8月 10, 2023 15:48 Asia/Tokyo

現在私たちはイラン北西部サバラーン山脈の麓にいます。ここアーザルバーイジャーン地方には、美しい自然が存在します。それは、河川や緑あふれる自然の風景、そして遊牧民が身を寄せる場所です。ここでは、アーシグと呼ばれる独自の芸術家つまり、吟遊詩人に触れてまいりましょう。

アーシグによる音楽の演奏は、この地域に住むトルコ系民族の間で長い歴史を有しています。

アーシグはアーザルバーイジャーン地方の民族的芸術家で、さまざまな芸術に精通しており、吟遊詩人でもあるとともに、作曲家、歌手、音楽家、語り部でもあり、言い換えれば、あらゆる分野で創造的だと言えます。

アーシグと呼ばれる吟遊詩人は、その時その時にどの詩を吟じるかを決めることから、その特徴の1つとして即興で吟じること、そして言葉を素早く選ぶことが挙げられます。

アーシグが吟じる詩(この種の吟遊詩人による民謡)には、様々な種類があります。

それは例えば、四行詩や恋愛的なやり取り、歴史的な詩歌などです。

ですが、アーシグが本来担うべき責務は、文化や歴史を次の世代に伝えることです。

アーシグは多くの場合、即興での朗唱に優れており、独自の楽曲を作曲することもあります。

さて、今回はイランのアーシグの1人、ホセイン・ノウルーズザーデ氏をご紹介しましょう。

 

ー この種の芸術に興味を持ったきっかけはどんなことだったのでしょうか?

ノウルーズザーデ;私は子供時代から音楽が好きでしたが、何から始めればよいのか分かりませんでした。

そんなある日、友人の1人からある村での結婚式に招待されました。

私は、結婚式でアーシグたちがバーラーバーン(木管楽器の一種)と呼ばれる楽器とともに、会場に入っていくのを見ました。

私は友人から、詩を朗唱してほしいと頼まれました。

私が朗唱していた時、アーシグの1人から「君は声がいい」と褒められました。

そして、一緒にアーシグとして詩を吟じたり楽器を演奏しようと誘われました。

私は、「アーシグになることと歌うこととは全然違う」と言いました。

アーシグとしてやっていくには、たくさんの情報を持つ必要があります。

また、物語の語り部としての能力や、高い会話力も求められます。

すると、そのアーシグから「君は声がいいし、物書きもやっている。私達の仲間になってほしい」と言われました。

こうして私は、アーシグという生業の世界に足を踏み入れたのです。

私は長年にわたり、ダーイェレという、イランの伝統的な打楽器を演奏していました。

それではここで、楽器を演奏しながら詩を吟じます。

 

ー 特別な先生の指導を受けたのですか?

いいえ、特に先生に教えてもらったのではありません。

これまでの有名なアーシグの動画を見て覚えました。

朗唱する詩歌には、特別な意味があるのですか?

アーシグが朗唱する詩は即興ですが、内容があります。

私は大抵の場合、良いものや自然を讃える、あるいは悪いものに対する不満を表す内容を吟じます。

例えば、私は今朝目が覚めました。

すると、雨が降っていました。

雨が降ると、私達はもっと喜びを感じます

自然は美しくなり、私はよい意味内容として自然を吟じました。

 

楽器バーラーバーンとともに生み出される音は1つなのでしょうか。それとも違うのでしょうか?

バーラーバーンは、2つの音が出ます。

1つは高い音で、もう1つは低い音です。

今こうして吹くと、低い音がでます。

そして、これは高い音です。

 

 彼は、アーシグ楽団の3人目のメンバーで、ダフというイランの伝統的な打楽器を担当しています。

このあずやまは、羊毛と葦でできています。

外から見ると小さく見えますが、内側は非常に大きく、また中は涼しいです。

アーシグは、古くからあらゆる儀式に存在してきました。

ですが、多くの場合は結婚式やお祝い事などに欠かせないものとされています。

儀式の場にアーシグが参加していることは、婚礼の会場の壮観さを示しています。

 


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