8月 09, 2021 22:52 Asia/Tokyo
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    児童婚

児童婚の子供たちは、他人の要請により結婚の契約を交わし、この子供たちにはまだとても早い世界に足を踏み入れます。

この子供たちは選択する権利もなく、未来の明確なイメージを抱くこともありません。時には何も知らずに、また時には恐怖を抱きながら、悪い結果をもたらす強制的な結婚をさせられる子供たちがいます。児童婚は、低年齢での妊娠・出産の用意がないなど、身体的な弊害から、またこのような結婚に対する不満から来る精神的な弊害からも、保護者による強制とともに、物議をかもし出しています。

国連人権高等弁務官代理による最近の報告では、世界では毎日、3万9千人の少女が、選択の自由なく、またその一生涯続く害を考慮されることなく、結婚させられています。この流れが続けば、2020年までに、1億4200万人の少女が18歳前に結婚することになります。

少女時代に強制的に結婚させられたマラウィエリナさんは、次のように語っています。

「私は結婚したことで、多くの問題に直面しました。私は子供で、どのように妻としての役割を果たすか知りませんでした。妊娠中は最悪の時期でした。なぜなら、妊娠しながら、妻として家事を行い、その上畑仕事も行っていました。こうした生活は私にとってとても困難でした、私はただの子供だったのですから」

 

各社会における児童婚の理由はさまざまです。難民化、経済的貧困、慣習や文化的伝統、少女たちの安全確保などがその一部の理由です。貧困に苦しむ多くの家庭は、一人分の生活費を減らすため、子供を結婚させることを決めます。また一部の社会では、両親は、もし早いうちに結婚させなければ、将来結婚するチャンスを一生逃すと考えます。

一部の社会では、少女たちの教育のための学校が存在します。しかし、教育の質が悪いことや、教師が存在しないことにより、両親も子供も、時間と費用の無駄だと感じています。また一部では、家族が少女たちの教育に反対しています。なぜなら学校に行くことで彼女らは、家事や、豊かな家のメイドとして仕事をし、家族に収入をもたらすことが出来なくなってしまうからです。

南スーダンのような国の社会では、花婿が花嫁の家庭に資産の一部を提供します。この資産とは、金や家畜、現金などを指します。アーイェンという若い少女は次のように語っています。「夫は75頭の牛を父に提供しました。夫と私は結婚前に互いを知っていたということはなく、話すらしたこともありませんでした。私は結婚について、何も知りませんでした。父に『結婚したくない』といったところ、父は、『お前は結婚しなければならない。私はこれらの牛がほしいからだ』といわれました」

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチがアフガニスタン、バングラデシュ、マラウィ、ネパール、南スーダン、タンザニア、イエメン、ジンバブエで行った調査は、年少時の児童婚は、長期的に悪い結果をもたらす可能性があるということを顕著に示しています。特に少女たちにとって、児童婚は彼女たちの人間としての権利を完全に消してしまうことになりえます。

児童婚は世界中で多くの問題を引き起こしています。健康への悪影響、早すぎる妊娠、女性に対する家庭内暴力、貧困などが、児童婚を行った少女たちを苦しめる要因の一部です。世界全体で行われた調査は、10歳から14歳で母親となった少女の死亡率は、20歳から24歳で母親となった女性の死亡率の4倍以上という事実を示しています。また、学業の中途放棄も、児童婚と直接的に関係があります。教育的可能性を有するバングラデシュの少女たちには、子供時代に結婚する傾向はあまり見られません。

子供は通常、性的な衛生管理や病気の予防に関して、あまり知識を持っていません。2013年の統計では、新たにエイズに感染したアフリカの少女のうち、74%が児童婚に関係したケースでした。これは何も知らずに、性的な衛生管理を考慮しなかったことが理由です。

また、家庭内暴力も、児童婚の害のひとつです。これらの子供たちは通常、物理的、性的、精神的の幅広い形での暴力に直面しています、調査によれば、年齢的な差がある妻と夫の間では、家庭内暴力がより多く見られるとされています。

児童婚

 

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、女性の状況がここ近年、多くの事柄において改善されているが、ここで、なぜ児童婚による少女たちの弊害は今もなお存在するのか、という根本的な疑問が存在すると表明しています。バングラデシュは児童婚の割合が世界で4番目に多く、また、ナイジェリア、中央アフリカ、チャドはバングラデシュよりも児童婚の割合が多い国となっています。2005年から2013年におけるユニセフの報告では、バングラデシュの少女のうち、15歳未満で結婚する少女は29%、18歳未満では65%だということです。

バングラデシュの児童婚には多くの要因があります。性的な差別、社会的な思想、慣習はたいてい、少女たちを問題に直面させ、バングラデシュにおける児童婚の割合が高い理由となっています。貧困に苦しむ家庭では、多くの両親は娘の将来を救うために、仕方なく彼女らを子供時代に結婚させているのです。バングラデシュは自然災害や気候変動の被害を直接受けている国のひとつとなっています。この事実は、バングラデシュの人々、とりわけ都市周辺部に住む人々にとっての悲惨な状況を作り出しています。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、多くのバングラデシュの家庭と、児童婚について議論を行ってきました。多くの家庭は、貧困を児童婚の主な理由として強調しています。ある家庭は、これに関して、「私は空腹から、娘を幼いうちに嫁に出した」と語っています。また、ほかの多くの家庭も、児童婚について、このように語っています。「私たちは娘たちを学校に送りだすことができず、彼女らのよりよい未来のためには、幼いときに結婚させるほかはなかった」

バングラデシュの女性差別や慣習も家族の中に次のような考え方が生み出される要因となっています。それは、息子たちが家族の将来の収入源になる一方で、娘たちはただ消費するだけで、家族の生活費の重荷となるが、結婚後は夫の家族の働き手となる、というものです。このような考え方により、貧しい家庭は、自分の幼い娘に結婚を強要しているのです。ある家庭は、ヒューマン・ライツ・ウォッチのインタビューで、次のように語っています。「私たちの住んでいる地区で洪水が起こった後、家が破壊されました。私たちはその後、娘を嫁がせることを決めました。これによって、彼女の将来がよりよいものとなり、私たちの問題も小さくなるのです」

国連は2014年11月、決議を採択し、加盟国すべてに対して、児童婚を禁止し、それを防ぎ、違反者に罰則を設ける法律を可決し、これを実施することを義務付けました。国連総会の人権委員会は、この決議を採択することで、すべての国に対して、子供に対する結婚の強制を完全に止めさせるための真剣な措置を取るよう求めました。

児童婚は世界全体の、多面的な、そして複雑な問題です。各国政府は2030年までの持続可能な開発目標の達成のために、児童婚の弊害を根絶することを取り決めました。明らかに、この実現のために、政府は、さまざまな社会や地域の条件に沿った、特定の包括的なアプローチを取ることが必要なのです。

確かに児童婚の割合は、一部の地域では減少しています。しかし、民間団体の報告によれば、ヨルダンにおけるシリア人の児童婚のように、一部の社会では増加傾向にあります。この中で、国際的な人権法の基準を守るための、法規の枠組みにおける国民の団結した行動は、鍵となるアプローチのひとつなのです。

 

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