アメリカの核兵器は世界平和の源か、それとも情勢不安の元凶か?
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ペンス副大統領
アメリカのペンス副大統領が、アメリカの核兵器を世界の平和の源であるとしました。
ペンス副大統領は、アメリカ・ノースダコタ州にあるマイノット空軍基地を視察し、ツイッター上で「アメリカの核兵器ほど、平和の原動力となっている力は存在しない」と語りました。これについて、IRIBアボルファトフ解説員の報告です。
アメリカは、戦争で核兵器を使用した唯一の国として知られています。
アメリカは、70年前に広島と長崎に原子爆弾を投下し、30万人以上の人々に多大な苦しみを与え、また死に追いやりました。それ以前には、人類の製造した兵器のいずれも、これほどの恐ろしい大量虐殺を引き起こした例はありません。広島と長崎への原爆の投下は、人類がはじめて地球の破滅への恐れに遭遇するという新しい時代を歴史にもたらすことになりました。
アメリカによる原子爆弾の投下からわずか4年後には、当時のソ連がはじめて核爆弾の実験を行いました。
このようにして、世界では核兵器による軍備競争の時代が始まり、この息詰るような競争の結果、1962年10月にはアメリカとソ連による核戦争の勃発の一歩手前まで、事態は悪化しました。
当時、ソ連が核爆弾を搭載した自国の船舶をキューバ付近にまで戻していなかったなら、さらに、当時アメリカ大統領だったケネディ氏が核戦争の開戦命令を出していたなら、その戦争は始まってからわずか数時間で少なくとも4億人の人々を死に至らしめていたと思われます。
現在も、アメリカは単独で地球全体を何度も破壊できるほどの核兵器を備蓄しています。過去70年間において、アメリカはこれらの核兵器を実際に使用してはいないものの、世界における核兵器の拡散に、直接あるいは間接的に関わってきたことは間違いありません。
現在すでに、世界は北朝鮮とアメリカの核兵器による衝突を懸念しています。万が一にも、この戦争が始まれば、世界に大惨事を引き起こすことが’考えられます。

ペンス副大統領が指摘している世界の平和は、社会正義の結果としてではなく、核兵器による他国への攻撃というアメリカの軍事行動への恐れと背中合わせに成り立っているのが現状です。超大国による破壊行為への恐れにより、戦後70年たった現在、大国間の直接的な戦争の勃発はかろうじて回避されています。しかし、戦後から現在までに、アメリカをはじめとする核保有国は、ライバル国に対する戦線を、自国内からアジア、アフリカ、南米諸国の発展途上国へと拡大してきました。これらの地域でも、各国の国民は超大国間の戦争に関する莫大な金銭的、人的費用の負担を強いられています。言い換えれば、アメリカは自らとヨーロッパの同盟国のために、核兵器により平和を手に入れたものの、それは他の地域では戦争と流血という結果しかもたらさなかったのです。