えているのでしょう。ロシアが北朝鮮をこれに関する自らの駒と考えているか否かはさておき、実際、アジア、基本的には世界でロシアの台頭を目にするような出来事が起こっています。
ウクライナ危機と日本が欧米に倣ってロシアに制裁を行使したあと、ロシアが北朝鮮の債務を免除したことは、ロシアをはじめとする各国の政策を示すものです。ロシアが北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の再開は困難となっていると述べたことはこうした点から分析できるでしょう。ロシアは戦術にわずかな違いがあるものの、中国と同じように行動しているようです。
もし北朝鮮が自らの行為によって制裁を受けることになるなら、なぜアジアにおけるアメリカの軍事拠点になっている国々は世界の非難の対象にならないのでしょうか。アメリカは日本と韓国に軍事拠点を持ち、およそ8万人の兵士を駐留させることで、アジアの治安を乱し、安全保障上の圧力を加える以外の目的を有していません。
ロシアが北朝鮮に対してこのような行動をとらないよう求めているのは、ロシアを脅かすからという意味ではなく、このような行動が朝鮮半島の緊張継続につながり、これがブロック化政策と軍事駐留の拡大に追求する国々の利益になると考えているためです。
このため、ロシアは北朝鮮に対し、自らの政策において熟考し、慎重に行動するよう求めています。ロシアのラブロフ外務大臣は日本の岸田外務大臣との電話会談で、北朝鮮の行動は安保理決議に反するということだけにとどまりましたが、ラブロフ大臣はまさに中国の外務大臣と同じように、朝鮮半島を中心とする北東アジアの緊張の外交的解決の重要性を強調しました。
アメリカの元国務長官のキッシンジャーなどの外交専門家は、「ロシアは世界の体制から切り離すことのできない存在だ」と述べています。彼は、世界における中国の役割は重要なものだとしていますが、現在世界が取り組むべきなのは、アメリカとロシアの関係だとし、冷戦前後の世界のバランスはこれによって築かれたと考えています。
キッシンジャーによれば、ロシアとアメリカは、コントロールのできない状況を生じさせたくはないということです。なぜなら、両国の不在は世界のバランスを崩すことになるからです。朝鮮半島の情勢と、特に北朝鮮の行動は、キッシンジャーが指摘しているまさにこの状況のことを言っているのです。