視点:不透明感を増す米大統領選
(last modified Sat, 03 Oct 2020 18:47:00 GMT )
10月 04, 2020 03:47 Asia/Tokyo

トランプ米大統領が新型コロナウイルスに感染し、入院したことにより、来月3日に予定されている同国大統領選挙をめぐる不透明感がこれまで以上に高まっています。

米大統領選はこれから丁度1ヵ月後に投開票が予定されています。しかし、トランプ大統領のコロナ感染が発表されたことで、アメリカの株式市場は大混乱に見舞われました。ホワイトハウスは、トランプ大統領の選挙活動は中止、あるいはオンラインで実施されると発表しています。しかしながら、トランプ氏が2回目のテレビ討論でバイデン民主党候補と対決する許可が出るかどうか、現時点で定かではありません。

もっとも、テレビ討論会開催は、米大統領選挙の前に立ちはだかる問題の1つに過ぎません。トランプ氏の病状が悪化し、その生命が脅かされるようなことにでもなれば、来月の選挙の開催は混とんとしたものになりかねません。その場合、アメリカ議会は選挙の開催時期の延期という決断を迫られると見られ、このことはアメリカ民主党と共和党の間の根深い亀裂に注目し、米の政治の中心であるワシントンDCでの波乱に追い討ちをかけることになります。

同時に、トランプ氏の健康に想定外の事態が発生した場合、代わりの候補者を決定することは事態を益々複雑化させると見られます。選挙開催前にその主要な候補者が何らかの理由でいきなり撤退するという事例は、アメリカ史上前代未聞です。こうした状況において、米共和党国民委員会のメンバーは、バイデン民主党候補と争う中で、トランプ氏の大統領代行にマイク・ペンス氏、もしくはほかの人物を指名しなければなりません。

米カリフォルニア大学アーバイン校のRick Hasen法学教授は、「大統領選を目前に控えた状態で一候補者が死去するようなことになれば、その後の動向も不透明となり混迷化するだろう。選挙カレッジの法規が曖昧であることからして、政治ゲームとなる環境が整ってくると見られる」と語りました。

もっとも、仮にトランプ氏がコロナから回復したとしても、少なくとも2週間は選挙関連の会合や運動には参加できなくなります。しかし、この期間中には対抗馬のバイデン氏がより多くの選挙関連の集会などを開催できる機会を得ることになります。

こうした中、今回の米大統領選は数ヶ月前から危機的状況に瀕していました。新型コロナウイルス蔓延、保健衛生・失業、人種差別撤廃運動というトリプルパンチにより、アメリカ自体が特殊な事態に追い込まれている一方で、民主・共和間の政治闘争により、アメリカの選挙のあり方や健全性が本格的に疑問視されています。

トランプ米大統領

 

トランプ氏はコロナに感染するまで、かねてから、新型コロナウイルス蔓延を理由に、不在者投票や郵送での投票による今回の選挙を不正選挙と呼んでいました。しかし、そのトランプ氏をコロナウイルスが病院送りにし、もう一人の候補者により多くのチャンスを与えた形となっています。トランプ氏側からの選挙関連の抗議は益々激化すると予想されています。対抗馬のバイデン陣営は、トランプ氏の治癒回復までは反トランプ的な内容の選挙運動を停止すると発表してはいますが、特にトランプ氏自身をはじめとする共和党が、選挙プロセスの不正という主張をやめ、今度の選挙で予想される敗北を受け入れるとは考えにくいと思われます。

 

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