視点
ガザ戦争に対するイランの姿勢
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ガザ戦争
シオニスト政権イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への攻撃について、イランはどのような姿勢をとり、どのような行動をとっているのでしょうか? 以下の4つのポイントを解説します。
1.イスラエルの人種差別政策がハマスによる攻撃の引き金
今月7日にパレスチナ・イスラム抵抗運動ハマスが「アクサーの嵐」作戦を開始して以降、イランは、シオニスト政権イスラエルによる犯罪行為の数々がこの作戦に至った要因だと繰り返し表明してきました。言い換えれば、パレスチナ民衆や抵抗組織にとって、武装攻撃はイスラエルによる犯罪とくにその人種差別政策に対抗する上で唯一の選択肢だったのです。イラン・イスラム革命最高指導者のハーメネイー師は今回の「アクサーの嵐」作戦について、「(イスラエルにとっての)この惨劇はシオニストたちのこれまでの行いが自らに降りかかってきたものだ。圧政や犯罪が度を越したり、凶悪さが極限にまで至ったりすれば、嵐を覚悟しなければならない。あなたたちはパレスチナに対して何をしてきたのか? パレスチナ人による勇敢で自己犠牲を厭わない作戦は、長年の間続き激化してきた敵による犯罪への報復である。この責任は、シオニスト政権の指導部にある」と語っています。
2.アパルトヘイトの発露としての大量虐殺
7日の衝突開始以来、これまでに6000人近くのパレスチナ人がシオニスト政権による攻撃で殉教しており、そのおよそ半数が子供です。シオニスト政権は、アクサーの嵐作戦に喫した敗北を糊塗しようとパレスチナ人に対する民族浄化を行おうとしています。それゆえ、ガザ地区への電気、水、燃料、医薬品の供給を遮断し、あらゆる人道支援の提供も妨害しているのです。イランのガーリーバーフ国会議長は、イスラム諸国の議会議長に宛てた書簡で「シオニスト政権は、その反人道的かつ国際法規に違反した行為で、ガザの一般市民から電気、水、燃料、医薬品、支援物資を遮断している」「今回の戦争の根本には、シオニスト政権によるアパルトヘイト、占領、パレスチナ人の尊厳の無視、(聖地ベイトルモガッダス・エルサレムにある)アクサーモスクへの侮辱行為がある」と記しました。
3.停戦と人道支援の必要性の強調
イランはアクサーの嵐作戦がシオニスト政権による犯罪に起因しているとする一方で、停戦とガザへの人道支援物資提供の必要性も強調しています。また、国連や世界の大国に対しても、シオニスト政権に停戦とガザ地区への支援物資搬入を許可するよう迫る責任があると訴えています。イランのライースィー大統領は、支援物資の必要性やガザへの空爆の停止、封鎖解除、パレスチナ人の権利実現が国連安保理の優先課題だとした上で、「シオニスト政権によるガザ地区への犯罪継続は、各国際機関の責任をより重大なものにしている」と述べています。
4.沈黙はイスラエルによる犯罪への幇助
イランが強調する4つ目のポイントは、シオニスト政権による犯罪行為に対して沈黙することへの非難です。自立した人々や政府は、少しでも勇気があれば、女性や子供たちが殺されたり、空爆におびえたり、子供たちが肉親を失ったりする姿を見て黙っていることはできないはずです。しかし、米英独など西側諸国の首脳らはこうした行為に沈黙するだけでなく、占領地パレスチナを訪れ、シオニスト政権に対して支持を表明しています。イラン外務省のキャンアーニー報道官はこれについて、「2週間の間に5000人のパレスチナ人を殺害し、病院やモスク、教会、学校、住宅地、救急車両を空爆したという汚名はシオニスト政権やその支援国から消えることはないだろう。まっとうな意識があれば、こうした犯罪に沈黙することなどできない」と語っています。