トルクメン人の結婚式（２）

12月 25, 2018 15:06 Asia/Tokyo

イランのトルクメン人の結婚式

前回は、イランのトルクメン人の結婚の慣習についてお話しました。トルクメン人の結婚式は、非常に興味深い慣習を伴っています。今回の番組では、これについて、さらに詳しい慣習をご紹介することにいたしましょう。

トルクメン人の風俗習慣をご紹介する中で、トルクメン人の伝統的な住居と、それに関する慣習についてお話しました。今回の番組では、トルクメン人の結婚に関する風俗習慣をご紹介することにいたしましょう。とはいえ、トルクメン人の結婚式は、その部族によって異なっています。このため、この番組では、結婚式の共通の部分についてお話しすることにいたしましょう。

トルクメン人もまた、他のイランの民族と同じように結婚を必須事項だと見ており、すべての人が結婚すべきだと考えています。こうした考え方は、宗教的な信条はさておき、遊牧生活をおくるトルクメン人の過去の生活と関係があると見るべきでしょう。結婚の様式は、これらの人々、特にトルクメン人の農耕民族の間で変化してきたことから、今日、部族の生活の根源はこうした社会的な単位の中で目にすることができます。

今もトルクメン人は通常、年若くして家庭を作り、ここ数年、トルクメン人の社会的な生活に生じている変化にも関わらず、現在も自らの習慣を守っており、民族性の強化と団結の維持のために、配偶者を内部から選びます。こうした意味において、可能な限り、配偶者を近親者から選び、他民族との結婚よりも、同民族との結婚を好んでいます。トルクメン人が他の民族と結婚するのは非常に稀なことで、もししたとしても、社会に受け入れられません。

トルクメン人は、配偶者を選ぶ際に特別な価値観を有しており、一般に新婦となる女性の母親に注目が寄せられます。彼らはしっかりした良い母親をもつ女性を選ぼうとします。同時に生活力や健康、体力、手先の器用さ、困難に対する耐久力も重視されます。男性についても、結婚資金を持っているかなどの経済力、家柄、誠実さが重視されます。

共同生活の開始は、すべての人にとって嬉しく、喜ばしいものであることから、トルクメン人にとって共同生活の開始の儀式も特別な慣習を持って行われ、このことはこの人生の段階が重要なものであることを示しています。この儀式はあらゆる角度から、彼らの社会に広まる信条や価値観を反映するものとなっています。トルクメン人の結婚には幾つかの段階があります。まず初めに、結婚は実際、新郎の両親が決定し、新婦の父親の了承によって成立します。この段階において、一家の父は、子供の結婚に関して、自分たちと同じレベルにある家族の子供と結婚させるよう、決定を下します。そして新郎の家族の経験のある年長者の一人が新婦の家族のもとに行き、新婦の家族が同意すれば次の段階に進みます。

次の段階では、求婚の儀式が行われます。新郎の家族が新婦の家族の同意を得た後、日時が決定され、新郎の親戚の女性たちが新婦の家に行き、新婦の家族は客人をお菓子でもてなします。この儀式には女性だけが参加し、新郎の家族から、トルクメン人の女性が手作りしたパンなど、数々の料理が新婦の家庭に贈られます。一方、新婦の家族も以前より予想を立てて、地元の特別なパンなど、料理を準備します。多くの場合、新郎新婦の親戚がこれらの料理を用意します。この2家族の料理の交換は、友好関係を生じさせます。

結婚の儀式におけるその次の段階は、シールバハーと呼ばれる贈り物です。これは新郎が新婦の母や両親におくる贈り物のことで、現金や羊や牛といった家畜となっています。そしてそれを経ると結婚式となります。結婚に際して、新郎の家族は羊をと殺し、その一部を銀貨で飾り、他の贈り物と一緒に新婦の家に運びます。新婦はこの日、移動式の住居、または男兄弟やおじといった親戚の家で待ち、新朗の家族の女性たちの前では顔を隠します。新婦は、夫の家族の年配の女性たち、とくに夫の母に特別な敬意を払うものであり、彼女たちの前ではあまりおしゃべりをすることはありません。

結婚の日、2つの家族の間で祝祭が行われます。新婦を新郎の家に連れて行く際には、新婦の頭には赤いベールがかぶせられます。赤はトルクメン人にとって喜びを表す色です。新婦を新郎の家に連れて行った後、まもなく料理が客人に振舞われ、その日の午後には、新郎の家で聖職者による結婚の儀式が執り行われ、新郎新婦の代表が同意を示すと、祝祭が行われます。