アメリカと北朝鮮を巡る危機
北朝鮮が水素爆弾の実験を発表した後、アメリカの政府高官は、これまでよりもはっきりと、北朝鮮に対する軍事攻撃の可能性を示唆しました。 アメリカのトランプ大統領は、「北朝鮮に対する軍事攻撃を指示するか」との記者の問いに対し、「そのうち分かる」と答えました。 また、アメリカのマティス国防長官は、「アメリカ政府は、北朝鮮に対して多くの軍事的な選択肢を有している」と主張しました。
トランプ大統領の就任から7ヶ月、またこれまでのアメリカの政権からも、同じような発言は行われてきました。アメリカはまた、北朝鮮に対して、政治、プロパガンダ、経済、貿易の分野で多くの行動を見せてきました。しかし、それらのいずれも、これまでのところ、北朝鮮政府の核・ミサイル能力の拡大を停止させることはできませんでした。
現在、北朝鮮は、アメリカを標的にし、核弾頭を搭載できる弾道ミサイルの製造能力を有しています。今回の水爆実験は、アメリカをはじめとする西側から、最も厳しい政治的、経済的な圧力をかけられた中での、北朝鮮の最新の成果であり、アメリカに対する回答です。それにも拘わらず、現在、アメリカの政治家は、これまでと比べてさらにはっきりと、北朝鮮への軍事攻撃の可能性について語っています。もしアメリカ政府が、北朝鮮の核・ミサイル活動を停止させる目的で、この国を攻撃する意志、あるいはその力を持っていたら、とっくの昔にそれを実行していたでしょう。しかし、アメリカの同盟国である日本と韓国を攻撃する力や核能力を持つ北朝鮮への軍事攻撃は、世界的な危機をもたらすことになり、その結果は、第二次世界大戦に匹敵するものとなるでしょう。
ワシントンポストは、次のように記しています。
「政治問題のアナリストによれば、アメリカの北朝鮮に対する攻撃は、問題を解決しないばかりか、数々の新たな悲劇を生むだろう。そのため、朝鮮半島の現在の危機を終わらせるための最良の方法は、双方の協議である」
こうしたことから、トランプ大統領の北朝鮮に対する以前の脅迫が、単なる脅迫であったのと同じように、今回の、北朝鮮による水爆実験後のトランプ大統領やマティス国防長官の発言も、具体的な行動にはつながらない可能性があります。ただし、北朝鮮に対する武力行使の可能性に関するアメリカ政府の発言は、核・ミサイル計画の加速化に向けた北朝鮮の決意を、さらに固いものにするでしょう。