4月 05, 2018 19:00 Asia/Tokyo
  • ペルシアンエシャロット
    ペルシアンエシャロット

今回は、ペルシアンエシャロットについてご紹介することにいたしましょう。

イランの稀少植物の中でも、乱獲によりその個体数が激減し、絶滅の危険にさらされている植物に、ペルシアンエシャロットがあります。この植物は、タマネギやニンニクに似ていますが。タマネギとは異なり、球根が数多くの地下茎に分かれているともに、ニンニクとは逆に心地よい芳香を放ち、ニンニクよりも柔らかいものとなっています。今回は、このペルシアンエシャロットについてご紹介することにいたしましょう。

 

ペルシアンエシャロットは、ペルシャ語でムースィールと呼ばれるネギ属の多年生植物で、一部の人々の間では、パレスチナの山岳地帯が原産地であるとされています。もっとも、イランではこの種の植物の栽培は一般化されておらず、食用などに利用されているのは、山岳地帯に自生し、人間が手作業で摘み取ったものです。

ペルシアンエシャロット

 

ペルシアンエシャロットは、山岳地帯の気候区分に属し、土壌が比較的湿り気の多い地域に自生しており、その球根は、食用や薬用に多く使われています。(次の2文意味不明のため削除)

 

この植物の可食部は根と球根ですが、これらを食べる前には細長く切って流水にさらし、球根に含まれている苦味を取り除く必要があります。それから、これらを天日干しにして初めて、薬味として利用できる事になります。

 

ペルシアンエシャロットの球根は、ニンニクなどのようにいくつもの部分に分かれています。また、消化がよく、豊富なビタミンCやカリウム、食物繊維、葉酸のほか、鉄やカルシウム、たんぱく質も大量に含まれています。イランでは、この植物は主に刻んでヨーグルトに混ぜたり、ピクルスにされる事が多く、主に食欲を増進させるための薬味として利用されています。

ペルシアンエシャロット

 

ペルシアンエシャロットは、イランの伝統医学で多く利用される植物の一種です。伝統医学を支持する人々の間では、この種の植物は神経系にプラスの効果をもたらし、偏頭痛などを緩和すると考えられています。また、肝臓がんのがん細胞の破壊に絶大な効果があり、胃がんの治癒にも大きく役立っています。ペルシアンエシャロットを定期的に摂取することで、あらゆる感染媒体の胃への侵入を防ぐ事ができます。

 

ペルシアンエシャロットは、血液の凝固を防ぎサラサラにする作用があることから、心臓疾患を抱えていたり、また心臓発作に襲われたりした人々にとっての大きな助けとなります。また、糖尿病の患者の血糖値を下げ、インシュリンの低下を防ぐとともに、グルコースの代謝を促進します。

ペルシアンエシャロット

 

さらに、普段からペルシアンエシャロットを食べることで、骨組織が増大し、骨粗しょう症の20%を阻止できるとともに、血圧も下げることができます。

 

イラン国内でぺルシアンエシャロットが自生している地域は、主にザグロス山脈の斜面をはじめとする西部地域です。ザグロス山脈が走っている地域は、ペルシアンエシャロットのほかにも、レンゲ属の植物やタイム、逆さチューリップなどの薬草が多く自生する地域となっています。

 

逆さチューリップの球根が、ペルシアンエシャロットに類似していることから、利潤追求を目的としたこの植物の違法採取は夜暗いうちに、環境保護監視員の目を盗んで行われることが多くなっています。また、この際に逆さチューリップなど、そのほかの花の球根も誤って掘り出されてしまうケースが多く、こうした違法採取により希少な植物の多くが失われています。

ペルシアンエシャロット

 

ペルシアンエシャロットは球根が失われると、その根底の全てが破壊されてしまいます。残念ながら、この稀少植物を違法に採取する人々は、春にこの植物が花を咲かせて種ができる前に、次のシーズンに再生し、存続するための元を摘み取ってしまいます。このように、種ができる前に球根をそのものを掘り出してしまうことで、この植物そのものが失われてしまいます。

 

一方で、ペルシアンエシャロットの生息地以外の州、さらには国外への密売を目的とした、地元民などによるシーズン以外の違法採取により、この稀少植物は絶滅の危機に瀕しています。

 

専門家の見解では、ペルシアンエシャロットの違法採取を阻止し、その絶滅を防ぐための方法はこの植物の種をまくといった人工的な方法での栽培です。このため、イランでは最近、ペルシアンエシャロットが自生する地域の農業関係機関は、この植物の栽培を希望する人々に融資を行い、また地元民に対してはこの植物の違法採取をやめるよう、必要な指導教育を行っています。

 

ペルシアンエシャロットを球根ごと掘り起こす際には、地下茎の集合体である球根全体のうち半分を残し、次のシーズンにもこの植物が再生できるよう配慮する必要があります。

 

 

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