3月 19, 2023 17:29 Asia/Tokyo

まもなく、イランのお正月であるノウルーズ、イラン人の共感と同調の象徴である祝祭の日が訪れ、イランの人々は世界中で、昔からの慣習に従い、この古くからの国民的な祝日を祝います。

 

ノウルーズは古くからの国民的な祝祭の日です。しかし、その多くの伝統や慣習が、シーア派の信条や文化に合致しており、友愛や道徳、美しさの象徴であるため、精神性に溢れた雰囲気を帯び、その価値を高めています。このイランの文化の存続の要素は、多くの非常に美しい儀式を伴ったものであり、その価値ある効果により、歴史の中で廃れることはなく、それどころか、その地位を確立してきました。イラン暦の年末にあたるこの数日、特別番組の中で、イランのノウルーズの慣習についてご紹介してまいります。

 

毎年、イラン暦最後の月であるエスファンド月も後半になると、ノウルーズと春の香りが漂ってきます。イランの町や農村は不思議な雰囲気に包まれます。まるですべてのものが動き出しているかのようです。新しい年まであと数日になると、花屋の前には小さな鉢植えが飾られ、家のテラスには、洗濯されたじゅうたんが干され、春と新年の訪れが近いことを知らせています。

 

市場や通りに並ぶ商店は、普段とは異なる活況に包まれます。靴屋、衣料品店、乾燥ナッツを売る店は、どこよりも込み合っています。多くの都市では、年末になると、一部の通りに露店が現れ、様々な商品を売っています。人々は皆、自分の出来る範囲で新しい服や靴、お正月に客人を迎えるためのお菓子や乾燥ナッツを準備します。

 

ノウルーズの好ましい慣習のひとつに、大掃除があります。それは、ノウルーズの1、2週間ほど前から始められます。家や公共の場所が清掃され、過ぎ行く年のほこりが残らないようにするのです。町や村の様子は、一斉に変わります。通常、すべての建物のガラスはきれいに磨かれ、壁の色が塗り替えられます。

 

家の大掃除は、家の中から前の年の古さや死、汚れを払い落とし、ノウルーズを前に清らかな空間を整え、明るさや良いものを迎え入れるための象徴です。実際、人々は新しい年を迎える前に、生活に変化をもたらし、客人を迎えるための準備を整えます。街中や通り、公共の場所や公園では、清潔さが明らかに見て取れます。

 

 

とはいえ、一年の他の日々における清掃や清潔さも注目されています。特にイスラムは、清潔であることを特に強調しており、イスラムの預言者ムハンマドは、清潔さは信仰のしるしだとしています。しかし、春の始まりに町や家の中を清潔にすると、この季節の新鮮さをさらに強く感じることができます。人々は衣服や家の中を新しくし、心の中を新鮮さと愛情で満たします。そのため、ノウルーズにおける共感はより幅広い形を取っているのです。

 

緑を植えることも、人々が春を迎える際に行う作業のひとつです。ノウルーズの数日前になると、小麦や豆類の種を小さな陶器の皿に入れ、特別な方法によって発芽させます。人々は、恩恵のしるしであるこの青草を、ノウルーズの日にハフトスィーンと呼ばれる飾り物に加えます。そして、ノウルーズの期間が終わるファルヴァルディーン月13日のスィーズダべダルという儀式の日に、大きく育ったその青草を、自然の中や水の流れに委ねるのです。

 

家の花壇に花や植物の苗木を植えることも、ノウルーズが始まる前に一般的に行われる慣習のひとつです。また、ノウルーズの食べ物やお菓子の準備も、新年を迎える前にイランの多くの地域で行われている慣習となっています。

 

イランの一部の地域では、女性たちが協力して、新年のためのさまざまなお菓子を作ります。これらの手作りのお菓子は、通常、特別な方法によって用意され、美しく飾られ、質の高いものとなっています。今日、特に大都市では、多くの菓子店が存在するため、お菓子は簡単に手に入れられるようになっています。

 

 

 

年末になると、イランの多くの地域で、サマヌーと呼ばれる特別な食べ物が用意されます。サマヌーは、ハフトスィーンの飾り物のひとつです。サマヌーは麦芽のエキスで作る食べ物で、栄養価の高いものとなっています。

 

イランの家庭では、通常、新しい年を迎える日の前夜に特別な料理を作り、家族全員が親密な雰囲気の中で共に夕食を楽しみます。

 

ノウルーズが始まる1週間前になると、イランの多くの地域では、婚約した息子のいる家庭が、服やサマヌー、金、布、お菓子、乾燥ナッツなどを花嫁になる女性の家に送るのが慣習となっています。また、結婚して間もない花嫁(娘)のいる家庭も、彼女にノウルーズの前夜の夕食、果物、金、服、乾燥ナッツを送ります。

 

新年のお祝いにカードを贈るのも、イラン人の間で常に行われてきた慣習です。ノウルーズの期間になると、家族と離れて暮らす人は、新しい年を迎えるにあたって、春の花々や美しい景色の絵がかかれ、愛情にあふれたカードや手紙を、挨拶と共に送り、新しい年の喜びを他の人たちと分かち合います。

 

最近では、この慣習は技術の進歩により、EメールやSMSなどによって行われています。この中で、映像や音声と共に送ることのできるインターネット環境の利用が、イランの人々の間で新年のあいさつを送る手段として幅広く行われています。

 

一年の終わりの10日間に墓参りをする慣習も、昔からイラン全国に根付いています。墓参りをし、食べ物を配り、地上における生命の再生と同時に、高齢者と子供たちが一緒になって、亡くなった人を偲びます。

 

親しい人を亡くした人々のために、一年の終わりに黒い服を着替えるよう、近親者が明るい色の服を準備することも、ノウルーズを前にイランの多くの地域で昔から行われている慣習のひとつです。また、家族の仲違いを年長の者が仲裁することも、一年の終わりに行われる慣習となっています。

 

恵まれない人への援助も、一年の終わりの好ましい慣習です。そのため、毎年新しい年が近くなると、イラン全国で、恵まれない人への援助に向けた努力が見られます。恵まれない人への物質的な援助や精神的、道徳的な奉仕により、彼らにも喜びを与え、新しい年を明るく迎えることができるようにするのです。

 

 

 

 

 


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