12月 05, 2016 16:36 Asia/Tokyo

今回の番組では、ギャズ川とハラー川が交わる河口にある、アズィーニー湿原をご紹介いたしましょう。

アズィーニー湿原は、1975年、湿地の保存に関する国際条約・ラムサール条約に登録されました。この湿原はイラン南部バンダルアッバースの南東120キロ、ホルモズ海峡の東海岸に位置しています。この湿原は面積1万5千ヘクタール、海抜はほぼ0メートルとなっています。

 

アズィーニー湿原は、イランの熱帯にある湿原の中でも最大の驚きを呼ぶ湿原で、ヒルギダマシとヤエヤマヒルギの二種類のマングローブ林を有しています。興味深いのは、イランの南岸地域で、この湿原だけにヤエヤマヒルギが生育していることです。

 

アズィーニー湿原は、海岸にある湿原で、ハラー川とギャズ川の河口が、ホルモズ海峡の東海岸に北から南に40キロにわたり湿原を形成しています。このためアズィーニー湿原には干潮と満潮、粘土製の水底、砂浜、複数の島があります。

この地域の気候は、熱帯、あるいは亜熱帯で、夏の気温は45度にも達します。年間降雨量は100ミリから300ミリで、主に12月中旬から3月にかけて降雨があります。このためこの地域では冬を越すためのペリカンなどの水鳥が見られます。

 

これまでにアズィーニー湿原には18種類の鳥類が確認されており、このうち4種類は土着の鳥、残りは渡り鳥なっています。

アズィーニー湿原では当初、狩猟が禁じられているというだけの地区でしたが、2001年からこの湿原は保護地区に昇格しました。この地域は、鳥類の保護に関する国際的な機関から重要な場所として提示されています。

 

漁業はこの地域の人々の主な経済活動とみなされており、ヒルギダマシを使って網が作られています。この地域はエコツーリズムの発展においても、大きな可能性を有しています。

アズィーニー湿原では、河口や砂浜などにヒルギダマシの原生林が存在します。また周辺の沿岸にはアカシアなどの植物が散在しています。

 

ハラー川の河口にあるヒルギダマシの原生林は、一部のヤエヤマヒルギの木とともに存在し、高さと密集度の点からイランで最も顕著なヒルギダマシ林と見なされています。

 

ヒルギダマシの木の特徴は、満潮の際に、木の頭の部分だけが見えることです。残りは海水の下に隠れて見えなくなり、干潮時にだけ、茎や根を目にすることができます。

 

マングローブ原生林は、成長するために淡水を必要とせず、数百万年の間、海の塩水や満ち引きに自らを適応させてきました。沿岸部にあるホルモズガーン州のマングローブには、ヒルギダマシとヤエヤマヒルギの2種類があり、ヤエヤマヒルギは一部の沿岸とアズィーニー湿原の保護区のみで見られます。

 

ヒルギダマシの原生林は、河口、美しい鳥類、手つかずの自然とともに、ホルモズガーンの観光の魅力の一部であり、観光客や自然の愛好家に心休まる美しい景観を提供しています。これらの森林には毎年多くの人が訪れ、彼らに美しい記憶を残しています。

ヒルギダマシの原生林は、水生生物などの生存において重要性を有しています。ホルモズガーン州は面積およそ1万9千ヘクタール、イラン最大のマングローブ原生林を有しています。イランのマングローブの91%が、アズィーニー湿原を含む3つの国際湿原にあります。

 

この数年、世界の最も豊かなエコシステムとしてのマングローブ原生林の維持と復活の重要性に注目し、植林などの再生活動が行われています。

 

ヒルギダマシの原生林は、ホルモズガーンの沿岸部に住む人々にとって、とくに3月のイランの新年の休暇において経済的な重要性を有しています、というのもこの時期、ゲシュム島の伝統工芸や風俗習慣、伝統に関するフェスティバルがヒルギダマシ原生林のそばにある港で開かれ、多くの観光客が訪れるからです。

 

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