駐イラン日本大使、「現代世界に核兵器の地位はない」(動画)
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駐イラン日本大使
日本の相川一俊・駐イラン大使は、アルアーラム・チャンネルとのインタビューにおいて、日本とイランがともにCWC化学兵器禁止条約の締結国であるとしながら、日本も化学兵器のない世界の実現のため最大限に努力していくと述べました。
相川大使がアルアーラムチャンネルとのインタビューで語った内容は、次のようなものです:
ー 日本が広島と長崎に原爆を投下されたことで得た教訓とは?
相川大使: 日本は常に、核兵器のない世界を実現させようと、努力や支援を行っている。
この努力を私たちは、戦争で核爆弾の犠牲となった世界初の国としての責務と捉えている。
核兵器の使用は、予想も付かない恐ろしい破壊をもたらし、人類にも大きな害を与える。
原爆による死亡者は、広島だけで14万人にのぼり、長崎でも7万人が一瞬にして亡くなった。
これに加え、多くの人々が原爆の放射線による傷害を負った。
8月は私たちにとって、広島と長崎で被害を受けた民間人を追悼する、特別な月となっている。
そして、核兵器のない世界の実現に向けた最大限の努力は、私たちの責務となっている。
ー 痛ましい人類の大惨事の渦中にある今日の世界に対し、日本はどのようなメッセージを送るか?
相川大使: 申し上げた通り、日本が行うべきは、核兵器のない世界の実現に向けた最大限の努力である。
世界は今、危険な場所と化しており、私たちは、核兵器が現代世界に何ら地位や役割を持たないと確信している。
ウクライナ戦争では、ロシア大統領が核兵器使用を示唆したが、これは私たちにとって、決して容認できない行為だ。
核兵器の廃絶は容易ではなく、一夜で成る事でもない。
ともあれ、私たちはどれほど時間がかかろうとも、この目標を実現させるために最大限の努力を行っていく。
ー 一部の国が大量殺戮兵器を保有することは、抑止力以外に倫理上の正当性があるか?
相川大使: 申し上げた通り、核兵器の廃絶は容易な事ではない。
また、世界は今や、危険な場所と化している。
例えば、私たちの地域では北朝鮮が、6回もの核実験を実施した。
北朝鮮はさらに、日本のそばで弾道ミサイルを使おうとしている。
核兵器を防衛目的で使いたい国々にとっては、この兵器は抑止力ということになるだろう。
しかし、人類に与える害の点で見れば、先ほど申し上げたように、核兵器は現代世界で地位や役割を持たない。
ー 化学兵器の被害を受けたイラン北西部サルダシュトは数年前、広島と姉妹都市になった。
日本は、サルダシュトとそこで起きた出来事をどう捉えているか?
相川大使: 核兵器と同様に化学兵器も、大量殺戮兵器とされている。
広島の人でもサルダシュトの人でも、抱いている考えは同じものだ。
それは、核兵器や化学兵器といった大量殺戮兵器のない世界の実現を助けていくというものである。
相川大使: イランと日本は、ともにCWCの締結国である。
そして、ともに化学兵器のない世界の実現を目指し、最大限の努力を行っている。
広島とサルダシュトの人々は、市民レベルで大量殺戮兵器の経験の共有を行っている。
一例は、広島とイランの人々が協力して行っている「広島イラン愛と平和の映画祭」である。
この映画祭では毎回、5~6本のイラン映画が上映されている。
そのうちの1本は、在イラン日本大使館でも上映会が開かれた。
相川大使: サルダシュトに化学爆弾が投下された記念日の式典には、今年も例年同様にイラン大統領顧問から招待され、日本大使館公使の村上が出席した。
村上は、恒久的な世界平和を目指して広島の人々と協力するサルダシュトの人々の決意に、感銘を受けた。
また、この2つの都市が共にあることを示そうと、サルダシュトの通りの1つがヒロシマ通りと命名されていたことにも感動した。
(イラン在留邦人で昨年亡くなった)山村邦子氏も、広島とサルダシュトの人々を取り持つためにはとても尽力された。
私たちは、山村氏の功績に対して深い敬意の念を抱いている。