ガーヴフーニー湿原(画像)
ガーヴフーニー湿原は、イランの国際的に重要な湿地の一つで、鳥類にとって非常に重要な生息地となっています。この湿原はイラン中部イスファハーンの南東176キロのところに位置しています。
イスファハーン州は、歴史、文化、宗教、自然の数々の魅力を備えたイラン中部の州です。イスファハーン市はこの州の州都で、テヘラン、マシュハドに次ぐ、イラン第3の都市であり、多くの観光的な魅力を備えています。
イスファハーン市は、イランの東西南北の十字路にあり、歴史の中で、頻繁な往来があり、様々な民族、文化が交わる場所となってきました。イスファハーン州は、北部と東部は砂漠に接し、西部と南部はザグロス山脈につながっています。ザルドクーバフティヤーリーという山を水源とし、ザーヤンデルード川を生じさせている複数の川は、この町の形成に重要な役割を果たし、ザーヤンデルード川を挟んだ両側にイスファハーンの美しい町を生じさせました。
2005年、イスファハーンはイスラム諸国の最初の文化的首都に選ばれました。これにより、イスファハーンはこれまで以上に、イスラム諸国や世界で知られるようになり、多くの観光客を集めることになりました。この町は伝統工芸の点で、イランで最も重要な町と見なされています。更紗、寄木細工、テルメと呼ばれる織物、これらはイスファハーンの伝統工芸品の例です。チェヘルソトゥーン宮殿、イマーム広場、ゲイサリーエ市場、アーリーガープー宮殿、イマームモスク、ジャーメモスク、ハシュトベヘシュト宮殿、ハージュー橋、スィオセ橋、アルメニア教会、ゾロアスター教寺院、これらはイスファハーンの歴史、文化、宗教的施設となっています。
こうした史跡とともに、イスファハーンは、砂漠、滝、洞窟、国立公園といった様々な自然の魅力を有しています。
ガーヴフーニー湿原は、この地域の自然の魅力のひとつです。この湿原は、湿原の保全に関するラムサール条約に登録されているイランの24の国際湿原の一つです。この湿原はイスファハーンの南東176キロ、ヴァルザネの町から12キロ行ったところにあります。この湿原は4万7600ヘクタールあり、海抜は1470メートルです。
ガーヴフーニー湿原は、浅瀬の塩湖であり、実際、氾濫原となっています。イラン中央高原の西側から湖に注ぐザーヤンデルード川は、この湿原の重要な水源です。ガーヴフーニー湿原は塩水と淡水の異なった湿地の集まりから出来ており、中央高原の類稀な湿原の一つであり、イランの多様な生態系の点から唯一無二の存在となっています。
ガーヴフーニー湿原の降水量は年間50ミリから100ミリで、気温は最高で38.3度、最低で-4.6度です。湿原の中央には窪みが存在し、湿原の水を貯めています。湿原の土は湿土の一種となっています。
ガーヴフーニー湿原の周囲の土地は、農地に適さない塩分濃度の高い土地となっており、その北西部の一部地域でのみ、農業が行われています。この湿原には多様な生態系が存在します。湿原の周辺は植物で覆われており、湿原の幅広い範囲を葦が覆っています。塩水であること、高い蒸発率であることから、地域の土地は塩分濃度が高く、地域の多くの植物は塩分を好む植物で構成されています。
ガーヴフーニー湿原はまた、様々な鳥類の重要な生息地となっています。この湿原では様々な哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類が見られます。これまでこの湿原では44種類の鳥類が確認されており、2種類を除いてすべて渡り鳥となっています。この湿原で見られる鳥類にはガチョウ、フラミンゴ、アヒル、ハクチョウなどがいます。またオオカミ、キツネ、ジャッカルなどがこの湿原の、重要な哺乳類となっています。
ガーヴフーニー湿原は1976年、ラムサール条約に登録されました。さらに鳥類の保護に関する国際機関によって、重要な地域として認定されています。この湿原は禁猟地区でもあり、特定の期間のみ、漁獲や狩猟が許されています。
ガーヴフーニー湿原は環境を改善し、砂漠化や洪水を防ぐ上で効果的なエコシステムとなっています。この湿原は、生態系としての価値に加えて、憩いの地としても注目されています。周辺の牧草地における家畜の放牧、鳥類や魚類の限定的な捕獲、植物の収穫も行われています。
この湿原は、イスファハーン州の砂漠の中にある、手付かずの自然の一つとなっています。短期間の滞在で、美しい景観と共に、森林や、珍しい鳥の群れが飛んでいく様を眺めることができます。
ガーヴフーニー湿原を訪れると、驚くべき自然の景観に加え、地域の観光的魅力を目にすることができるでしょう。また近くにあるヴァルザネ市では、古い橋、モスク、隊商宿、城砦などの史跡を見学することができます。
ガーヴフーニー湿原を訪れるのに最高の季節は、気候のよい春の初めです。秋や冬の初めもよい季節であり、特に気温が下がるこの時期は多くの渡り鳥が湿原にやってきます。