イラン人権本部書記、「ノーベル平和賞の信頼性は尽きた」
イラン人権本部のガリーブアーバーディー書記は、「今回のナルゲス・モハンマディー氏へのノーベル平和賞授与式に、クルド系テロ組織 「コマラ(Komala)」の指導者も参加したことは、同賞と政治的プロジェクトとなっているその主催者、さらにそれを受賞する人々の本質を、これまで以上に露呈している」としました。
ノーベル委員会は、今年のノーベル平和賞をイランのナルゲス・モハンマディー氏に授与しました。
イスナー通信によりますと、ガリブアーバーディー書記は、SNSの「X」への投稿で、「ノーベル平和賞は、(パレスチナに対する)犯罪を行ったメナヘム・ベギン氏、イツハク・ラビン氏、シモン・ペレス氏などのイスラエル政権の歴代首相・大統領にも授与されており、すでにその信頼性は失われていたが、今回のモハンマディー氏への同賞授与式にテロ組織・コマラのアブドッラー・モフタディー代表も参加したことで、ノーベル平和賞という政治的プロジェクトの主催者や賞を受与される者たちの本質が、これまでに以上にさらけ出されることになった」としました。
ナルゲス・モハンマディー氏は、イラン暦1388年(西暦2009年)のイラン国内での反乱において、弁護士シーリーン・エバーディー氏が率いる団体「人権擁護センター」で人道やイラン国民の利益に反する活動を行ったことを理由に、まず出国を禁止され、2010年には逮捕・収監されました。
同氏はその後釈放されたものの、2021年に再度、イラン体制に対するプロパガンダ活動、刑務所職員らの指示に従わず所内の窓ガラスを割る、誹謗中傷行為などで有罪判決を受けて収監されました。
このような背景があるにもかかわらず、ノーベル委員会が、ある国の法律に則り犯罪者として有罪が確定し、刑の執行中である人物に対し、平和賞の授与を決めたことは、人権という概念を政治化させ他国へ内政干渉を行うこと以外の何物でもありません。
ノーベル委員会は、今回のような人権に反した決定によって、世界における平和確立に向けて進み出していないばかりか、平和や自由、人道という、聖なる概念にも疑問符を付けてその価値を損なわせているのです。