ガスプロム、デンマークのエネ大手と英シェルの独向け供給を完全に停止
ロシアの天然ガス企業「ガスプロム」社が、デンマークのエネルギー大手、および英石油・ガス大手シェルのドイツ向けのガス供給を停止しました。
ロシア・スプートニク通信がガスプロム社の発表として報じたところによりますと、同社は31日火曜、ロシアの通貨ルーブルでの支払い不履行を理由とし、デンマークのエネルギー大手エルステッド向け、および英石油・ガス大手シェル傘下のシェルエナジーが契約しているドイツ向けのガス供給を停止しました。
31日の営業終了時点で「ガスプロム・エクスポルト」は、エルステッド社の4月の天然ガス供給代金を受け取っていません。
2021年、ガスプロム・エクスポルトは同社に19.7億立方メートルを供給していますが、これはデンマークの総燃料消費量の約3分の2を占めています。
こうした理由で、ガスプロム社はドイツのシェル社事業部へのガス供給を停止しました。
ガスプロム・エクスポルトとシェルエナジー間のドイツへのガス供給契約では、年間最大12億立方メートルの天然ガスが提供されることになっています。
5月31日、ガスプロム社は、オランダのGasterra社への天然ガスの供給を完全に停止しましたが、それは4月の供給分のルーブル立て支払いの不履行によります。
ロシアは既にオランダ、ポーランド、フィンランド、ブルガリアへのガス輸出を停止しています。
アメリカおよびそのほかの西側諸国は、今年2月24日に始まった、ウクライナにおけるロシアの特殊軍事作戦への反応として、大規模な対ロシア経済制裁を行使してきました。
しかし、西側諸国はこれらの一連の制裁を行使する一方で、石油・天然ガスをはじめとする経済分野での対ロシア制裁の強化により、ヨーロッパ経済や世界のエネルギー市場の状況がこれまで以上にかく乱されることを危惧しています。
これまでロシアに対し行使された各種の制裁により、ヨーロッパ経済は大きな問題に直面しています。
ロシア産の農産物や肥料の引渡しの増加により、世界の農業市場における緊張は緩和される可能性がありますが、そのためには対ロシア制裁の解除が必要となります。