10月 02, 2023 16:19 Asia/Tokyo
  • イスラムの預言者、ムハンマドの生誕日
    イスラムの預言者、ムハンマドの生誕日

今回は、ムハンマドがイスラムの預言者に任命されたことが、現代の世界、特に精神性の危機からの脱却にどのような影響をおよぼしているかについてお話ししています。

世界は何年も前から、乾いた大地のように、恵みの雨を待っていました。その大地は、迷信の泥沼、誤った信条や偏った考え方の乾いた砂漠と化していました。慈悲深い神の意志により、ある夜、恵みの雨が降り始め、乾いた大地を潤しました。ムハンマドという美しい花が、アラビア半島のヒジャーズの砂漠に咲いたのです。彼の誕生は、信仰という香りを振りまき、人々の心に知識の泉を沸き立たせました。

 

そう、偉大なる預言者ムハンマドの誕生により、無知と狂信の砂漠は、愛情と思想の花園に変わりました。神の預言者は、メッカという聖地で、(イスラム暦の)ラビーオルアッワル月17日、敬虔な家庭に生まれ、創造世界に光をともしました。預言者の生誕日に際し、世界中のイスラム教徒にお祝いを申し上げます。

 

メッカ

 

イスラムの預言者ムハンマドの生誕日は、人間の生活におけるこの偉大な人物の存在の無限の恩恵を思い起こさせます。彼は春のそよ風のように、人々の魂のない生活に唯一神信仰を広げ、人々の心を目覚めさせました。それから間もなく、人々の偏った考え方や部族の盲目的なこだわり、誤った信条の代わりに、人間性と統一、友愛が広がり、創造世界の真理と宗教的な知識の扉が世界の人々の前に開かれました。そのため、預言者の誕生による最大の恩恵は、人類社会に公正と唯一神信仰がもたらされたことだと言えるでしょう。

 

イスラム初期の預言者の尽力により、崇高な基準や原則を伴った大きな変化が生まれました。社会的な差別の解消、道徳的な変化、人間の尊厳の尊重、自由と公正が、預言者の革命の中心的な事柄でした。預言者のメディナでの10年間は、人類史上最も輝かしい統治時代でした。この時代、イスラム統治が打ち立てられ、あらゆる時代や場所にあてはまる宗教統治のモデルが、神の預言者によって提示されたのです。

 

実際、預言者の革命と彼の統治体制は、最高の教えに従うことで自らが導かれることを求める人々にとってのロードマップに相当します。預言者はメディナにおいて、自らの模範的な統治体制を、数々の明らかな特徴とともに打ち立て、人類に示しました。ドイツの西アジア学者、アンネマリー・シンメルは、預言者の偉業について次のように記しています。

 

「イスラムの預言者の明らかな役割は、人類の精神的な変化によって知られている。預言者は人間の肉体ではなく、精神をよみがえらせた。彼は人々の思想を無知の足かせから解放し、これを世界に通じるものとした。また、目や耳を相応しい方法で活用することや知識を広め、神からの吉報として、人間は太陽や月、天や大地を征服することができると知らせた。そのため、このような偉大で寛容な指導者を称賛することは、すべての人間に大きな幸福をもたらすだろう」

 

現在の世界の現実が示しているように、真の幸福と平穏こそ、現在の人々がいつの時代にもまして必要としているものだということです。破壊的な武器の製造、人種差別的な支配をめぐる戦争、世界の市場の不安定が、世界の安全と平穏を脅かしています。現在、西側諸国の支配者は、独裁的に、圧政下にある他国の人々の資源を強奪しています。家庭の崩壊、ストレスや鬱、犯罪、暴力、麻薬や人身売買が、世界の未来を深刻な危機に直面させています。私たちは、人類の大きな発展と科学的な進歩の時代に生きていますが、人々に対する侵略や圧政も後を絶ちません。

 

現代の世界は、平穏、安全、道徳を取り戻すために、宗教的な教えを必要としています。その教えは、最後の預言者であるムハンマドによって、神から人類にもたらされました。イギリスの著作家、ジョージ・バーナード・ショーは、次のように語っています。

 

「現代の世界は、複雑な問題を解決するために、ムハンマドのような人物を必要としている。ヨーロッパでは現在、ムハンマドの英知が広がり始め、ムハンマドの宗教を愛し始めている。彼らは、イスラムの思想や信条を、中世の人々による疑いから解放するだろう。ムハンマドの宗教は、平和と幸福をもとにした制度となり、その哲学は、複雑な問題を解決する源となるだろう」

 

預言者ムハンマドは、神の最後の預言者として啓示をもたらし、それらを実践すれば、物質的な恩恵を伴った精神的な安らぎを得ることができるということを、人々に教えました。精神的な安らぎは、現代の人間が強く必要としていることです。偉大なる予言者の言葉やコーランの勧告は、現代の人間がそれに耳を傾ければ、間違いなく、心の不安を取り除くことのできるものです。

 

貞節、自分の持てるものに満足すること、忍耐、恥じらい、神への信頼、同胞への支援、寛容、相互尊重、平和と友愛、圧政者との闘い、被抑圧者への援助、施し、道徳、自由な思想、公正、これらは、預言者の生き方やコーランの教えの内容であり、現代の人間が、政治的、経済的、文化的な状況により、遠ざかっている事柄です。

 

聖典コーランは、第7章アアラーフ章高壁、第157節で、預言者は、人類が背負った重荷を取り除くために世界に現れたとされています。無知や部族主義、理不尽な要求が人間の手足を縛っていました。現在も、科学が発展し、人類は大きな進歩を遂げましたが、人々に対する圧政や侵略は続いています。人類の生活への物質的な押し付け、生活環境からの精神性の排除が人間の肩に重くのしかかっており、それを軽減するためには、神の預言者たちの教え、特にイスラムの預言者の教えが必要になっています。

 

シーア派初代イマーム、アリーは、次のように語っています。「ムハンマドは、神から選ばれた人間であり、啓示をもたらす慈悲深い預言者である。実際、預言者を指導者とするだけで、あなたには十分である。最も清らかな人物である予言者に従いなさい。なぜなら、彼の生き方は、彼を模範とするすべての人にとっての手本であるからだ。神に最も愛される人間とは、預言者を手本とし、彼に倣う人間である」

 

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、預言者の生誕日を、人類史にとっての神の慈悲の先頭にあるものだとし、次のように語っています。「コーランでは、預言者の存在が、世界の人々への慈悲と表現されている。この慈悲に制限はない。そこには、教育、心の浄化、教え、正しい道と物質的、精神的な世界における発展への導きが含まれ、あらゆる歴史の時代にあてはまるものである。その目標に到達するための道は、イスラムの知識や法を実践することであり、それが人類のために明らかにされている」

 

このように、現代の人間は、イスラムの教えや精神性を必要としているため、宗教の要人や学者たちには、聖典コーランの教えや預言者の生き方を現代世界のために再現し、これらの崇高な教えに触れることで、物質的かつ精神的な発展を伴った新たな生を手にし、神からの乖離から自らを救い出せるよう、人間を導くことが期待されています。イスラムの預言者ムハンマドを模範にすれば、信仰、勇気、清潔さ、恥じらいが、私たちの生活を大きく変化させ、私たちの人生を明るく照らしてくれることでしょう。

 

 

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