均衡の取れた躍動的、賢明なイラン政府の対外政策
(last modified Sat, 23 Jul 2022 06:54:53 GMT )
7月 23, 2022 15:54 Asia/Tokyo
  • アミールアブドッラーヒヤーン・イラン外相
    アミールアブドッラーヒヤーン・イラン外相

アミールアブドッラーヒヤーン・イラン外相が「わが国の対外政策は均衡の取れた、しかもバランスの良さ、躍動的な外交、賢明な交流協力に基づくものである」と語りました。

アミールアブドッラーヒヤーン外相は「イラン政府の対外政策の基本的な優先事項は、近隣諸国との更なる協力や交流である」とし、「今世紀に新興地域として頭角を表したアジアは、多大な可能性を有しており、その一部にはイランの近隣諸国が含まれる」と述べています。

ライースィー現大統領率いる第13期イラン政権は2021年8月3日の発足以来、対外政策におけるバランスをモットーとしていることを示し、その対外政策上の優先事項は近隣諸国やイスラム諸国、目的を同じくする諸国との協力拡大となっています。

また同政権の外交政策のバランス重視という発想は、西側とアジアの有力国との関係への注目・強調と同時に、対外関係における有無を言わせない西側中心主義を否定しようとしています。

ライースィー大統領はこれに先立ち、国会での大統領就任宣誓式典において、現代世界の変貌に触れ、「諸国民の利益の確保は、新世界を見極め、新興勢力との戦略的協力をはかること、そしてバランスのとれうまく機能する対外政策にかかっている」と強調していました。

イランの対外政策によるバランス促進の実例としては、地域重視、アジア重視、SCO上海協力機構やECO経済協力機構をはじめとする地域・地域外の組織・機関への加盟、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5大新興経済国の頭文字の組み合わせ)との関係拡大などがあげられ、これらは第13期イラン政権が追求している事柄です。

イランは7カ国と陸の国境を、8カ国と海の国境を有していることから、自らの経済や外交、文化にとって無数のチャンスに恵まれています。多くの近隣諸国においては、イランの文化が多少なりとも垣間見られ、経済や通商の分野におけるこれらの国との関係が持ちやすいことや多大な可能性の存在から、イラン第13期政権は経済面での多国間主義において、近隣諸国に特別な視線を向けています。

今春における近隣15カ国とのイランの非石油製品貿易は、昨年の同時期より18%増の123億6400万ドルに達しました。

 

第13期政権の経済外交面でのもう1つのアプローチは、中国やロシアといった有力国との戦略的協力の定着です。今期政権の発足後に取られた最も重要な措置としては、中国との25ヵ年戦略的協力文書の実施追求が挙げられ、これは今年1月14日のアミールアブドッラーヒヤーン外相による中国訪問とともに口火を切りました。また、中国が計画しているトランジット輸送回廊は、イランという重要な要衝を通過するもので、この問題は中国の戦略的諸計画にとって決して否定できないものです。

 

戦略的な協力という点では、イランとロシアの戦略的な関係も見逃せません。この両国は、特にアメリカから受けている制裁、対イラン核合意のほか、一極主義への反対などに関して共通の見解を有しており、そしてこれにより、両国の協力路線がさらにスムーズなものとなっています。両国の大統領らは過去半年間において、ロシア・モスクワ、トルクメニスタン首都アシカバード、そしてテヘランにおいて3回も会談しており、このことは両国が政治、経済、安全保障など全ての分野での関係強化に本格的に注目していることの現われだと言えるでしょう。

 

イラン第13期政権は石油・天然ガスの分野での対ロシア協力拡大に加えて、今年末までにロシアの貨物1000トンの引き受け・トランジット輸送により、国としてのトランジット輸送量を2000万トンに増やし、これによる収入を200億ドルにまで増やすことを視野に入れています。

 

イラン国内で近く開通予定のもう1つの輸送回廊は、カザフスタンートルクメニスタンーイランを通過してトルコおよびヨーロッパにつながるルートです。このルートは東西を結ぶ中軸部分であり、中国からヨーロッパへの貨物輸送にとって極めて重要とされています。

 

経済、通商、政治、金融、交通の分野におけるイラン第13期政権のバランスのとれた積極的な外交政策の効果が、徐々に明らかになりつつあることに、もはや疑いの余地はありません。国際問題専門家のサドロルホセイン氏の見解では、今期政権のこの措置により、イランは地域におけるトランジット輸送の拠点として台頭し、これは経済力の増強に加えて、イランという国の外交力の増強にも大きく影響するだろうと見られています。

 


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