アメリカ上院のハスペル氏CIA長官の承認
(last modified Fri, 18 May 2018 10:07:31 GMT )
May 18, 2018 19:07 Asia/Tokyo
  • ハスペル氏
    ハスペル氏

アメリカ上院が、人権団体などの抗議をよそに、賛成54、反対45で、トランプ大統領によってCIA長官に指名されたハスペル氏の人事案を承認しました。

ハスペル氏は、CIA初の女性長官となります。ハスペル氏は61歳で、2001年のアメリカ同時多発テロ事件後のテロ容疑者に対する拷問に関与した問題で、大きな批判を浴びていました。ハスペル氏は、タイにあるCIAの秘密刑務所を管轄しており、この刑務所では、水責めなどの尋問方法が用いられていました。

このような経歴を持つ人物のCIA長官への指名により、トランプ政権で、CIAの拷問政策が復活することへの懸念が高まりました。とはいえ、オバマ政権時代にも、ハスペル氏はCIAの関係者として、容疑者への尋問で拷問を行わないことを約束し、上院の承認公聴会でも、この約束を繰り返しました。しかし、トランプ大統領が、テロリストに対する厳しい政策を支持していたことから、ハスペル氏のCIA長官指名は、上院の採決の日まで物議をかもしました。

人権ファーストのヴァッラ氏は次のように語っています。

 

「アメリカ上院が、ハスペル氏のCIA長官指名の人事案を承認したのは、浅はかな決定だった」

いずれにせよ、現在、CIAに33年間勤めた経歴を持つハスペル氏が、CIA長官に就任することになります。今後は、CIAの拷問復活に関する疑惑を払拭するとともに、それ以上に重要な問題に対処することになるでしょう。

人権ファーストは声明の中で、次のように発表しました。

 

「アメリカの人々と議会は、厳しい拷問を復活させないという約束が守られることを、ハスペル氏に望んでいる」

また、ハスペル氏が取り組むべき最初の問題として、アメリカの国外における利益への諜報活動やサイバー攻撃の脅威に対処することが挙げられます。また、北朝鮮、イラン、ロシア、中国などのアメリカの敵国における諜報活動の継続も、CIA新長官が注目する問題となるでしょう。アメリカの大統領選挙へのロシアの干渉疑惑により、アメリカの政府と情報機関の間に深刻な緊張が生まれています。これらの問題に対処することは、CIA新長官にとって容易なことではないのです。