2月 11, 2017 15:52 Asia/Tokyo
  • トランプ大統領とアメリカの人権侵害

このところ、アメリカの人々の基本的な権利や自由が、制限されているような状況です。

常に人権を主張し、自由に基づいたスローガンを掲げているアメリカという国において、自由の女神像の傍らで人々が抗議の声を上げ、人間の基本的な理想を獲得するための努力がなされていることは世界の人々にとって驚くべきことになっています。

 

アメリカでトランプ大統領が就任してそれほど経っていませんが、第45代アメリカ大統領の人権侵害は、大いに広がっています。明らかに、トランプ大統領の人道に反する行動のひとつは、イスラム圏7カ国の渡航者の入国を禁止する大統領令への署名でしょう。

 

それでは、この状況について検討することにしましょう。

 

トランプ大統領は、就任からわずか10日間の間に、アメリカをこれまでの100年間には見られなかったような形で、世界各国との対立に追い込みました。トランプ大統領は1月27日、少なくとも120日間、すべての難民を対象に、そしてシリア難民については次の通達があるまで入国を禁止しました。また、イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメンからの渡航者の入国を90日間禁止しました。

トランプ大統領による入国禁止7カ国

 

移民やイスラム圏7カ国のイスラム教徒の入国を禁止する大統領令により、アメリカ国内外で大きな抗議が沸き起こりました。

アメリカ国内の関係者の多くや、他国の政府高官、国際機関やメディアの活動家は、この決定を人種差別的で非人道的だとしました。民主党員をはじめとするアメリカの政治家や民間団体、人権擁護団体は、アメリカ全土で、トランプ大統領のこの行動に対する怒りと嫌悪感を示し、この行動を完全に停止させるまで抗議を続けていくと強調しました。

 

アメリカ・ニューヨークの心理学者のガートナー教授は、このように語っています。

 

トランプ氏は精神疾患を抱えており、悪質なナルシシズムに陥っている。それを示すのが、彼の攻撃的で、反社会的、そしてサディスティックな行動や、過剰な傲慢さだ。

 

フランスのオランド大統領は、次のように述べています。

「アメリカの新政権はポピュリズムを煽っており、過激主義的でもある。今日、アメリカの新政権として発せられる言葉は、人々を惑わすだけでなく、過激主義的だ。」

 

イスラム教徒のアメリカ入国禁止と、移民の受け入れ停止へのトランプ大統領の決定に対する反対は、どこよりもアメリカでもっとも大きな高まりを見せています。この大統領令が出された後、アメリカの人々は、主要都市、特に空港で怒りを示しました。

 

アメリカの大都市のほとんどでは、抗議デモが行われ、運動の参加者はこの大統領令に対する怒りと嫌悪を示し、イスラム教徒の支持を強調しました。多くの様々な人々が、人権団体や民間団体とともに参加し、ホワイトハウスに向かって、イスラム教徒を支持するスローガンを叫びました。

アメリカ入国禁止令に反対する抗議デモ

 

ドイツのある新聞は、最近の決定を分析する中で、ホワイトハウスははじめからトランプ大統領下で、アメリカの孤立にむけて進んでいるとしています。

 

この大統領令は、アメリカの極端な人種差別が再び現れ、欧米を支配しているエリート文化の一部となっているということを示しています。

イスラム圏7カ国の渡航者入国禁止に関する大統領令の署名

 

イスラム教徒に対するアメリカの差別は、アメリカで人種主義が過激になっているということを示しています。トランプ氏は、イスラム教徒に反対する以前からの発言により、多くの批判を浴びていました。しかし、トランプ氏はこれを気にかけず、イスラム教徒に対する人種差別的な対応の必要性を強く訴えました。彼はCBSのインタビューで、次のように語っています。

 

「我々は政府として、現在の段階で、人種差別とは何かを考えるべき時期に来ていると考えている。もし、イスラエルに目を向ければ、その政策が何度も成功を収めていることが伺える。確かに私は差別的な事柄を嫌悪しているが、明らかな行動をとり始めなければならない」

 

トランプ大統領のイスラム教徒のアメリカ入国を制限する人種差別的な大統領令が出された後、今度は女性に関する問題が噴出しています。平等と一部の権利を獲得するため闘争し、長年の努力を経てきた女性からは、トランプ大統領の賢明でない行動により、最も基本的で明らかな権利が損なわれています。

女性に関するトランプ氏の発言

 

トランプ大統領は、これ以前にも女性に関して、差別的で侮蔑的な見解を抱いていました。最近の発言でも、多くの女性の怒りを買っています。トランプ大統領は、また、オフィスにおける女性の服装に関して、「女性らしい服装をしろ」と述べました。この発言は女性の怒りを引き起こし、ソーシャルメディア上で物議をかもしました。

 

この発言は理性に基づいておらず、人権にもまったく合致していません。また、女性のごく個人的な事柄について、アメリカ大統領が干渉していることにあたります。

 

世界人権宣言やそのほかの基本的人権に関する規定では、すべての人間は自由権をもち、自由な権利が守られている環境で生活することができるとされています。服装の選択は、人間にとってもっとも基本的な権利であり、この中で、女性や男性の間に差別は存在しません。

 

トランプ氏の政権チーム内部の情報筋と話した人物は、次のように語っています。

「トランプ氏は政府機関のすべての男性職員に対して、いかなるときでも外見を飾り立て、よい服を身につけるよう求めた。しかし、男性はネクタイをして、髪を整えるだけで十分であるのに対して、トランプ政権の元で働く女性の服装規定は、男性より少し複雑だ。トランプ氏は女性らしい服装をしている女性が、彼のために仕事をするのを好んでいる。もし誰かがデニムを着ていった場合でも、女性らしい化粧をしなければならない」

 

新聞テレグラフは、トランプ大統領のこの発言に反応する中で次のような疑問を投げかけました。「トランプ氏の言う『女性らしい服装』は、どのような意味を持ちえるのだろうか」

 

実際、トランプ氏は富豪の一人ではあっても、現在は、アメリカ大統領の威信を守り、人権と国民の権利を尊重しなければなりません。おそらく、トランプ氏は一度、注意深くアメリカ合衆国憲法と、大統領の権限と義務についての条項を読み、アメリカ大統領として決定を下すべきでしょう。

 

一方、国連などの国際機関、EU、人権活動家は、トランプ大統領の過激で非論理的な見解に何度も抗議していますが、この行動に関して、国際社会も真剣で強い決定を下すべきだと考えられます。

 

トランプ大統領の見解により、最も基本的で明らかな人権が、無意味なものとみなされてしまうため、トランプ大統領の行動は、国連人権理事会で審議されるべきでしょう。21世紀の現在、長年にわたり人権活動家や、自由を求める人々が長年にわたり努力し、環境権や平和と発展の権利などの新たな世代の権利が国際機関で扱われているのにもかかわらず、トランプ大統領は、自由権や差別の撤廃といった、当初の基本的な人権を侵害しています。この行動により、アメリカの人々だけでなく、世界中の自由を求める全人類が、アメリカ国民への連帯を表明するため、立ち上がっているのです。

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