日本の解散総選挙
日本の安倍首相は、衆議院を解散し、総選挙が行われることになりました。
安倍首相は、自民党を率いて、2012年の衆議院選挙で、2009年から政権を担当した民主党に勝利し、再び政権の座につきました。
安倍首相は自民党の最も重要な計画を、経済の再生、女性の立場の強化などだと発表しました。
しかし、安倍首相は、2012年の自民党の会合で、強力な軍隊を作るための憲法9条の改正を語りました。
この5年間、安倍首相は計画の実施に関して、半数以上の賛成を得られず、現在もおよそ半分の人々が、軍隊創設を目的とした改憲に反対しています。
安倍首相の解散総選挙における最も重要な目的とは、衆議院で改憲派が過半数の議席を獲得することにあります。また、親族や閣僚の職権乱用疑惑が提起された後、再び、支持者の信用を得ようともしています。
そのほか、安倍首相の解散総選挙の目的は、国会で野党から提出された汚職による不信任案から逃れることにあるとされています。
野党関係者はあらゆる機会を使って、安倍首相の一族と、閣僚による汚職を提起しています。
日本でもナショナリストと見られている安倍首相は、軍隊を再び創設し、国の英雄になろうとしているようです。安倍首相は、解散総選挙に踏み切ったリスクを受け入れたことで、朝鮮半島の危機を利用して国会で過半数を獲得しようとしていることが示されています。公明党の山口那津男代表は、次のように語っています。
「解散総選挙はいつあってもおかしくない。それに向けて準備ができている」
一方で、多くのアナリストは、この解散総選挙は安倍首相の政策にとっての大きなリスクになると見ています。岡田克也衆議院議員は次のように語っています。
「安倍首相による憲法の見直しの流れは危険だ。つまり、憲法を尊重せず、その結果は懸念すべきものとなる」
日本の現政権は、自民党と公明党の連立政権です。今回の解散総選挙でも、安倍首相は公明党と連立すると見ています。以前からこの2党は協力関係にありました。この中で、自民党と連立政権は、安倍首相の考えに影響を受けており、安倍首相は改憲計画に向けた意志を確立しようとしています。
個人的な点から、安倍首相はナショナリズム思想を有していると見られています。また、経済力だけでは、日本の地域、世界における地位を強化することはできず、世界の大国は、強力な軍事力を持つ国だと考えています。このため、安倍首相は、日本の自衛隊を強化しようとしているのです。
一部の東アジア諸国の観点では、日本の軍事主義的傾向は、過去の日本軍の行動を思い起こすものとなっています。日本軍は、地域諸国に対して植民地主義的な行動に出ました。軍事的な行動は、安倍首相からすればいくつかの点で重要とされています。
第1に、ほかの国の経済的成長や、日本の高齢化から、日本の経済成長時代は終焉を迎えていることです。第2に、1960年代から経済的競争に参入した東アジア、東南アジア地域諸国は、現在、経済的なアプローチを変える中で、軍事的なフェーズに移行しています。つまり、ASEAN東南アジア諸国連合加盟国の多くは、安全保障上の問題を抱えています。
3番目に、安倍首相の軍事的なアプローチの重視は、北朝鮮が軍事的な活動を続け、核実験やミサイル発射実験を行っている中でのものであり、北朝鮮への嫌悪を広めることで、日本の人々に軍事的な強化を行わなければならないと納得させるのに、安倍首相にとって都合が良い状況が整っています。第4に、東シナ海における日本と中国の対立を激化し、この問題にアメリカが介入し、日本に有利な状況が整うことで、自民党は、この問題を日本の安全保障上の脅威だとすることができるのです。
実際、北朝鮮嫌悪とともに、中国嫌悪も、アメリカ、そして安倍政権の5年間における政策であり、これにより改憲に向けた下地が整うことになります。アメリカの軍事アナリスト、ジェームズ・ファネル氏は次のように語っています。
「中国は日本に対する短期間の戦争を始めようとしている。また中国は軍事演習でも、沖縄への攻撃を想定しており、尖閣諸島に対する巡視活動も行っている。」
アメリカが、同盟国に対する安全保障上の支援を継続する方向から、それを地域諸国にゆだねる方向にアプローチを変えたことで、アメリカも日本の改憲に同意しています。
これに加えて、日本でナショナリズム的な感情が生まれ、第二次世界大戦以前の帝国主義時代に戻る理想が提示されたことで、地域諸国も東アジアの安全保障状況に関して、懸念を示しています。
中国・北京大学の国際関係問題の専門家は、次のように語っています。
「明らかに、アメリカは、さまざまな主張を行っている国として、力の誇示を行うために、さまざまな場で利益を得ている。こうした中で、一部の地域諸国の対立も、懸念の払拭とかいった口実により、地域の軍事的なアプローチの正当化に利用することができる」
日本のすべての政党や政治グループが、安倍首相の計画を支持しているということはなく、野党はこの計画に抵抗を示しています。
民主党は、この10年間、日本の野党として最も重要な政党として、2009年に、反米、アジア諸国との協力拡大というスローガンで政権を獲得しました。しかし、アメリカの妨害と、2011年の東日本大震災、福島第一原発事故により、2012年に自民党に政権の座を奪われました。
民主党は、いずれにせよ、自民党に対抗できる力はありませんでしたが、その後継政党は現在も安倍首相の計画に反対しています。また、新たに出現した、小池百合子都知事が率いる「希望の党」は、自民党政権に反対しています。
小池都知事は、安倍首相に対する反対者と見られています。比例代表選の投票先に関する世論調査では、「希望の党」はおよそ15%を獲得しています。
いずれにせよ、日本の多くの有識者は、今回の解散総選挙は、経済から軍事にシフトする上での、自民党の最初の試験と見ているようです。自民党は、短期間を除いて、常に日本の政権を掌握しており、イデオロギーや日本人の信条よりも、日本の経済成長に基づいて、支持率を獲得してきました。
つまり、海外にも派兵される強力な軍隊を保有するために、憲法9条を変更する計画は、初めて自民党の側から真剣に提示される計画となります。
また、安倍首相は、新たな計画を提示して、自民党を新たな試練に置こうとしています。つまり、アベノミクスと呼ばれた経済計画は、一般の人々の期待にこたえることができなかっただけでなく、消費税率が8%に上昇したことで、日本の人々は不満を感じており、これにより、この消費税率を10%に引き上げる計画は、延期されたままとなっています。
このため、自民党は、衆議院の議席の過半数を取ることができない、ということも考えうる話です。このような形になれば、安倍首相が軍事主義的な計画を実行できないことで、野党が勝利したとみなされることになります。