トルクメン人の結婚式 (1)
今回は、イランのトルクメン人の結婚式をご紹介することにいたしましょう。
トルクメン人の結婚式は、非常に興味深い慣習を伴っています。
トルクメン人の多くの結婚式で行われている儀式の一つに、セチュメクという儀式があります。セチュメクは、新郎の家族、あるいは部族の男性たちが喜びを表すために、家の屋根や高いところにのぼり、何か徴となる、通常は小さな木箱を見せて、いくらかのお金を贈り物として報告する儀式です。その後、その木箱を結婚式に参加した男性客も含めた集団の方に投げます。その木箱を受け取り、投げた人に返した人がその贈り物を受け取ります。セチュメクの儀式には男性だけが参加し、女性たちは見るだけとなります。この儀式は大きな熱狂に沸き、通常、1時間かかり、その中では10個から12個の木箱が投げられます。
結婚式の日に行われるこの他の儀式に、レスリング競技があり、勝者には賞品が与えられます。レスリングの賞品は現金、服、羊などで、新郎の親戚がそれらを用意します。そして部族の年長者によってその賞品が勝者に授与されます。競技は新郎の部族の一人が挨拶をしてから始まります。アミーンと呼ばれる競技の審判が賞品を報告し、競技が始まります。この種のレスリングは二人の間で行われ、ひざから上が地面についたほうが負けです。観客は競技の間中、誰かを応援することはありません。原則として、彼らの間には応援の習慣がないからです。財力のある人々は結婚式で、競馬を行います。これに加えて、結婚式にはドタールと呼ばれる楽器と共に地域の歌手が参加します。
かつて、トルクメン人の間で、結婚式から2日か3日後に、新婦が実家に戻るという慣習が行われていました。この滞在はしばらくの間続けられ、この間新婦は嫁入り道具を取り揃えながら父親の家族の経済活動を手伝います。とはいえ、今日、とくに都市部では、この期間は2日か3日に短縮されています。いずれにせよ、若い夫婦の暮らす場所は新郎の家となっています。
この他、トルクメン人の間で好まれている慣習の一つに、「助言の祝祭」があります。この儀式はかつて、トルクメン人の間でよく行われており、人々の間の協力や尊重の儀式です。結婚の儀式を行うと決めた家族は、近所の7家族までに、その儀式を行うために助けを求めることができます。これは今もトルクメン人の間で好まれている慣習です。この中で結婚式では、料理を用意したり、報告をしたり、新しい家屋を建てたりする際に協力が行われます。
トルクメン人の社会の慣習は、家族の維持と強化の方向にあります、というのも、各家族の強化は部族の力や信頼性を高めるものだからであり、この社会的な単位の強化を揺るがす原因となるあらゆるものが社会のメンバーの強い反対にあいます。このため、離婚はトルクメン人の社会から受け入れられず、イランに住むトルクメン人の間ではほとんど見られません。原則として、トルクメン人にとって離婚は醜く好ましからざる行為と見なされ、部族の長老が必要と認めた場合にのみ許されます。
トルクメン人の社会的な特徴に注目すると、彼らの結婚には様々な形があります。番組の最後にこれについてお話しすることにいたしましょう。
一つ目の結婚の形は、アーレシュ・ベルシュメクと呼ばれています。この結婚は、二つの家族の間で行われ、結婚式は新婦の家で開かれます。この種の結婚はとくに新郎が結婚費用を支払うことが出来ない場合に行われます。とはいえバフティヤーリーやクルドといった民族の間ではこの種の結婚は一般的です。
また、アーダーマーグと呼ばれる結婚もあります。これは二つの親戚の家族の間で行われるものです。男女は子供のときからいいなづけとされています。この種の結婚はかつてよく行われていましたが、今日、特に都市部では、生まれる子供に障害が出るなどマイナスの影響があることが分かっているため、減少しています。
男女の家族が結婚に賛成しない場合、その二人は信頼できる影響力のある家族に支援を求め、そうすることで両親の賛成を得て、結婚の下地を整えます。とはいえ、この他にも様々な形の結婚が存在します。
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