3月 26, 2017 16:49 Asia/Tokyo
  • 最近の朝鮮半島情勢

朝鮮半島は、多くの問題や緊張を抱えています。 

現在の朝鮮半島の政治・安全保障情勢を明らかにするためには、まずはじめに起こっている出来事の理由を探る必要があります。これらの出来事はしばしば、地域の関係国を巻き込みます。

北朝鮮の政策の傾向は、核武装化に集中しており、西側のアナリストによれば、こうした動きはキムイルソン国家主席、キムジョンイル総書記、キムジョンウン労働党委員長の北朝鮮の指導者3代の野心によるものだとしています。この3人は、ほぼ北朝鮮の核武装化において、最も影響力を行使した人物でした。

明らかに、現在、朝鮮半島を危険な状態においている政治的、軍事的な一連の出来事、つまり、北朝鮮を核保有国とすることは、一方で北朝鮮の支持者の偏見、他方でアメリカによる覇権主義にかなりの部分が関係しています。北朝鮮は以前から、アメリカに対して、北朝鮮の核能力、ミサイル能力を真剣に考えろというメッセージを伝えようとしています。

政治専門家やアナリストは、北朝鮮と韓国は、冷戦時代における分割によって生み出された考えています。日本は1910年に朝鮮半島を併合しました。日本による併合時代は35年続き、日本の第二次世界大戦の敗戦により終わりました。

当時のソ連の指導者、スターリンは1945年、朝鮮半島の北半分を独立させました。ソ連はこのとき、キムイルソンを支援しました。一方、アメリカはトルーマン大統領時代、アメリカの覇権主義政策に同調する政治体制を朝鮮半島の南部に発足させました。

南北朝鮮はいつの時代においても、どのような状況に置いても、朝鮮半島の主権を主張しています。このことが、実質的な危機の原因とされており、永続的な敵対的状況を確立しています。キムイルソンは1950年から1953年まで続いた朝鮮戦争の後、北朝鮮は核の防衛力が必要だという結論に達しました。

次に、アメリカ、中国、ロシア、日本、そして南北朝鮮の役割についてお話しましょう。北朝鮮の核能力は認められているものの、北朝鮮からすればアメリカの帝国主義の偽善的行動は際限がありません。

アメリカは広島と長崎に原爆を投下した唯一の国です。この原爆投下により、20万人以上が死亡しました。核兵器により、アメリカは核兵器により、数度にわたり地球を消滅させることができます。

北朝鮮は、このような特徴を持つ国は世界の警察を自称しており、どの国がこの兵器を持つか、どの国がこの兵器を利用できないかを決めていると考えています。このアメリカの役割を認めることは、世界は資本家の手の中にあり、ほかの国ではなく、アメリカの資本家の手の中にあれば安全だということを認めることになります。

核兵器製造に対するアメリカの反対は、世界全体の労働者や苦労している人々の今後に関する人道的な考え方とは、かけ離れています。

北朝鮮はプロパガンダ活動の中で、常に、「アメリカ帝国主義は、衛星国の韓国を通じて、アジア全体の中で中国に圧力を加え、様々な手段で北朝鮮を支配し、服従させようとしている」と語っています。明らかに、北朝鮮における社会主義を失敗に追い込もうとするアメリカの目的は、世界全体の莫大な数の貧しい人々の生活状況を改善させることではありません

IAEA国際原子力機関と、国連のパン前事務総長は、常にアメリカとともに、北朝鮮に対する圧力を行使していました。北朝鮮は、2006年、2009年、2013年、2016年に、あわせて5階の核実験を行いました。北朝鮮は、すべての核実験において成功したとしています。

最近、北朝鮮は水素爆弾実験を行いました。北朝鮮は昨年7月4日、射程距離500キロのスカッドミサイル7発の発射実験を行いました。2009年4月5日には、調査衛星を打ち上げました。

北朝鮮は安保理決議1718による制裁を受けており、また北朝鮮に対する2番目の安保理決議1874も出されました。

この決議によれば、北朝鮮を往来する船舶や航空機、大型自動車に対する監視体制の強化が見込まれていました。北朝鮮は、以前からアメリカに対して、もし国連安保理の制裁が強化されれば、より頻繁にミサイル実験を行うことになると警告を発していました。

国連のパン前事務総長は、北朝鮮は定期的な実験により、自分からアメリカやその同盟国との話し合いの道を閉ざしたと語り、北朝鮮は2つの安保理決議に違反することで緊張を作り出しているとしました。

北朝鮮は核実験やミサイル実験を誇りの源であるとみなし、このような行動は、敵との不利な戦いの中で、北朝鮮の地位を安定させるとしています。軍や、その能力の向上を優先事項とするのは、この数十年間、北朝鮮の労働党の基本戦略であり、あらゆる新型兵器を自由に製造するため、国の防衛産業の基盤を強化しようとしています。

しかし、アメリカが北朝鮮に圧力を加え、東アジアに干渉するのには、どんな目的があるのでしょうか。

明らかに、アメリカのトランプ大統領は、オバマ政権時代、そしてそれ以前の大統領のアジアにおける戦略方針を継続しています。アメリカは1950年から、地域に対する干渉を強めることで、南北朝鮮の人々の統一を妨害しています。

北朝鮮のキムジョンウン労働党委員長は、この統一は、戦争によっても、戦争なくしても果たさねばならないとしています。

実際、北朝鮮の核ミサイルに関する行動はすべて、基本的に、アメリカの東アジアにおける拡張主義に対する抵抗です。北朝鮮はこの行動で、アメリカのイニシアチブを脅かしているのでしょうか。

北朝鮮のこのような行動や、アメリカ、日本、韓国の反応と同時に、IAEAの義務とは何であり、この危機に関してどのような役割を果たすことができるのかを見ていかなければなりません。

IAEAの義務のひとつとは、加盟国に、医療、医薬品、産業、農業などにおいて原子力を平和利用させることであり、また、世界各国に対して核兵器製造とその拡散と悪用のために原子力を利用させないことなのです。

天野事務局長は北朝鮮の行動に反対しており、アメリカの政策に同調しています。また、北朝鮮のNPT核兵器不拡散条約の脱退の理由を一度も聞いたことがありません。一方、北朝鮮は1985年にこの条約に調印し、2006年に脱退しました。

実際、北朝鮮の行動により、日本の安倍総理大臣は、日本憲法を変えるための十分な口実を得ています。日本は近年、強力な軍隊を復活させ、防衛計画を強化しようとしています。

日本はまた、近年、いつの時代にも増してアメリカの防衛計画に参加しています。これらすべては、北朝鮮にとっての侵害行為とみなされました。韓国も、こういった行動をとっています。アメリカとの定期的な合同軍事演習は、北朝鮮の脅威と対抗する目的によるものだとされています。アメリカのミサイル迎撃システムTHAADの韓国配備は、北朝鮮対策という目的で、韓国がアメリカに従属する大きな一歩なのです。

政治の専門家は、南北朝鮮による代理戦争だと考えていますが、中国とロシアは冷戦が終わったあとでも、アメリカの脅威に対抗するため、北朝鮮を支援しています。

中国の行動は、この中で重要です。中国は長年、重要な北朝鮮の同盟国で、アメリカと北朝鮮の仲介役をとつめてきました。しかし、北朝鮮の核実験、ミサイル実験は中国を難しい立場に追い込んでいます。中国は地域、世界の世論の圧力を受け、国連安保理と同調し、北朝鮮に対する制裁を行使しています。これらの制裁は、中国の商業的、政治的利益と、地域における中国の栄誉を損なっています。

アメリカとその同盟国は、対北朝鮮制裁は中国がそれを行使するときにのみ有効だとしています。しかし、中国は北朝鮮が崩壊に進むのを望んでおらず、これらの国すべてが等しく罰則を受けるべきであり、北朝鮮が一方的に罰則を受けることで、ほかの国より大胆な行動を起こすと考えています。

中国外務省の報道官は、次のように語っています。

「朝鮮半島、そして北東アジアの平和と安定は、すべての関係国による集団的な利益と義務の中でのものだ、現在の朝鮮半島情勢は、大変複雑化しており、緊張している」

ロシアは、特にウクライナ情勢において西側が一団となってロシアに反対し、加えて日本が西側とともに対ロシア制裁に加わった後、北朝鮮を孤立化させようとしませんでした。ロシアのプーチン大統領は、北朝鮮の債務を帳消しにしました。

つまり、北朝鮮に対する措置は、地域における不安定化の要因となり、北朝鮮の崩壊は、中国とロシアに影響を与えることになります。中国は2003年、アメリカ、ロシア、日本、南北朝鮮、そして中国が対話することで、すべての国が満足する形で地域の問題を解決する方法を見出すため、6カ国会議を提唱しました。

中国の指導者は同様に、ほかの戦略を実行しています。実際、中国は自国の経済的な可能性と経済力を利用し、北朝鮮を緩やかに経済改革に導こうとしています。中国自身もこの計画を1979年から始めました。

北朝鮮は中国という強力な隣国があり、中国経済もまた、いまだに急速に成長を遂げています。中国は衰退しないばかりか、現在も強大化しています。韓国や日本はアメリカの政治的、安全保障的な影響を受けており、中国は韓国がアメリカが望んでいる体制の中に組み込まれるのをよしとしていません。

いずれにせよ、南北朝鮮の戦争はくすぶったままであり、再燃する可能性があります。一部のアメリカの拡張主義的な政策が、この戦争の再燃に関与することもあります。つまり、アメリカの拡張主義の結果は、これまでこの主張を裏付けています。実際、北朝鮮の核武装化は、アメリカの朝鮮半島政策に起因しているのです。

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