6月 17, 2022 14:30 Asia/Tokyo

今回の「イラン自然散策」では、イラン南東部にある、スィースターン・バルーチェスターン州の自然をご紹介いたしましょう。

スィースターン・バルーチェスターンは、インド亜大陸を思わせるような地で、その風光明美な景観は、見る者全てを魅了します。スィースターン・バルーチェスターン州の自然の見所は、東部の火山地帯やハラーの森林、西部の泥火山、南部のオマーン海の海岸で、地域の河川では、クロコダイルも見られます。

スィースターン・バルーチェスターン州は、乾燥した砂漠気候に分類されますが、地方ごとに、砂漠気候、半砂漠気候、高山気候、温暖気候などに細かく区分されます。未開のこの地は、至る所に、自然の見所や古代遺跡を見て取ることができ、特に、オマーン海に接しているスィースターン・バルーチェスターン州の最南端では、素晴らしい景観を目にすることができるでしょう。オマーン海やインド洋の美しい海岸には、言葉では言い尽くせぬほどの見所が詰まっています。

この海岸では、15メートルを超える高波が、岩に打ち付けては引いていきます。この高波は、この地域の見所のひとつであり、最も高い波が見られるのは、季節風が吹く夏です。また、オマーン海の沿岸では、以前、この番組でご紹介した、海の森林・マングローブと呼ばれる、ハラーの森が見られます。輝く砂浜、そこに見られる大小の貝殻、そしてトビウオの跳ねる様は、非常に美しい光景です。オマーン海の海岸は、自然を愛する人にとっては、特に冬がお勧めです。イラン北部のアルボルズ山脈や、西部のザクロス山脈など、一部の地域で、ウインタースポーツ、スキーが盛んに行われるこの時期に、このオマーン海では、海水浴を楽しむことが出来るのです。

●チャーバハール港

ホルモズ海峡を抜けたところにあるチャーバハール港は、実際、世界の交易拠点のひとつとなっています。シャヒードベヘシュティ港、シャヒードキャランタリー港をはじめ、チャーバハール自由貿易区近郊にある大小の港は、この地域での貿易活動の繁栄を助けています。小さな漁船や大型交易船の往来は、町に活気を与えています。チャーバハール自由貿易区近郊には、自然の稀な現象である泥火山があり、泥火山は、水分を含む泥が、地中からガスによって噴出され、丘の下に向かって流れ出たものです。また、この一帯の平原に見られる泥火山の丘は、泥の混じった硬質の溶岩でできており、その上を歩くのは、それほど容易ではありません。丘の壁面もまた、つるつるした溶岩で覆われています。石の間の道を上にのぼると、丘の頂上には、泥火山であることを示す大きな穴が見られます。溶岩の流れ出た形跡が、半径数キロメートルまでに見られることは、この泥火山が、過去、活火山であったことを示すものです。そして頂上の穴の中は、今もわずかに熱を帯びています。

●メッリーフ山脈

チャーバハールから、オマーン海の沿岸を東に向かって進むと、リーパール海岸の向こう側に、「火星」を意味するメッリーフという名の美しい山脈が見えてきます。この山脈は、泥火山であり、火星を連想させるようなものであることから、この名で呼ばれており、人々を別世界へと誘ってくれます。リーパールの砂浜と、その正面に連なるこの山々の美しさは、実際、地域の自然の見所のひとつとなっています。専門家によれば、それほど遠くない昔、これらの泥火山は、海岸に隣接しており、潮の満ち干きによって、今の形に出来上がったものだということです。さらに、この海岸の砂や柔らかい土も、泥火山の出現を助けたとされています。

今日、円錐形の高い山の形をした泥火山は、あちこちに見られます。山は、2、3メートルから200、あるいは300メートルまでの高さがあり、山脈から海までの距離は、100メートルに及びません。このため、大きな満ち潮が起これば、これらの山はすべて、水に飲み込まれてしまうかのように見えます。小さな山々の中には、泥の山があり、時に、石の堆積物による層が見られることもあります。この泥で覆われた高い山は、奇妙な円錐形をしており、この世のものとは思えません。実際、このメッリーフ山脈は、この地域特有の自然の見所であり、イランを代表する自然、地域の見所のひとつとなっています。

●チャーバハールに生育する植物

それでは次に、この地域に生育する植物イヌビワについて、ご紹介致しましょう。クワ科いちじく属のイヌビワは、地方の方言で、ケルグと呼ばれています。熱帯地方、特にペルシャ湾の島々特有の果樹のひとつとされています。この常緑樹は、非常に大きな花をつけ、無数の根が空中に伸び、食用のオレンジ色の果実をつけます。イヌビワの樹は、樹齢が100年を超えることもあり、巡礼地の近くには、この樹が多く見られます。中でも、ラミーン、ティース、ヤーシー、リーパールの村々で見ることができるイヌビワの林は非常に美しく、これらの木々の中には、数百平方メートルの面積を覆うものもあり、空中に伸びた根が地中にもぐり、そこから、数多くの幹が生まれています。

この他、地域の自然の見所として、リーパールとスーラティーの2つの沼を挙げることができます。リパール沼は、チャーバハールから15キロの、リーバール村の隣、緑豊かな美しい渓谷を見渡す岩山の上部にあります。この沼は、2つの山の間に、14キロメートルに渡って水がたまってできたもので、各種の貴重な水鳥の生息地となっており、素晴らしい眺めを有しています。また、スーラティー沼は、チャーバハール自由貿易区の近くにある給水地で、太陽の光を浴び、日の出から日の入りまで、次第に湖面が淡い色を帯びていき、濃いピンクから、薄いピンクまでを映し出していきます。

 


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