対イランミサイル制裁の終了
(last modified Sat, 21 Oct 2023 09:28:45 GMT )
10月 21, 2023 18:28 Asia/Tokyo
  • 対イランミサイル制裁の終了
    対イランミサイル制裁の終了

国連安保理決議2231に基づき、2023年10月18日もってイランに対するミサイル制裁は終了しました。

2015年、国連安保理常任理事国にドイツを加えた6か国グループとイランの間にJCPOA包括的共同行動計画(通称;イラン核合意)が結ばれた後、イランの武器禁輸はその発効日(2015年10月18日)の5年後となる2020年10月18日、またミサイル制裁は8年後の2023年10月18日に終了することが決定されました。

イランのミサイル兵器は基本的に防御的性格を持ち、抑止力を主眼としたドクトリンに沿って製造・備蓄されているほか、ミサイル実験も、弾道ミサイルの能力向上・改善を目的として行われています。

イランは、自国の防衛ドクトリンが抑止力および国防に基づいていると説明しながら、防衛のためにミサイル計画の拡大する権利があることを、これまでに強調してきました。

イランは、ミサイル能力の拡大と向上において、国内の専門家と可能性に依拠しています。米国と西側諸国の制裁措置は、イランのミサイル開発を阻害し、あるいはこの分野で必要な原料や部品の入手を阻止するために行われていると主張されていますが、イランのミサイル開発をかく乱することはできませんでした。

イランは今や、世界有数のミサイル大国とされています。

RANロシア科学アカデミー所属の西アジア問題専門家、ウラジミール・サジン(Vladimir Sajin)氏は「イランは、(国内の)ミサイル計画を強化することで、アメリカの制裁に対処し、制裁によりイランのミサイル計画を阻止しようとする同国の工作を徒労に終わらせた」との見解を示しています。

米国は常に、先進技術の独占を目論んで欧州の同盟国とともに、イランのミサイル開発の阻止に熱を挙げてきました。4+1(英独仏ロ中)グループのメンバーである欧州3か国(ドイツ、フランス、英国)及び、EU欧州連合、そして米国は、他者の兵器やミサイル能力に対して常に否定的なアプローチをとっており、これらの分野におけるイランの行為も違法なものだと吹聴しています。そして、米国が欧州諸国と足並みをそろえて行ってきた要求の一つが、イランのミサイル計画の阻止でした。 

欧州は、対イラン核合意維持を支持すると主張しているにもかかわらず、抑止力を本質とするイランのミサイル能力に関しては、米国と歩調を合わせた立場をとっています。

今月17日、欧州評議会は声明において、「EU諸国は、今月18日に終了する予定となっている先の武器・ミサイル関連の対イラン国連制裁を、引き続き維持する」と表明しました。

欧州評議会はこの声明で、これらの対イラン制裁は新たなものではなく、核合意の一部として取り消されることになっている諸制裁の位置づけが変わるわけではないとしていますが、これに先立っては核合意参加国である英独仏も、イランが「核合意に基づく義務を遵守し続けていない」ためにこの対イラン制裁を維持すると主張しています。

これらの制裁では、イランは核弾頭搭載可能な弾道ミサイルの製造が制限され、さらにイランからの無人機やミサイルの購入、そしてイランに対するこれらの兵器の売却も禁止されていました。しかし、核合意に基づいてこれらの制裁は、今月18日に終了となりました。

イラン外務省のキャンアーニー報道官は、対イラン核合意発効から8年目となる2023年10月18日にあたって自らの義務を履行しないと欧州評議会が決定したことを受けて、「欧州評議会のこの行動は、核合意および国連安保理決議第2231号に基づくEUおよび英独仏の義務に対する公然とした違反であり、悪意のある行為である」と表明しています。

イランは今回の武器・ミサイル制裁の終了にともない、武器・ミサイル開発分野でさまざまな措置を取ることが可能になると同時に、武器の輸出入に関しても一切の制限がなくなることになります。

 

 


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