3月 30, 2016 21:57 Asia/Tokyo
  • アメリカでの薬物使用の増加への懸念

アメリカのオバマ大統領が、アメリカでの薬物使用の拡大による悪影響について警告を発しました。

IRIBアボルファトフ解説員

オバマ大統領は、ワシントンで開催された麻薬対策に関する会合で、「アメリカでは、薬物の過剰摂取による死者の数が、交通事故の死者の数を上回っている」と述べました。また、「アメリカでは、政治家の家族から一般の市民にいたるまで、あらゆる社会階層の人々が薬物使用の影響を受けている」とし、アメリカの麻薬対策はこれまで効果を発揮していないと語りました。

アメリカは、世界最大の薬物消費市場です。さまざまな調査により、アメリカ人1000人当たり61人が、アヘンやそれを含む薬物を使用しており、この数は世界でワースト1となっています。この10年でアメリカのヘロイン中毒者は30万人増加しました。さらにアメリカは、スペインと共に、コカインの消費量が世界で最も高くなっています。そして、薬物の過剰摂取によって死亡する人の数は、アメリカ人100万人あたり139人で、世界最多です。

こうした中、アメリカは、最大の麻薬対策組織を有しています。1973年に設置されたアメリカの麻薬取締局は、現在、1万人以上の職員がおり、年間20億ドルの予算が割り当てられています。その他にも裁判所やFBIなどが存在しながら、アメリカでは、薬物使用の増加を阻止することはできていません。アメリカの市民が薬物の使用に走っていることは、麻薬取締機関の腐敗や強力なマフィアの存在と共に、アメリカが効果的な対策を取れない原因となっています。

アメリカの多くの通り、特に貧困地区では麻薬が簡単に手に入ります。一部の州では、大麻の使用が合法化されています。アメリカ人のおよそ70%が、少なくとも一度は大麻を使用したことがあると言われています。コカインなどのさまざまな種類の麻薬の常習者の一部は、最初は大麻を消費していました。

こうした中、アメリカの大きな影響力を持つマフィアは、世界中の麻薬の生産、分配、売却をコントロールしています。この組織は、一部の国の軍隊にも匹敵するような武装した数千人の要員を有しています。アメリカの麻薬組織による暴力事件で、国内外で年間数千人が犠牲になっています。この中で、麻薬組織は、威嚇や巨額の賄賂により、アメリカの政治、警察、司法関係者を買収しており、自分たちに有利な法律を可決することさえできています。このような状況に注目すると、アメリカの一部の高官に麻薬対策への意志があったとしても、数々の要素が、その実現の障害になっています。

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