9月 05, 2023 22:51 Asia/Tokyo
  • イランといわゆる4+1グループとの間の「9月文書」
    イランといわゆる4+1グループとの間の「9月文書」

最近、イラン核合意交渉に関連して、イランといわゆる4+1(米以外の国連安保理常任理事国およびドイツ)グループとの間の「9月文書」の問題がメディアで注目を集めています。

この9月文書という用語は、イランと4+1グループの間の最新の合意に関連して、イランのアミールアブドッラーヒヤーン外相の言葉で初めて使用されたものです。同外相は「核合意の他の当事国との多くの協議が行われ、文書化され、我々と他の当事との間の『9 月文書』として知られる文書が完成した」と語りました。

 

アミールアブドッラーヒヤーン外相はまた、「確かに一連の情勢変化が影響を与え、(西側が)我々の合意を延期した。こうした情勢の一部は昨年の暴動であり、もう一つはウクライナ戦争だった。他の当事国はこうした機会を利用して我々に条件を課そうとしたが、我々は実際には越えてはならない一線を絶対に越えたことはなかった」と述べています。

 

イラン外務省のキャンアーニー報道官も、記者会見でアミールアブドッラーヒヤーン外相から提起された9月文書に関する質疑に答え、「9月文書は新しい文書とみなされず、実際にイランと4+1グループとの交渉と同じプロセスであった。核合意を巡る協議の最終草案は、2022年9月で総括段階に入り、すべての当事国が核合意に戻る準備ができていた」と述べました。

 

イラン外相は、2022年9月にイランと4+1グループとの間で締結され、その履行については非常に楽観的な見方があった合意のことを示しています。しかし、西側当事国の悪意及び、2022年のイラン国内での騒乱に関する誤った考えにより、米国と欧州の相手国は対イラン核合意復活交渉が取り組み事項から外れたと明言するようになってきています。

 

アメリカのバイデン大統領と他の政府高官が核合意を維持し、その復活の必要性を繰り返し強調してきたにもかかわらず、イランでの一連の騒乱を受けて、アメリカ政府は欧州のパートナー国とともにこれを、イランを弱体化させる千載一遇の機会と見なし、イランのイスラム共和制という体制は崩壊しつつあるという空虚な憶測にはまっていました。

 

このため、オーストリア・ウィーンでの核合意復活交渉やイラン外相が9月文書として言及した内容を再開するための努力は一切行われず、代わりにアメリカとEUはイラン国内の騒乱と暴徒の幇助に全神経を集中し、あらゆる方法に訴えることでイラン国内での暴動や騒乱の炎を可能な限り煽ろうと努めました。

 

実際、バイデン米政権は、核合意問題で対イラン外交を主張し、イラン側と間接的に折衝し、直接交渉を主張すると同時に、イランに内政干渉し、暴徒らの煽動に熱をあげました。一方で、欧州高官らは、核合意維持の必要性を再三強調したにもかかわらず、2022年のイラン国内での騒乱発生の際、ウィーンでの核合意復活交渉の再開に何の努力もせず、米国と足並みをそろえ、あらゆる手段を尽くしてイラン国内の扇動や情勢不安の炎を煽ることに全力を挙げたのです。 

 

もっとも、イランでの騒乱が沈静化し、アメリカとEUが悪しき目標、特にイランのイスラム共和制打倒の達成に再び失望した後、ボレルEU外務安全保障政策上級代表を含むEU当局者らは、核合意を維持する措置の復活の必要性を主張しました。また、アメリカ政府は、いわゆるイランの非平和的核活動を阻止しようと、イランとの対話の必要性について改めて言及しました。 

 

現時点で、イランのアミールアブドッラーヒヤーン外相は、核合意およびその復活を目指す交渉に関するイラン側の原則的な立場を繰り返し表明しています。また、イランとして外交と交渉というルートから逸脱したことは一度もないことを指摘し、「核合意が机上の選択肢から外されたわけではない。そして、我々はまだ、核合意が交渉の議題ではなく、交渉の議題から外されたと言える段階には達していない」と強調しています。

同外相はさらに、「交渉や外交はこの枠組みで追求されている。核合意の内容変更についても、アメリカ側に明確なメッセージを発信し、“外交・間接交渉を継続して9月文書の最終作業に着手する際に、たとえ文書の内容変更であっても受け入れない”とした」と語りました。

 

イランは、ウィーン交渉で西側当事国に対して、また間接的には米国に対しても自国の原則的立場を繰り返し表明してきました。その原則は、対イラン制裁の解除という核合意の再履行以外、いかなる交渉にも応じないこと、そしてイランはアメリカ側から再び核合意から脱退しない保証を得たいこと、さらに2015年の核合意の内容を巡る交渉のみに参加し、それを超える問題は受け入れないことです。

 


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