預言者の後継者、イマーム (1)【音声】
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イマームとは、人々の指導者を指します。イスラムの文化では、先導者のことをイマームと呼びます。
(last modified 2025-10-27T05:05:03+00:00 )
6月 19, 2016 21:31 Asia/Tokyo

イマームとは、人々の指導者を指します。イスラムの文化では、先導者のことをイマームと呼びます。

イスラムの預言者ムハンマドが死去し、預言の書はそれ以上現れなくなり、イマームたちが、預言者の後継者となったのです。

歴史の中では、常に清らかなふさわしい人物の統治が妨害され、力を求めるふさわしくない人々が統治体制のトップに立つとき、腐敗が拡大し、社会に大きな逸脱が生まれてきました。非宗教的な指導者は、たいてい、神の命ではなく自分の欲望に従い、その望むものを最優先させてきました。今日の世界も、これらの一部の指導者の利己主義と権威主義により、圧制に直面しています。自身のメッセージを人類に伝えるために預言者を遣わした神が、最後の預言者ムハンマドの死後、世界から宗教的な指導者、つまりイマームの存在をなくすはずはありません。

預言者とは情報を伝え、導きを与えるものです。預言者は神によって遣わされ、宗教を広めるという義務を負います。一方でイマームとは、指導者であり、目的達成の道を容易なものにします。指導者とは道を示すだけでなく、目的達成のための手段を整える人物です。

イマームとは、預言者の道を継承する人々であり、預言者の築いたものを守り、完成させます。預言者ムハンマドなどの一部の預言者は、預言者であるとともに、社会における指導者の役割を担っていました。いわば彼らは、宣教者であると同時に、神の命を実行する人なのです。

それでは、イマームとは、誰なのでしょうか。預言者ムハンマドはさまざまな折に触れ、イスラム共同体は預言者ムハンマドの後、その一族出身の指導者を有すると語っています。彼らはコーランとともに人間の幸福の源であり、預言者ヌーフの箱舟のように、救いを与えるものです。いわばこの船に乗っている人はみな、救いの道に導かれ、それから遠ざかる人はみな、滅びます。イマームは間違いのない学識ある人々で、人々が知らないことを知り、善悪を知っている人なのです。

イマームの罪を犯さないという性質は、純粋な信仰心による内面的な抑止力であり、これによって、イマームは道徳的な腐敗行為や罪から免れ、人々の信頼を得ています。宗教的な指導者が人間的に優れた性質を持っていても、もし罪や過ちを犯すようであれば、その地位や、個人的な目的、物質的な欲望により、間違いを犯し、ほかの人々を惑わせる可能性があります。イマームは宗教の守り手として、彼らに啓示が下されることはなくとも、人々を導き、神の命を守る中で、預言者たちと同じ道を歩んでいます。このため、彼らは預言者と同じように物質的な願望に基づいて行動せず、過ちを犯すことはないのです。

預言者の後継者であるイマームは、世界から不正や腐敗、圧制を排除するという責務があります。人間や現世の秘密を知らず、知識なくこの責務を果たすのは不可能です。このため、知識もイマームの明らかな特徴です。イマームは決して間違いや多神教崇拝の一切のない知識を身につけており、彼らの知識は預言者や聖典コーランから得られたものなのです。

預言者の一族の出身であるイマームは、12人存在しています。初代はアリーで、最後の12代目はマハディーです。彼らはそれぞれの時代の、最も優れた人物であり、その性質、学問的な地位、精神性の点から、多くの長所を持っていました。イスラム世界のカリフも、一部の複雑な問題に関しては、預言者の一族に相談していました。確かに現在、形の上ではイマームは存在しませんが、イスラム学に関する彼らの貴重な言葉や書簡、伝承は、彼らの広い知識を物語っており、すべての人は英知あふれるこれらのものを利用し、人生の正しい道を歩むことができます。

イスラムの宗教的な長所とは、人間の精神性や道徳を養うとともに、社会的、政治的な活動をも、明確に、教えの一部として提示していることです。イスラムは孤立し、隠遁することを否定しています。イスラムは、社会から離れているイスラム教徒を、信仰において不完全だとしています。同胞への注目、社会的な活動の参加は、宗教的な観点において重要性を帯びています。シーア派4代目イマーム・サッジャードは、イスラム教徒の断食月ラマザーン月の祈祷の一部で、神に対して、次のように唱えています。

「神よ、この月に、親しいものたちに親切にし、彼らと会い、隣人を許し、施しを与えることができるよう、不当な形で増やした財産から穢れをとりのぞき、施しによって清らかになり、離れてしまったものと再びつながれるよう」

アナ2

親戚や親しい人たちと会うことも、社会的に正しい行動であり、イスラムはこの行動を強く推奨しています。これを行う人は、現世においてもよい結果があり、また来世の報奨も多く得られると考えられています。近所づきあいや、彼らが特に貧しい人々である場合、施しを与えることも、社会的活動のひとつです。残念ながら、現代の生活は、人々にこのような行動を忘れさせています。他人へのこころよい対応は、神の満足が得られ、困っている状態を解消し、社会的な結びつきを強いものにします。

不正な形で増やした財産から穢れを取り除くことも、社会的な生活と関係している事柄です。つまり、財産とは社会における努力や仕事の成果として得られるものです。こうしたやり取りの中で、人々は高く売りつけたり、買占めなどの不正な行為により、他人の権利を損なうことで、財産を増やす可能性があります。つまり、破壊的な経済活動を防ぎ、財産を穢れのないものにすることが必要なのです。

離れてしまったひととつながり、新たに彼らと関係を築くことも、イマーム・サッジャードが注目を促している行動のひとつです。ほかの人とのやさしさある関係を復活させ、友好関係を築くことは、人々の心を近づける要因となります。