アメリカ大統領選挙の初討論会
アメリカ大統領選挙の共和党候補のトランプ氏、民主党候補のクリントン氏の初めての討論会が26日月曜、ニューヨーク州のホフストラ大学で行われました。
ミールターヘル解説員
およそ90分に渡るこの討論会では、アメリカの将来に関する問題、福祉、税金、雇用、外交政策、安全保障の問題が議論されました。
この討論会の最初に、両候補は経済問題への見解やアプローチを提示すると共に、相手側の財政・経済政策を批判しました。クリントン氏の経済政策の基盤は、富裕層の増税、インフラ、技術、クリーンエネルギーへの投資と、男女の賃金の平等に置かれています。一方のトランプ氏は、富裕層の減税を支持しています。彼の目的は、投資家をアメリカ国内の更なる投資に奨励することであり、これによって国外へのアメリカ企業の投資を防ぎ、国内の雇用を維持しようとしています。さらに彼は、他国との貿易協定に関する協議を再度開催するようを求めています。
実際クリントン氏は、オバマ大統領の経済政策を継続しようとしています。その一方で、トランプ氏は民主党の経済政策とは逆の政策をとろうとしています。明らかにこの問題は、外交政策においてアメリカに次ぐ経済大国である中国への対応を意味することになるでしょう。
この討論における重要な問題は、アメリカの外交・安全保障政策に関する問題であり、それにはイランとの核合意、ISISを初めとするテロ対策、NATO北大西洋条約機構との将来的な関係などの問題が含まれています。これに関してもクリントン氏とトランプ氏の立場は完全に異なっています。
イランの核合意に関して、クリントン氏はこの合意を支持し、それに満足を表明していますが、トランプ氏はこの合意はイランを経済大国に変えるとして懸念を表しています。
テロ対策、テロ組織ISISへの対応に関しても、両候補は完全に異なった見解を有しています。トランプ氏は民主党政府の政策はISISの形成の要因だとし、オバマ氏とクリントン氏はイラクで力の空白を作ったと強調しました。クリントン氏はトランプ氏がISISに対する明確な政策を有していないと非難し、「トランプ氏は再三にわたりISIS対策に関する秘密裏の計画について語っているが、これに関する計画を一切持っていない」と強調しました。一方、トランプ氏はブッシュ・オバマ政権が追及した世界レベルでのテロ対策を非難し、アメリカは世界の警察の役割を果たすことはできない」と強調しました。またトランプ氏は、討論会で、アメリカとNATOの関係の現状とその見直しの必要性について語りました。彼によれば、アメリカはNATOの費用の70%以上を負担しており、NATOの加盟国は自らの安全確保のための費用を負担すべきだ、ということです。
外交・安全保障政策においても、クリントン氏はアメリカの現行政府の方針を一部の変更を加えながら継続するつもりのようですが、トランプ氏はこの分野で大きな変更を加えようとしています。トランプ氏は以前にも、ロシアとの関係の見直し、NATOやサウジアラビアとの防衛・安全保障関係における見直し、さらに中国へのより厳しい政策を強調していました。
今回の討論会後に行われた最新の世論調査では、クリントン氏がトランプ氏に大幅な差をつけて第1回討論会の勝者となっています。この世論調査ではクリントン氏はトランプ氏27%に対し62%の得票率を得ています。第2回討論会は10月9日、ワシントン大学で行われる予定です。