3月 26, 2016 21:14 Asia/Tokyo
  • 核のテロ、真の脅威

IAEA国際原子力機関の天野事務局長が、「核テロは、真の脅威だ」としました。

アミーンザーデ解説員

天野事務局長は25日金曜、フランス通信のインタビューで、「世界にあるおよそ1000の核施設のひとつに直接攻撃が行われる危険性に加えて、主な脅威は放射性物質の略奪だ」としました。

一部の報道によれば、現在世界には広島で使用されたレベルの核爆弾2万個を製造するためのプルトニウムやウラニウムが存在するということです。天野事務局長は、「テロリストはわずかな量のプルトニウムを手にするだけで初期段階の核爆弾を製造することができる」と述べました。

3月31日から4月1日まで、世界50カ国の首脳が集まる核の安全に関する会議がワシントンで開かれる予定です。IAEAは過去およそ20年、2800件近い放射性物質の密輸、違法入手、あるいは行方不明の事例を報告しています。

核テロの拡大への懸念に関する天野事務局長の表明を分析する中で、二つの重要な点が存在します。まず一つ目に、核テロは、世界の核兵器の廃絶に直接結びついています。というのも、抑止力として核兵器に頼ることは実際、世界の核兵器廃絶に向けた新たな障壁に変わっているからです。このため、天野事務局長の核テロへの懸念は、核廃絶の問題が真剣に注目されない限り、なくなることはないでしょう。

また二つ目に核テロに関して重要なのは、短期、中期、長期において、テログループの核兵器入手の可能性にどのように対抗するかです。この問題もまた、アメリカの主張するテロ対策同様、アメリカが政策を正当化する手段となっています。この方向で、核テロ計画は世界で優位を維持するためのアメリカの戦略に変わっています。9.11テロ後、国際テロ対策はアメリカ国家安全保障戦略の基本方針として提示されました。この問題はオバマ大統領時代に加速され、核テロの脅威という形で提示されました。

これに関して、アメリカの治安は世界の安全に、そして世界の安全はアメリカの安全に微妙に結びついています。この方向で、世界の国民にアメリカがテロ対策の指導者としてテロ組織に核兵器を入手させないよう努力していることを納得させようと、大規模な努力が行われています。

アメリカの核戦略における核テロの問題は、アメリカに、人類の治安の新たな脅威の内容を幅広く解釈させ、他の国の内政にも同じだけ干渉させることを可能にしています。こうした中、核テロの問題への集中は、世論を、核兵器廃絶の問題やNPT核兵器不拡散条約の加盟国がこの問題について有している取り決めから目を逸らさせる可能性があります、NPTには3つの原則が存在します。まずひとつに一般的な兵器の廃絶、二つ目に核兵器の拡散防止、三つ目に核技術の平和利用です。この三つの原則の中で、アメリカをはじめとする核兵器保有国は、核兵器拡散防止を特に強調しています。と言うのもこの原則により、他国の核の平和利用を様々な口実で制限し、これによって非同盟諸国やイランなどの各国が注目する世界の核兵器廃絶の基本的原則から遠ざけることができるからです。抑止力として核兵器に頼ることは、世界の平和や安定に対する脅威であり、核兵器廃絶という目的に反するものなのです。

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