トランプ氏の勝利、アメリカ人の怒りの表れ
トランプ氏がついに、政治、経済、社会の被害者を守るとした数ヶ月に及ぶ遊説の経て、大統領に選出されました。
アボルファトフ解説員
トランプ氏の勝利は多くの世論調査や政治・社会問題のアナリストの予想に反するものでした。こうした中、トランプ氏の当選は理解の範疇にあります。アメリカンドリームが消え去り、一般市民の大統領や議会など政治体制への信用が低下している中で、いつか一般人の怒りが再燃するのは予想できたことでした。
今年の選挙は、アメリカのこれまでの多くの選挙とは異なり、政党の争いではありませんでした。大統領の椅子もまた、アメリカの政治、政党にとって重要ですが、アメリカの有権者、社会で軽視されていた人々、あるいは訴える力を持たなかった人々にとって、この選挙は生か死かの争いでした。
現在、多くのアメリカ国民の中には、過去の過ちにあふれた道を改められるのではないかという希望が生じています。
トランプ氏の支持者は、トランプ氏が経済状況の改善、雇用創出、外国への雇用流出の阻止といった公約を実行することを期待しています。さらに不法移民の追放、そうした人々の流入の阻止、真のテロ対策といったことも、次期政府の政策に入っています。
これらの政策の実行は、トランプ氏が約束しているように、アメリカの将来への道を明らかに変化させる可能性があります。こうした中、今もトランプ氏がこれらの公約を実行するつもりか、またできるのかはわかりません。アメリカの政治的な慣習に基づき、当選した大統領は一部の公約を忘れたり、野党の妨害といったことを口実に、それらを実現していません。このため、トランプ氏がこれからこれらの物議をかもした公約の多くを実現しない可能性もあります。
アメリカのオバマ現大統領も2008年、キューバのグアンタナモ刑務所の閉鎖、国外での戦争拒否、不法移民の問題の解決といった公約を提示し、勝利しました。しかしこれらの公約はどれ一つとして実現しませんでした。このため、トランプ氏の一部の公約も同様の運命を辿ることもありうるのです。こうした中、たとえトランプ氏が自らの政策の全てを実行するための真剣な決意を有していたとしても、自身もかつて不正資金で非難されていたことから、激しい抵抗に直面する可能性があります。
アメリカを支配する少数独裁政治は、怒れる国民を前に屈することはなく、様々な形で、社会の新たな要求を避けるか、消し去ることが予想されます。そうした場合、トランプ氏の公約の不履行は、社会的な暴力を引き起こす可能性があるのです。