「ホテル・テヘラン」:イスラエルによる対イラン映画工作
近年、シオニスト政権イスラエルの諜報機関モサドが協力した反イラン映画が数多く制作されており、そのタイトルには「テヘラン」という地名が繰り返し登場します。最近も「ホテル・テヘラン」という反イラン映画がイスラエルにより制作されました。
「ホテル・テヘラン」はスリリングなアクション映画ですが、実際にはイスラエル諜報機関の敗北を勝利に見せかけることを意図しています。
監督はこの作品で4作目となるガイ・モシェ氏ですが、国際的な知名度は高くありません。脚本はモシェ氏とバゼル・バシ氏の共同です。このバシ氏は、脚本家になる前は、CIA・米中央情報局で諜報要員として働いていた経歴の持ち主です。
また、制作には4つの映画会社が関わっていますが、いずれもまったくの無名企業です。これらの企業とバシ氏の存在は、この映画がイスラエル諜報機関「モサド」の指示・支援により制作されたことを示唆します。
映画評論家は、この映画はイスラエル内の過激派や好戦主義者には受け入れられるものの、国際的には全く興行的成功は見込めないとみています。また、この映画の制作を取り上げたのが、やはり無名のメディアばかりで、バラエティ、スクリーン・デイリー、ハリウッド・リポーターといった権威ある業界誌には全く取り上げられていないことも指摘されています。
モサドはイランをはじめとする地域の抵抗勢力を前に敗北を喫していますが、映画制作などを通じて、それらの勢力を好戦的に描き、自らの立場を正当化しようと試みています。2020年にはやはりイスラエルの映画監督ダニエル・シルキン氏によるシリーズ「テヘラン」が、米アップルの動画配信サービス「Apple TV」で公開されました。他にも昨年制作され、公開待ちの「テヘランでロリータを読む」(エラン・リクリス監督)があり、今回の「ホテル・テヘラン」でここ4年足らずの間にイランの首都の名前を冠した映画が3つも制作されたことになります。
「ホテル・テヘラン」が描こうとしているのは、イランの平和目的の核計画を軍事目的であるかのように見せることです。イランは核の平和利用という合法的な権利を行使するために、この20年間、厳しい制裁を科されてきました。イラン国民はこれらの制裁に立ち向かい、抵抗してきました。こうしたことが、CIAとモサドという米・イスラエルそれぞれの諜報機関が国際世論におけるイランの印象を操作するために、映画制作に乗り出すきっかけとなったのです。