10月 14, 2017 20:43 Asia/Tokyo

間違いなく、東アジアと朝鮮半島の危機が続いている最も重要な要素とは、アメリカがさまざまな理由により、さまざまな形で地域に駐留していることです。

アメリカ軍兵士およそ8万人が韓国と日本に駐留し、日本の自衛隊や韓国軍と合同軍事演習を行っていること、アメリカの戦艦や潜水艦が、中国や北朝鮮の近海に派遣されていること、ミサイル迎撃システムTHAADが韓国に配備され、新たな戦略兵器の韓国配備が計画されていること、これらは、アメリカの東アジア、朝鮮半島付近における軍事計画となっています。

朝鮮半島

アメリカ軍が東アジアに駐留することで、危険な結果を呼んでいます。その最も重要なものは、東アジア地域における安全保障上の問題です。また、アメリカは地域に駐留することで、地域における軍拡競争をあおり、中国に軍事費の膨張を強いています。

こうした中、北朝鮮危機を包括的な形で見てみると、アメリカ、韓国、日本が一方で、中国、ロシア、北朝鮮がもう一方で、自身の目的を追求しているのがわかります。

ミサイル迎撃システムTHAAD

北朝鮮は、自国がミサイル大国、核大国であることを示そうとしています。北朝鮮がアメリカとの対話に応じる最も重要な条件は、このことをアメリカが受け入れることです。アメリカも、朝鮮半島危機により、東アジアと中国近海における軍事力の強化と、中国に対するけん制を求めています。このため、アメリカ政府は、北朝鮮危機を解決しようという気はほとんどありません。

自民党を中心とする日本政府も、朝鮮半島危機を利用して、軍事主義的な計画を推進し、憲法9条を改正しようとしています。憲法9条は、日本の軍隊保持と海外派兵を禁止しています。

北朝鮮のミサイルによる危機に対する中国の立場についても、さまざまな見解が提示されています。一部では、なぜ中国は北朝鮮制裁を行使する安保理決議2371の採択に賛成したのか、という疑問が提起されています。中国と北朝鮮が、戦略的な同盟関係にあることから、ミサイル実験を継続する北朝鮮への、中国の批判と、それに対する北朝鮮の中国への警告は、アメリカの中国に対する圧力を緩和するための、ある種の見せ掛けの争いであると見なされています。

アメリカ政府は最近、北朝鮮に対する中国の責任といった見解を提示し、北朝鮮と中国を反目させようとしています。中国政府も、北朝鮮のミサイル計画を批判しているとして、責任を押し付ける見解に反発しています。

アメリカの対北朝鮮安保理決議案に対する中国の賛成は、アメリカのトランプ大統領を喜ばせています。

中国が最近の対北朝鮮制裁決議案に賛成したことは、その行使を意味するわけではありません。決議に関して、それに違反した国への罰則については、考慮されていません。

安保理決議2371に際して、中国はアメリカの対北朝鮮政策に対して理性的な態度を取ろうとしているように見えます。というのも、北朝鮮が最近、弾道ミサイルの実験を継続していることは、アメリカの怒りをより激しいものにし、アメリカは自国の世論に対して、理性的でない対応に訴える可能性があるからです。この中国の戦略的な同調は、朝鮮半島危機を抑制する中国の計画に沿ったものとみなされています。CNNのウェブサイトは、これに関して、次のように記しています。

「中国は、北朝鮮国境における戦争の勃発を避けるよう求めており、これは、数百万人の難民が中国に流入する原因となるからだ。もし、このことが起きれば、アメリカ軍の中国国境における駐留も、想像に難くない」

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ロシアは、北朝鮮をめぐる地域における危機の勃発をまったく望んでいません。ロシア政府の見解では、ロシアの安全保障を脅かす要因とは、北朝鮮ではなく、アメリカによって支援され、現在、中央アジアなどのロシア周辺にいるテロ組織ISISであり、この問題は北朝鮮のミサイル危機の陰に隠れています。つまり、北朝鮮問題とは、軍を派遣して東アジアの安全保障を全面的にコントロールするための、アメリカにとっての都合のよい口実だとロシアは考えているのです。

いずれにせよ、北朝鮮のミサイル計画や核計画は、表面的には発展しており、北朝鮮からすれば、決して後戻りできないもので、また、これを中国とアメリカの取引のために犠牲にすることはできないでしょう。中国の国際問題の専門家は、次のように語っています。

「北朝鮮のミサイル実験は、国際法規によれば自国の防衛という点で合法であり、北朝鮮に対するアメリカの抗議は、北朝鮮の尊厳と主権に対する侵害のしるしだ」

つまり、北朝鮮の今後の情勢変化を予想するのであれば、北朝鮮はアメリカに対する抑止政策を続けることになるというべきでしょう。中国も、危機を管理することで、アメリカと北朝鮮の敵対行為の激化や戦争の勃発を防ごうとしています。これは、朝鮮半島の核問題が、今後、不透明な形で続くことになり、この問題の終結への展望が描くことができないということを意味しています。

最近の情勢では、トランプ大統領は北朝鮮問題を解決する手段がなく、軍事攻撃を示唆し、安全保障問題をあおっているだけです。一部のアナリストは、中国は北朝鮮を通じて、アメリカの威信を傷つけようとしていると考えています。そして、北朝鮮と中国は、トランプ大統領を侮辱する計画を行い、中国はアメリカに対して、東アジア地域のすべてに関与する過去の力はもはや持っていないことを示そうとしている、としています。アメリカの政治アナリストは、次のように語っています。

「トランプ大統領は、北朝鮮との戦争に踏み切ることは自殺行為だということを知っている。もし、開戦という選択肢を取るのであれば、地域を血の海に変え、簡単に看過できないような、大きな侮辱を受けることになるだろう」

いずれにせよ、朝鮮半島危機における最大の敗者は韓国であると考えられます。つまり、ミサイル迎撃システムTHAADなどの兵器の韓国配備は、人々の抗議を引き起こすだけでなく、韓国を北朝鮮のミサイルの標的とすることになります。アメリカのヘリテージ財団のアジア研究所のブルース・クリングナー北東アジア上席研究員は、次のように語っています。

「アメリカが北朝鮮を先制攻撃しようとしていることで、さまざまな懸念が高まっており、この攻撃は悲劇的な結果を引き起こすことになる」

一方で、中国も、韓国におけるTHAADの配備に抗議を示す中で、韓国に対する貿易制限や観光分野での制限を加えました。

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