核禁の前哨会議で、核兵器使用の悲惨な側面を討論
オーストリア・ウィーンにて核兵器禁止条約の第1回締約国会議に先立って20日月曜に開かれた「核兵器の人道的影響に関する会議」で、広島と長崎へのアメリカによる原爆投下の悲惨な側面が、参加した各国の政府や国際機関の代表者らの参加により検討されました。
イルナー通信によりますと、反米的なムードの中で開かれたこの会合では、国際機関や各国政府の上級代表らNGOや学界の代表者らの参加に加え、1945年の長崎原爆投下での被爆者も出席し、この犯罪で自らが目にした痛ましい経験について説明、証言しています。
5歳の時に長崎で被爆した日本原水爆被害者団体協議会・日本被団協の木戸季市事務局長(82)は、77年前に原爆がさく裂した時の状況について「あのとき、私は自宅前の路上にいました。飛行機の音を聞きました。その瞬間『ピカドン』と光を浴び、爆風で飛ばされ、意識を失いました。翌日、爆心地近くを通って逃げましたが、爆心地に近づくにつれ、私が見たものは、ごろごろと転がった死体、水を、水を、と水を求める人の姿でした」と、当時の生々しい体験を切々と語りました。
その上で木戸事務局長は、核兵器禁止条約について「条約は、被爆者の願いそのものです。締約国会議の成功を心から願っております」として話を結びました。
会議では続いて、研究者らが人類社会や自然環境に対する核兵器使用の影響についての自らの最新の研究内容を報告しました。
さらには、エルバラダイ元IAEA国際原子力機関事務局長が「我々は、人類がごくわずかな一部の人々の安全保障上のニーズの犠牲になることを許さない。平和と安全保障は包括的なものであるべきだ」と述べています。
こうした中、ICRC赤十字国際委員会の上級代表も、核の大惨事が数世代にわたって及ぼす影響についての更なる調査を求めました。
この日の会議ではまた、核が引き起こす諸問題を研究するMary Olson氏が女性に対する核兵器の放射能の影響にスポットを当て、こうした人々のガンへの罹患率は男性より高いとしています。
この会議の開催目的は、核兵器使用や開発の停止を目指して核兵器の悲惨な影響に対する世界の認識を高め、NPT核兵器不拡散条約の重要性をクローズアップすることとされています。
現在、世界の9つの核兵器保有国に存在する核兵器はおよそ1万3100発とされています。
こうした中、非政府系勢力にとって容易に獲得できる核の技術・兵器の増大により、これらの兵器の数はさらに増加する可能性があります。
加えて、核兵器関連の危険も増大しつつあり、人為・技術的ミスも世界を破壊する結果を引き起こしかねないとされています。
現在、世界で核弾頭の保有数が最も多いのはアメリカで、これにロシア、イギリス、フランスが続いています。
スウェーデンにあるSIPRIストックホルム国際平和研究所も報告の中で、「シオニスト政権イスラエルの保有する核爆弾はおよそ90発にまで達している。その一方で、イスラエルはNPTに調印していない」と表明しています。